永遠の行軍
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第二章
「受けるわ」
「そうするな」
「今からな」
こう言ってだった。
リディアは元春と共にギルドの事務所に依頼を受けると言った、そうして依頼主である街のカトリックの聖堂の司教に会った。
司教は風の精の老人で名前をチャールズ=トムンソンといった。司教はお互いの挨拶の後で二人ウを聖堂の一室に案内してそこで依頼の話をした。
「実は今街の郊外に軍隊が展開していますが」
「その軍隊がやな」
「はい、亡霊でして」
「そのことは依頼に書いてあったな」
「かつてこの地域は暴君が治めていました」
司教はリディアに曇った顔で話した。
「浪費家で浮気性で諫言をする家臣を次々と斬首にする」
「最低の君主がやな」
「はい、彼は戦の時に疲弊している軍を動かし」
「その軍がやな」
「疫病で苦しんでもまだ進軍を命じた」
「それでも戦えか」
「実際に彼等が疫病でも戦場に行かせました」
その様にさせたというのだ。
「そうして戦わせました」
「最悪やな」
元春もその話を聞いて思わず言った。
「それは」
「はい、戦は勝ちましたが」
「その時に戦った兵隊さん達が」
リディアは依頼の書に書いてあったことを司教に尋ねた。
「戦から帰って」
「ずっと領主を怨み」
疫病で苦しんでいる自分達を無理に戦わせた彼をというのだ。
「彼等も領主も寿命に至っても」
「死んでも怨んで」
「怨念が残り」
そうしてというのだ。
「街の外で戦場に向かう行軍をし叫ぶことも」
「してるんやな」
「はい、領主の命日になると」
「それを毎年してるんやな」
「左様です」
「それでもうすぐやな」
「その命日なので」
その日になるからだというのだ。
「お二人にです」
「兵隊さん達の亡霊の鎮魂をして欲しい」
「左様です」
こうリディアに話した。
「それが依頼です」
「わかったわ、けどな」
ここでリディアは司教に対して言った。
「司教さんでもやな」
「街の聖職者全員で、です」
「除霊にかかってもやな」
「全くです」
司教はリディアに暗い顔で話した。
「一人も成仏させられませんでした」
「そやねんな」
「ですから私もです」
「ギルドに依頼出したんやな」
「左様です、尚私は街で一番レベルの高い聖職者ですが」
司教は自分のレベルの話もした。
「七十です」
「七十の人でもやな」
「他にも六十以上の方も多くおられますが」
それでもというのだ。
「一向にです」
「それやとな」
「お二人は」
「あたしはバードでな」
「私は執事で」
リディアだけでなく元春も司教に話した。
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