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ある晴れた日に

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681部分:日の光は薄らぎその十一


日の光は薄らぎその十一

「金森もいなくなったし。伊原さんもね」
「こうして聞くと凄い人材流出じゃないのか?」
「だよな」
「阪神人材戻って来るからな」
 ここに阪神と西武の差が如実に現われていた。
「阪神はな」
「人材は離れないしな」
「ほぼ確実に戻って来てくれるしな」
「田淵もな」
 その代表が彼であった。
「よく考えたら田淵西武にいたよな」
「知ってるわよ」
 恵美も当然知っていることだった。
「流石に実際には見たことがないけれどね」
「俺達が生まれる前の話だからな」
「それはな」
 これは仕方のないことであった。
「どうしれもな」
「それはな」
 そうなのだった。しかしである。
 彼等は違った。こう言うのであった。
「俺達見ていなくても見た感じするよな」
「そうよね」
「阪神時代の田淵」
 それが彼等なのである。何故か阪神ファンは見ていないものの記憶まで持っているのだ。
「田淵だけじゃなくてな」
「江夏とか村山とか」
「バースもな」
 彼等もであった。田淵だけでなく。
「そういえば田淵西武に戻ったことあったっけ」
「ないわよ」
 はっきりと奈々瀬の問いに答える恵美だった。
「完全に身も心も阪神に戻ったから」
「そうだったわね、確かに」
「あと辻は」
 ここでヤクルトファンの奈々瀬を見るめが少し微妙なものになる恵美だった。
「あんたのところに行っちゃったし」
「有り難うね」
 満面の笑みで返す奈々瀬だった。その横にいる春華もだ。
「おかげで大活躍してコーチにもなってもらったし」
「失敗したわ」
 西武にとっては痛恨の出来事であったのだ。
「秋山に続いてね」
「いやあ、幸二さん有り難う」
 今度は咲がにこにこしなあら話す。
「物凄いヒーローよ、鷹のね」
「気付いたら久信さんとデーブだけだったし」
 珍しく寂しい顔になる恵美だった。
「工藤は戻ってくれたけれど」
「あれも奇跡だよな」
「そうだよな」
 そのことも話す彼等だった。
「絶対に戻って来ないと思ってたけれどな」
「渡辺監督の人徳だよな」
「なあ」
「まあこっちもね」
 今度言ったのは茜だった。
「新谷と奈良原貰ったし」
「よくそれで勝っていってるな」
「松坂もいないのにな」
「松井稼頭央もな」
 話はさらに深いものになっていく。
「和田もいなくなったしな」
「次から次に出て行くのにな」
「それでもな」
 皆西武の人材流出についてどんどん話していく。
 
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