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レーヴァティン

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第百十三話 返す刀でその五

「なら俺ではだ」
「無理である故に」
「用いない、背かれるだけだ」
「利ももたらしても」
「能力が高過ぎるうえに倫理観が全くないのでは」
「怪物は、でござるか」
「それも並の怪物ではないからな」
 タレーランとフーシェ、この二人はというのだ。
「用いない、だが敵ならだ」
「消すでござるか」
「そうする」
 この世界では殺しても蘇ることが出来る、それでもというのだ。
「ことが済むまで屍になっていてもらう」
「そうせえへんとな」
 それこそとだ、耕平も言ってきた。
「やっぱりな」
「危険だな」
「ああした連中がこの世界にもおったらな」
「能力と人格は必ずしも一致しない」
 この事実をだ、英雄は言うのだった。
「二人共私人としてはよかったらしいが」
「政治家としてはな」
「恐ろしいまでに倫理観がなかった」
 まさに裏切り、謀略を常としていた。その為ナポレオンもその実彼等の資質を買っていたが信頼はしていなかったという。
「そうしたことも有り得る」
「有能な屑やな」
「そうだ、始末に負えない屑はな」
「殺すしかないってことやな」
「能力は向き不向きがある」
 それがというのだ。
「しかし人格はな」
「また別ものやさかいな」
「救い様のない屑はだ」
 それこそというのだ。
「消すしかない」
「害を為すだけやしな」
「そうする、能力はな」
「大事やけどな」
「それは適材適所でだ」
「ある程度どうにかなるわ」
「しかしだ、どうにもならない屑はだ」
 人間としてそうならというのだ。
「始末に負えないからな」
「何をしても悪事を働くからやな」
「消す」
「能力の問題やないか」
「無能な働き者は配置を変えれば有能な働き者にもなる」
 適材適所を適用すればというのだ。
「しかしだ」
「それは人間性次第やな」
「無能な怠け者も有能な怠け者にもなる」
「ただそれはやな」
「葛でないとだ」 
 この前提条件があるというのだ。
「なるものでだ」
「屑は屑でやな」
「どんな場所でもどんな能力でも悪事を為す」
「元首相でもそういうのおったしな」
 耕平はここで自分達が起きた世界のことを話した。
「東北の大震災の時の」
「あいつもそうだな」
「あいつみたいな奴だな」
「あいつがいい例だ」
 実際にというのだった。
「あいつは無能だったが」
「それに加えてな」
「屑だった」
「それでどうにもならんかったな」
「己のことしか考えていなかった」
 このことが明らかだったというのだ。
「その為震災の時もな」
「ほんま酷いことになってたな」
「あれが屑の為すことだ」
「日本が大変な時に己の保身ばかりでな」
「震災に悪影響を及ぼした」
「原発とかあとのことでもな」
「そう思うとな」
 まさにというのだ。 
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