仗助にもしも双子の姉がいたら?ネタ
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ブルー・ブルー・ローズ その1
前書き
タイトルは、ミナミのスタンド名だけど、ぶつ切りです。続きません。
うっかり、あの世とこの世の境目に入っちゃったミナミを、スタンドが……。
「あれ?」
私は、気がつくと、同じポストの前に来ていた。
おかしいな。さっきまでの道と違う…。
なんだろう? この感じ…。私は、ずっとこの空気を知っていた気がする。初めてのはずなのに。
それでいて、なんか後ろから…、息がかかる。っというか、誰かいる? 痴漢?
ま、こういうのは今に始まったことじゃないし、振り返り様に蹴れば良いよね。
そう思って動こうとしたら、鮮血色の根っこが私を絡み取った。そのせいで振り向けなくなった。
ブルー・ブルー・ローズ!
『いい? そのまま絶対に振り向かないで。』
女の子の声が聞こえた。
『アナタのソレがアナタを守ろうとしているわ。連れて行かれないように。だから、そのまま従って。』
「だれ?」
『いいから、絶対に振り向かずに、その根っこに従って進んで。』
「……動けないのに。そんなこと言われても…。」
ブルー・ブルー・ローズの根っこがグイグイ、ずりずりっと私を前へと引っ張る。視界は、ほとんどない。鮮血色の根っこで覆われて目線だけを後ろへ向けることさえできない。
『だいじょうぶよ。もう少し。』
「いやその…、私が歩いてるんじゃなくて引っ張られて…。」
『いいじゃない。守ってくれる存在がいるんだから。』
やがて、空気が変わった。そしてブルー・ブルー・ローズが、バラッと根っこを散らし、私を解放した。
そこは、もといた場所だった。あのポストも奇妙な空気もない。
『よかった。あなたには守ってくれる力が存在していてこうして戻ってこれたわ。』
「えっ? わっ!」
『ちょっと、ビックリしないでよ。』
「ビックリするよ! 半透明な女の子がいたら!」
『それにしても驚きね…。』
「何の話?」
『あなたは、とても“あの世”に近いところにいるわ。常時ね。』
「はっ?」
『アナタをさっき守ったモノのせいかしら? アナタは、常に生と死の間にいるみたい…。こんな人間見たことないわ。』
「それは、きっと…。」
『だからこそ、気をつけて。その力の使い方を間違えないように。』
「っ…、分かってる! でも、まだ分からないんだよ! 私だって好き好んでこんな力欲しかったわけじゃないんだから! こんな…、この世でもっとも不平等な力! 欲しくなかった!」
『どういうこと?』
「……大きい声じゃ言えないけど…。」
私は、声を潜めて私の能力、ブルー・ブルー・ローズが出来ることを話した。
女の子の幽霊は、辛そうに、悲しそうに顔を歪めた。
「私のせいで…、肥やしになった命は、どれだけいるだろうね?」
『……そう…。』
「そこら辺の殺人鬼より、殺人をしているようなものだよ。けど、私はどうすればこの力を制御できるのか分からない。じゃあ、どうしたらいい? 死ねばいいの?」
『それは…。』
「けど、私は死ねない…。私が死ねば、今まで集められた青いバラの花がどうなるか分からない。この力に意味があるのなら、その意味を知らないまま死ぬなんてしちゃいけないんだ…。きっと…。あの世の境界から、私を引きずり戻したのも…。」
『……祝福…。』
「えっ?」
『“神の祝福”。青いバラの花言葉だったかしら…? 力を持つということは、きっと意味があるはずよ。アナタの青いバラには。』
「意味なんて…。」
『死ねないんでしょ? 何も知らないまま死ぬわけにはいかないんでしょ? だったら、生きなさいよ。そして答えを見つけるの! しゃんとしなさい!』
「……分かってるよ。言われなくても。」
「あれ~? 姉ちゃん、何してんの?」
「あっ、仗助。ここに女の子…、あれ?」
私が仗助の方を見てから女の子の方を見たら、女の子は消えていた。
「姉ちゃん?」
「…なんでもない。」
私は、仗助の方へ行った。
***
side:幽霊の少女
『……神様の祝福…。確かに、もっとも不平等と言えるかもしれないわね。アーノルド…。』
杉本鈴美は、首を切られている犬と共に、あの世とこの世の境目に、不気味に咲く赤い茎を持つ鮮やかな青いバラの花を見つめた。
後書き
ブルー・ブルー・ローズの能力の都合上、常に生と死の境目の空気を嗅いでいるのを自覚していないミナミさん。
鈴美さんに出会うも、名前も聞かず、殺人鬼の話とかは聞いてない。
後に康一君経由で聞く。
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