ソードアート・オンライン~剣と槍のファンタジア~
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ソードアート・オンライン~剣の世界~
3章 穏やかな日々
31話 報告
前書き
お久しぶりです、白泉です。そして、あけましておめでとうございます!
ほんっとに、ほんっとに申し訳ありません…‼まさか5カ月も放置するだなんて…!その間何やっていたかって?少し他のさくひ…げふんげふん、な、何も言っておりませんよ?忙しかっただけですよ?やめて!石を投げないで!
…なんて茶番はさておき、行進ペースが亀の中の亀ですが、今年もよろしくお願いします。
今回は、クラディール編…らしきものを。では、早速どうぞ!
依頼を終え、自宅で昼食をとっていた丁度その時、不意にアラーム音と、メッセージが届いたというポップアップ画面がリアの目の前に広がる。
箸をおき、何気なくクリックすると、差出人はキリトだった。内容が…
「メッセージか?」
「うん。キリトからなんだけど…今からエギルの店の二階に来られるかって」
「要件は?」
「書いてない」
リアは首を傾げた。
「何かあったのかな?」
「緊急の何かだったら、内容も書いてあるだろうが…とにかく、さっさと食べていってみるか」
「うん、わかった」
リアは「今から行くよ」とキーボードで打ち、送信ボタンを押した。
―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―
「やっほ、エギル、まだあくどい商売やってるの?」
「姉弟そろっておんなじこと言うんだな…。よっ、リアもツカサも」
「久しぶりだな、エギル」
「ああ、お前たちが前線にいないから、マッピングが死ぬほど遅くて困ってんだぜ」
開いていたウィンドウを閉じながら、エギルはため息交じりに言う。まあ、それもそうだろう。リアとツカサのマッピングの速さは異常だ。
なぜそんなに早いのか。理由は簡単、道をただ駆け抜ける。それだけだ。
モンスターは勿論ポップするが、敏捷値に物を言わせ、全てスルー。昼間にやれば、トレインになるのは確実だろうが、2人が前線に行くのは基本的に夕方から夜。まさかモンスターが狂暴化する時間に、最前線に出ようなどという馬鹿は2人以外にはいないので、安心、というわけだ。
「ま、なんてこと言っててもしょうがねぇな。キリト達なら二階にいるぜ」
「…ん?キリト達?」
「アスナも来てるぞ?」
リアとツカサは顔を見合わせ、これはいよいよではないのか…とニヤリと笑う。
部屋に入れば、緊張した面持ちの二人が並んで座っていた。
「やぁ、キリト」
「リア姉、ツカサ。わざわざ来てもらって悪いな」
「いーえー。それより今日はどうしたの?」
リアとツカサがベッドに腰かける。
「…実は、報告があるんだ」
これは…!と内心リアとツカサはニヤニヤだった。だが、キリトも、アスナの表情も浮かない。
「でも、その前に訊きたいことがひとつある」
「ん?なに?」
キリトの口から出た言葉は、リアとツカサの想像をはるかに上回る者だった。
「ラフコフのリーダー、Phoと、2人はどういう関係なんだ?」
ピキンとガラスが割れたような音がした。
「…急にどうしたの?」
キリトの口から出たのは、衝撃的な話だった。
昨日、キリトがKoBに潜り込んでいたラフコフの残党に襲われ、殺されそうになったが、アスナが間一髪で間に合い、やむを得ず、そいつを殺した、ということ。アスナもキリトもその一件で血盟騎士団を一時脱退、脱退したそうなのだが…
「そいつが言ったんだ。オールラウンダーと仲の良い俺を殺せば、本気でオールラウンダーはヘッドを、Phoを殺そうとする。そうすれば、ヘッドが昔から忌まわしいと思っていたオールラウンダーを楽しみながら殺せる、って」
「「っ…」」
「俺は、なぜPhoが、リア姉たちに執着するのかと聞いたら、こういわれた。“知らねぇのか?ヘッドとオールラウンダーは旧知の仲だって”。…一体、どういうことなんだ?」
リアとツカサは黙っていた。誰も身動きしなかった。耳鳴りがするほどの静寂だ。
