変わった白雪姫
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第一章
変わった白雪姫
セーラ=プリチャードとダイアナ=トーマスは今はセーラの神託で地下世界のガイラという街に来ていた。
その街に入って二人はすぐに旅の冒険者だと素性を隠したうえで街のギルドに入ってセーラの神託を探した、すると。
ある依頼を見てだった、セーラはダイアナに話した。
「この依頼がね」
「セーラさんの神託って」
「感じたから」
それでというのだ。
「受けるべきとね」
「思ったんやな」
「ええ、けれど依頼主は」
セーラは依頼が書かれた書類に書いてあるその名前を見て首を傾げさせた、そのうえでダイアナに題して言った。
「これは」
「バスティアニーニ家っていうたら」
「この街で一番の資産家の」
「穀物商人として大成功している」
「そのお家で」
それでというのだ。
「奥さんは絶世の美女で娘さんも血はつながっていないけれど」
「確かお家の主さんと前の奥さんとの間の娘さんで」
「その人も凄く可愛くて」
「母子で美人っていう」
「そうしたお家だったわね」
「何ていうか」
ここでダイアナはこんなことを言った。
「その関係ってそのまま」
「白雪姫ね」
「それやって思ったけど」
「けれど別に母娘仲は悪くなくて。それどころか」
「ええんやね」
「それで有名よ、同性愛の噂もある位に」
「血はつながってなくても親子は」
流石にとだ、ダイアナはセーラの今の話にはどうかという顔で返した。
「ないやろ」
「噂よ、寝も葉もない」
これがセーラの返事だった。
「そやから」
「そうした噂は気にしないで」
「まずはね」
「依頼主のとこに行って」
「依頼のお話を聞きましょう」
こうダイアナに語ってだった、そのうえで。
セーラはダイアナを連れてそのうえで依頼主であるバスティアニーニ家に行った、そして見事なイタリアのルネサンス時代のそれを思わせる屋敷の中で。
二人は黒いドレスを着た青白い肌の人間の一四八程の背丈の三十位の女性と話した、高い鼻に見事なロングの黒髪に切れ長の長い睫毛のアイスブルーの瞳に小さな唇の冷たい感じだが稀に見る位の美人だ。その女性がまず名乗った。外見からは想像出来ない非常に高く可愛らしい声だ。
「ナタリー=デル=バスティアニーニです」
「依頼主の方ですね」
「はい、実はです」
名乗った美女はここでその非常に整った顔を曇らせてセーラ達に話した。
「お二人にお料理を作って欲しいのです」
「林檎のお菓子ですね」
「はい、これ以上はないまでに美味しい」
「あの」
その依頼の話を聞いてだった、セーラは夫人にどうかという顔で尋ねた。
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