戦国異伝供書
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第四十八話 去った後でその八
「田畑も街も整えてです」
「道も堤もですな」
「よくしていき」
「川にも橋をかけ」
「国をよくしますな」
「そうしましょう、戦も大事ですが」
それよりもというのだ。
「やはりです」
「国と民ですな」
「その二つがどうかですな」
「治め安らかにする」
「そして豊かにしてこそですな」
「そうしてこそです」
何といってもというのだ。
「国が治まり天下の正道もです」
「歩める」
「民と国を慈しんでこそ」
「そこからですな」
「ですから」
それ故にと言うのだった。
「宜しいですね」
「承知しております」
「では我等もです」
「今は政に励みます」
「民と国の為に」
「そうさせて頂きます」
「そしてです」
あらためて言う景虎だった。
「また機を見て」
「川中島にですな」
兼続が言ってきた。
「あの地に」
「はい、兵を出して」
その兼続にだ、景虎は答えた。
「宜しいですね」
「戦をしますか」
「そしてさらにです」
「そこで機があれば」
「まさにです」
その時にはというのだ。
「決着をつけます」
「そうされますな」
「はい、ですが武田殿は」
晴信、彼はというと。
「そうそう隙は見せないでしょう」
「だからですか」
「あくまで機会があればで」
それでというのだ。
「暫く睨み合いになろうとも」
「致し方ないですか」
「その様に考えております」
「そうですか、それでは」
「今は政に励みましょう」
そうして力を養おうというのだ、こうしてだった。
景虎は今は越後の政に励んだ、元々豊かな越後でありしかも佐渡の金山もあり戦の疲れは感じさせなかった。
その彼のところにだ、また新たな者が来た。
「何と、管領の上杉様がですか」
「はい、殿に是非お会いしたいとです」
宇佐美が景虎に話していた。
「申されています」
「上杉様は今上野におられますが」
「その上野がです」
まさにその国がというのだ。
「北条家に攻められていますので」
「そのことはわたくしも知っていますが」
「いよいよです」
北条家に攻められ続けてというのだ。
「危うくなったとかで」
「それで、ですか」
「はい」
まさにというのだ。
「殿にとです」
「わかりました、それではです」
ここまで聞いてだった、景虎は宇佐美に述べた。
「是非です」
「越後にですか」
「参られて」
そしてというのだ。
「人をやりますので」
「こちらにまで」
「案内致しますとです」
その様にというのだ。
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