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レーヴァティン

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第百十四話 長田にてその十

「相手から言われん限りな」
「そして言われることはだな」
「なかったぜよ、ならじゃ」
「お前の方からだな」
「言ったぜよ」
「それしかなかったか」
「それがわかっていたからぜよ」
 それでというのだ。
「告白しようと決めたが」
「告白するまでか」
「受け入れてくれるか不安で、ぜよ」
「逃げたいとも思っていたか」
「告白自体からじゃ」
「告白しないと何もない」
 英雄はこの事実も話した。
「そもそもな」
「何もせんと何も起きんからのう」
「そうだな、だからだな」
「わしは告白をせんで済ませようとも思ったぜよ」
「好きでもか」
「そうもおもったぜよ」
 そうだったというのだ。
「あの時のわしは」
「そうだったか」
「しかしじゃ」
「告白したか」
「そうだったぜよ、それでぜよ」
「結果はどうなった」
「振られたぜよ」
 当季はその口を大きく開けて笑って結果も話した。
「見事ぜよ」
「そうなったか」
「そうぜよ、ただいい娘でのう」
「振られてもか」
「御免なさいで終わったぜよ」
「後は何もないか」
「そうだったぜよ、失恋は時として酷いことにもなるっちゅうが」
「囃されたりな」
 周りにとだ、英雄は自分がしないその行為についてまた話した。
「外野が下らないことを言ったりな」
「けしかけた奴が手の平返しして逃げてのう」
「そうした奴もいるな」
「友達と思っちょった奴が急に裏切る」
「考えただけでも嫌な話だな」
「後で知ったが告白ってのは時として自分を破滅させるぜよ」
 この事実もだ、当季は言った。
「裏切られたり囃されて心が壊れたりもするぜよ」
「実際にそうなった奴がいるな」
「だからじゃな」
「俺は囃さない、そしてそれで裏切ることもだ」
 そうしたことはとだ、英雄は言い切った、
「しない」
「そう出来るだけでも立派なもんじゃ」
「人間として当然だと思うがな」
「そうした屑はじゃ」 
 まさにというのだ。
「論外じゃが」
「世の中にはいるか」
「保身の為に人を切り捨てる奴も人の心の痛みがわからん奴もじゃ」
「そうした奴のせいでか」
「失恋は時としてそれに終わらんぜよ」
「それだけでも辛いがな」
「そこからもっと酷い目に遭ってじゃ」
 そうなってというのだ。
「歪みもするぜよ」
「一旦心が壊れてな」
「そうなることもある」
「それだけ恐ろしいものだな」
「わしはあの時そこまでわかっとらんかったが」
 それでもとだ、当季は英雄に話した。
「しかしじゃ」
「それでもだな」
「告白は怖いものでじゃ」
「不安もだな」
「感じるものぜよ、だからおまんもじゃ」
「俺もか」
「そうぜよ」
 まさにと言うのだった、英雄に対して。 
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