扇風機を前にして
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第二章
家で飼っている鶏、オウムのロージー麻未の母親が自分が好きな漫画のキャラクターから付けた彼が麻未の歌扇風機でわざと声を切らせたそれを言う様になった。それで麻未は母に対してこんなことを言われた。
「あんたが変なことするからよ」
「ロージ―が変なこと覚えたっていうのね」
「そうよ、何考えてるのよ」
「何って言われても」
麻未は母に眉を顰めさせて答えた。
「覚えたのは私のせいじゃないし。それに」
「それに?」
「いやらしい言葉でもないからいいでしょ」
こう母に言うのだった。
「別に」
「そんなこと覚えさせてたら怒ってたわよ」
母は麻未の今の言葉に即座に返した。
「その時は」
「それに覚えさせてもないし」
「ロージーが勝手に覚えたっていうのね」
「そうよ、だから別にいいでしょ」
「いいとは思えないけれど怒る程のものじゃないし」
「それじゃあこのお話は終わりね」
「終わりじゃないわよ、これ以上ロージーが変なこと覚えないように」
母は強引に話を終わらせようとする娘に告げた。
「二度と扇風機に向かって歌わない」
「それは禁止なのね」
「歌うなら普通に歌って扇風機の風にあたるなら普通にあたりなさい」
こう娘に言うのだった、オウムの変な歌を聴きながら。その歌は麻未が扇風機に向かって歌った歌を完璧に再現していた。
扇風機を前にして 完
2019・7・25
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