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ある晴れた日に

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500部分:冷たい墓石その八


冷たい墓石その八

「それだけ竹林さんもね」
「そうよね。考えてみたら」
「私達が落ち込んでるってわかったら未晴だって」
「だよね」
 五人は二人の言葉を受けてそれぞれの顔を見合わせた。それで言うのだった。
「じゃあさ。今日は今日で明るくやって」
「明日待つか」
「そうしよ」 
 五人はすぐに頭を切り替えてみせた。この辺りの切り替えの早さは五人が元々かなり明るい性格であるのが幸いしたのだった。
「それで今日の放課後までに考えて」
「あいつのこと聞くかどうか」
「まああまりいい趣味とは言えないけれどね」
 明日夢はふと自省もしたのだった。
「人の過去を聞くなんてね」
「悪いこと聞くわけじゃないし」
「人の悪い話なんて興味ないし」
 この辺りは善良な五人だった。
「別にね。そういうのはね」
「ただ親しい人とか家族のこと聞くだけだし」
「家族、ねえ」
 明日夢は五人のその言葉を聞いて目だけで後ろを見た。そうしてそのうえで今も自分の席に座りギターを持っている正道を見るのだった。
「そういえばあいつって結構以上に謎よね」
「だろ?それに昨日病院で見たんだよ」
 春華はこのことを皆にも話すのだった。
「市立病院の前でよ」
「昨日っていうとあれかよ」
 野茂がそれを聞いて春華に問い返した。
「野球の試合の後だよな」
「ああ、その時な」
 まさにその時だというのである。
「その時に診たんだよ。病院の前通った時によ」
「昨日っていったらよ」
 坪本は春華のその言葉を聞いて考える顔になった。その顔で彼女達に問うた。
「随分遅いな。試合の後でかよ」
「十時過ぎだったな」
 その時間だというのだ。
「うちバイク飛ばして帰ってきてその時に見たからな」
「昨日は試合早かったけれどな」 
 坂上が言う。
「それでもこっちに帰るのはそういう時間になるよな」
「ああ。それであいつ見ただけれどな」
 ここでまた正道を見る春華だった。
「誰かの見舞いみたいだけれどな」
「見舞いか」
 佐々はそれを聞いて考える顔になりその顔で述べた。
「まさかと思うけれどな」
「お酒ね」
 茜はすぐにそこに察しをつけた。
「それよね」
「じゃねえかな。知り合いの誰かが病気してな」
「それさっき私達も話してたのよ」
 凛が飴を舐めながらここで述べた。
「一体誰のお見舞いに行っていたのかしらってね」
「あれだけ自棄酒飲んでたっていうと」
 佐々はそこのことから考えていった。遡っている形になっている。
「相手は相当大事な相手でしかも」
「状態は相当深刻なんだろうね」
 桐生が応えた。
「それで落ち込んでね」
「だろうな。そうじゃねえか?」
 あらたねて言う佐々だった。
「あの飲み方は尋常じゃなかったからな」
「確かあれよね」
 奈々瀬がその佐々に問う。
 
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