「…リア」
「…大丈夫、大丈夫…」
わずかに震える手を見て、ツカサが気づかわし気に声をかける。リアの“大丈夫”は、自分に言い聞かせているかのようだった。
「…あの人とは、向こうで、知り合ったんだ」
リアがさす、“向こう”とは、あそこしかない。
「私たちと同じ境遇で、仲間だった。カッコよくて、強くて、面倒見がよくて、優しくて…。だから、私たちは、兄さんって呼んで、すごく慕ってた」
リアはそこで切り、浅く息を吸いなおす。
「でも、ある時あの人は…突然消えた。それから、ずっと会ってなかったんだけど…再会したのは、ここ。そして、いつの間にかレッドプレイヤーの頭になってた。…それだけだよ。今のあの人と仲良くしたことは、一度もない。」
「本当なのか?ツカサ」
「…ああ、あの人は、もう変わったんだ。俺たちと違って」
キリトはじっとリアとツカサを見ていたが、やがて溜息を吐き、どさっと椅子の背もたれに寄りかかった。
「…分かった、リア姉たちを信じるよ。ごめんな、疑うようなこと言って」
「私たちもごめん…ずっと黙ってた」
「そりゃ言いにくいよな。あのPhoと昔からの知り合いだなんて」
悪い空気を断ち切るように、キリトは努めて明るく言っているようだった。
「んじゃま、訊きたいことは終わったし…その、俺らから報告があります」
ゴホンと、キリトはわざとらしく咳ばらいをし、アスナは頬を染めた。…あ、これは来るわ、とリアとツカサは思った。
「俺はこの度…け、結婚しました」
突如の沈黙、そして、
「「…ええええぇぇ!?」」
「け、け、結婚!?」
「う、嘘だろ!?」
2人の驚きっぷりに、キリトとアスナはますます顔が赤くなる。リアとツカサは空いた口がふさがらなかった。
「て、てっきり付き合う報告だと思ってたから…嘘でしょ、結婚、結婚…」
「あ、アスナとキリトが結婚、結婚…」
2人とも、ぶつぶつと結婚、という2文字を繰り返していて、それは奇妙な絵だった。赤くなっていたキリトとアスナも2人の異様な反応に、若干顔を引きつらせる。
「2人とも、そ、そんなに驚くこと?」
「い、いやぁ…だって…」
もごもごと珍しく口ごもるリア。
「ねえ、ツカサ君」
「あ、ああ…まさかなぁ…」
同じく歯切れの悪いツカサ。うーん、と悩ましげにしていたが、やがてリアは息を吐いた。
「…まあ、確かに2人はお似合いだなーって最近思ってたから。おめでとう、2人とも」
「俺もそれは思ってた。アスナ、キリト、おめでとう」
キリトとアスナは顔を見合わせ、
「「ありがとう」」
と微笑んでいった。
すると、リアがツカサのほうを見て、ニヤリと笑う。キリトとアスナは直感した。今から爆弾が降ってくると。
「これは恋愛相談されていた私たちにとっても嬉しいことですな、ツカサ殿」
「ああ、そうとも。頻繁にアドバイスを仰がれていた我々も、相談に乗った甲斐がありましたな、リア殿」
珍しくリアのおふざけにツカサも乗る。見る見るうちにキリトとアスナの顔が赤くなった。
「アスナ殿に関しては、キリト殿の好みの食材やら味付けやら、タイプを聞いてきて、けなげだなぁとおも…」
「わぁぁぁぁぁ!ちょっとリア!」
「キリト殿はアスナ殿に対しての接し方やら、喜ぶ行動というものを…」
「ツカサァァァァァ!」
慌てようがおもしろくて、リアとツカサは腹を抱えて転げまわった。アスナとキリトは、
『『この人たちにはやっぱりかなわないわ…』』
と心の中でぼやいていた。
「あー、面白かった。んじゃま、今日は2人のお祝いのためにパーっとあそびますか!」
……キリトとアスナが次の日疲れでグロッキーになっていたのは言わずもがな。
後書き
はい、いかがでした?流石にあの2人を、クラディール事件の現場に突っ込むには無理があるかな…と思い、事後報告にしました。
それにしても。
アスナがぁ、アスナが空気…‼‼(´;ω;`)許してください…。
次はいよいよユイ編!どうなることやら…
次回もお楽しみに!
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