ゾンビにならなかったドラゴン
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第一章
ゾンビにならなかったドラゴン
トマス=クルマとレオポール=ウスマンはこの時クルマの神託でコートジボアールのダルワに来ていた、クルマは街に入るとすぐにウスマンを街の居酒屋に案内した。そしてすぐにだった。
キャッサバを挽いたものを炊いて塩味をつけて川魚や他招きやトマトを切ったものに油をかけたアチェケ、キャッサバのマッシュポテトであるラカリ、芋の葉をどろどろになるまで煮込んだバタット、バナナを臼でついてなめらかな餅状にしたフトゥ、内臓を取った川魚を唐揚げにしてサンドイッチにしたジュゲサンドイッチ、デザートに発酵乳に甘みをつけてミレットの粉を粒にして丸めたものを入れたデゲ、そして地酒のビールを注文してだった。
そういったもので乾杯して飲んで食べている時にクルマはウスマンに話した。
「それがしの神託やが」
「わかるな、それは」
「ああ、ギルドに神託でありそうな依頼を探す以前に」
それこそとだ、象人の顔で言った。
「もうな」
「一目瞭然やな」
「このダルワの近くでそれがしは先日ドラゴンを倒した」
「街を破壊するでかいドラゴンをな」
「小山みたいな大きさのブラックドラゴンやった」
沼地に棲み強酸のブレスを放つドラゴンである、名前まであってその名前はゲオルギウスといった。何千年も生きている老ドラゴンだった。
「悪いドラゴンで近くの街を襲おうとしてたからな」
「それで倒したな」
「強かったけど星のモンであるそれがしやから勝てた」
実は彼一人で倒したのだ。
「それが出来た」
「そやな」
「けれどな、モンスターを退治したのに」
それでもとだ、クルマはストゥを食べつつ話した。
「死体が残ってな」
「金にもアイテムにもならんでやな」
「それでその死体がや」
「死体があったらどうなるか」
それこそとだ、クルマはアチェケを食べるウスマンに話した。
「もうな」
「腐るな」
「ましてこのコートジボアールは暑いしな」
このことはこの世界でも同じだ。
「しかも今は夏は」
「余計に酷くなってるな」
「腐って悪臭を放って」
そうしてというのだ。
「近くの街では窓も開けられへんし洗濯物も干せん」
「そうなってるな」
「しかも死体には色々なモンスターや獣も群がる」
食物連鎖、これの一環としてだ。
「それでジャイアントフライとか蛆とかな」
「キャリオンクローラーとかポイズンフラワーとかな」
「そんな腐ったもんが好きな獣や危険な植物も群がって」
「モンスターまで出て来たな」
「もうこれがな」
まさにとだ、クルマは言った。
「それがしの神託や」
「元々自分が倒したドラゴンやしな」
「もう決まりや、こうなったんはそれがしの責任やし」
このこともあってとだ、クルマは話した。
「ここはな」
「何としてもやな」
「この問題解決するわ」
「ほな僕もな」
「一緒に来てくれるか」
「パートナーやしな、しかしここまでな」
ふと鼻に来た匂いを嗅いでだった、ウスマンは顔を顰めさせて言った。
「ドラゴンの匂いが来るか」
「これはドラゴンの死体の匂いやな」
「でかいだけあってここまで匂うか」
「そうみたいやな」
「難儀なことやな」
「全く以てな」
二人でこう話してだ、そうしてだった。
クルマは店で飲んで食べてだった、ウスマンと共にドラゴンの死体の方に向かった、途中に出て来るモンスターや獣達を倒しつつ進むが。
あまりにも匂いがきついのでクルマはウスマンにあるものを出した。
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