レーヴァティン
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第百十一話 都からその四
「それでその砲撃の音とだ」
「自分の傍にも砲弾が来た」
その時に周りの侍女が死傷したという。
「それに淀殿は肝を潰してな」
「講和したが」
「その講和でな」
「城は丸裸にされた」
まさに文字通りにだ。
「堀も石垣も城壁も埋められ壊され」
「門も櫓もな」
「そうなってしまった」
それこそ本丸以外はなくなってしまったのだ。
「それでだ」
「大坂城は何も意味もなくなった」
さしもの天下の堅城もだ。
「そして夏の陣ではな」
「遂に負けたな」
「淀殿は何もわかっていなかった」
「ほんまにな」
「だからそうなった」
ひいては豊臣家を滅ぼしてしまったというのだ。
「あれを見るとな」
「孤城になるんやったらな」
「そもそもそうならない様にしてこそだが」
「それでもな」
「大坂城だけになるならな」
それよりも前にというのだ。
「攻めてだ」
「そしてやな」
「勝つ」
「籠城よりもやな」
「籠城は援軍が来る場合に行う」
そうした戦い方だというのだ。
「だからだ」
「この度はやな」
「孤城でするものではない」
「そういうことやな」
「だが本城、拠点が堅固だとな」
その備えが万全ならというのだ。
「それだけだ」
「安心出来るな」
「俺達も兵達もな」
「しかもそこで政をするっちゃ」
このことは愛実が言った。
「それならっちゃ」
「余計にだ」
「確かな場所であるべきっちゃ」
「だから俺は都を治めるが」
それでもというのだ。
「都を拠点にはしない」
「そうっちゃな」
「大坂だ」
自分達の拠点はというのだ。
「ここに置く」
「それは変えないっちゃな」
「大坂は政もしやすいしだ」
それに加えてというのだ。
「商業をするのにもいい」
「そうっちゃ、水でも陸でもっちゃ」
「便がいいからな」
「だからっちゃよ」
「商業も栄える」
そうした地だというのだ。
「だからだ」
「余計にっちゃな」
「あの地にいてだ」
そしてというのだ。
「この浮島の統一を進める」
「それでは」
「近江にも勝つ」
今はと言ってだ、そしてだった。
英雄は都に入ってそこからだった、近江にどう兵を進めるかを考えていたが道は一つしかなかった。
山城から近江に行く道に進んでだ、それで言った。
「この道から近江に入ることはな」
「敵もです」
「そうだな」
まさにとだ、英雄は謙二に応えた。
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