ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第六幕その十一
「そう思ってるよ」
「そうなんだね」
「ううん、僕はもてないとね」
「今でも思ってるね」
「そうだよ、どうしてもね」
「そうだよね、先生は。けれどね」
「僕はもてるんだね」
「見ている人は見ているからね」
それ故にというのです。
「だからだよ、先生は立派なお心の人が見ていて」
「それでなんだ」
「そう、その人とやがて結ばれるよ」
「そうだといいけれどね」
「それでね」
「その人とだね」
「絶対に幸せになれるよ、今も充分幸せって言うだろうけれど」
先生は実際に自分位幸福な人はいないと考えています。
「けれどね」
「それでもだね」
「そう、幸せには限りがなくて」
「僕の幸せについては」
「もっともっと上があって」
そうしてというのです。
「結婚もしてね」
「今以上にだね」
「絶対に幸せになれるから」
だからだというのです。
「お姫様の言葉はね」
「聞くべきだね」
「そうだよ、ただね」
「ただっていうと」
「先生アジア系の女の人はタイプかな」
「うん、イギリスにいた時はヨーロッパ系のね」
先生の女性の好みはといいますと。
「穏やかで怒らなくてね」
「そうした人が好きなんだね」
「性格がよかったら」
それならというのです。
「僕としてはね」
「問題なしだね」
「そうだよ、そして今はね」
「どうなのかな」
「日本の女の人達を見ていると」
黒い髪の毛に黒い瞳の人達をというのです。
「これもまた日本だって思えてきてね」
「それでだね」
「自然とね」
本当に日本に入って徐々にです。
「好きになったよ、それで性格はね」
「穏やかで怒らない人だね」
「優しくて公平でね」
「よし、合格だね」
「合格?」
「そう、合格だよ」
こう先生に言いました。
「それならね」
「どういうことかな」
「うん、先生はまだわからないから」
「まだなんだ」
「そのうちわかってくれれば」
そうなればというのです。
「それでいいよ」
「ううん、お話が見えないけれど」
「だから先生はもっと自分を知らないと駄目だよ」
王子は先生に微笑んでお話しました。
「先生は実はもてる」
「女の人に」
「そうだよ、自信過剰にならないのは先生のいいところだけれど」
それでもというのです。
「もっとね」
「自信を持っていいんだ」
「そうだよ、女性のこともね」
「そうだといいけれどね」
「だって先生女の人のお友達も多いよね」
「男の人も含めてね」
「だって先生はとてもいい人だから」
女性にも公平で紳士です、間違ってもセクハラやパワハラなぞしません。それが先生という人なのです。
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