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ある晴れた日に

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67部分:優しい魂よその二


優しい魂よその二

「ちゃんとやってるから」
「安心してくれよ」
「だといいけれど」
「それはそうとしてよ」
 佐々は皆を警戒しながら咲を見て言う。
「おい柳本」
「何?」
「御前も結構食器洗い上手いな」
 咲の食器洗いを見て言うのだった。見れば彼女も結構上手い。
「お嬢様育ちなんだろ?それでも上手いな」
「時々やるから」
 その食器を洗いながら佐々に対して答える。
「だからね。一応」
「やるのかよ」
「教会でもしてるしね」
「教会!?」
 恵美がまずそれを聞いて眉を動かした。
「あんたクリスチャンだったの」
「ううん」 
 しかしそれは咲が自分で否定した。首を横に振っている。
「違うけれど」
「じゃあどうして教会に?」
「教会っていってもキリスト教の教会だけじゃないけれど」
「えっ、そうなのか!?」
「初耳だぞ」
 それを聞いた野茂と坂上が驚きの声をあげた。危うく持っていた皿を落としそうになった。あとちょっとで大変なことになるところだった。
「教会っていったらキリスト教だろ」
「それが違うのかよ」
「ああ、天理教なのよ」
 奈々瀬がここで皆に言った。
「天理教のね」
「天理教!?ああ」
「天理高校の」
 天理というので皆わかった。
「野球で有名な」
「吹奏楽とかラグビーもそうだったわね」
「そう、それよ」
 奈々瀬は咲に代わって述べた。
「八条分教会ってあってね」
「八条分教会」
「咲のお父さんがそこの信者さんなの」
 これまた皆にとっては驚くべきことだった。
「それでなのよ。咲もそこに出入りしているの」
「ふうん、そうだったんだ」
「それで教会なの」
「八条グループの総帥さんも信者さんなのよ」
 咲本人もここで言った。
「八条分教会のね」
「何かすごかねえか?」
「八条グループって世界規模のグループだからな」
 かつては財閥で今は世界を股にかけたグループなのだ。その巨大グループの総帥が信者となるとやはりかなりのものだ。
「そんな人が信者さんって」
「凄い教会?」
「けれど全然偉そうじゃないのよ」
 凛もこのことは知っていた。
「教会長さんも奥さんもね」
「へえ、そうなのか」
「いい人よ」
 凛はにこりと笑って皆に話す。
「穏やかだしね」
「そうなのかよ。いい場所なんだな」
「もう咲がねえ」
 静華が苦笑いと共に言う。
「あれなのよ。入り浸りでね」
「だって居心地いいから」
 咲もそれを否定しない。
「自分の家にいるみたいだから」
「だからって遠慮しろよ」
「そうよ」
 春華と凛も苦笑いでその咲に返す。
「一週間に一回はいるじゃねえか」
「多過ぎよ、やっぱり」
「けれどお手伝いだってしてるし」
「それは当たり前でしょ」
「御飯まで頂いて」
 静華と奈々瀬も少し呆れた調子になっている。
 
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