ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第六幕その一
第六章 天守閣の中で
先生達は天守閣の中を進んでいきます、ですが皆ここにも何度も来ています。しかもお城自体よりずっと狭いので。
何処に何があるかは大抵わかっています、それで誰も迷う素振りもなく順調に観て回っています。そしてです。
王子はその中で先生に言いました。
「ごく普通のね」
「観光名所だね」
「言うなれば塔だよね」
そうした建物だというのです。
「これは」
「そうだよ、大きな櫓であってね」
先生もその通りだと答えます。
「それでね」
「こうした造りだよね」
「武骨と言えば武骨だね」
「うん、けれどそれでもね」
木造のその中を見て言う王子でした。
「気品があるね」
「そして趣がだね」
「それがあるよね」
「僕もそう思うよ。やっぱり西国の要のお城でね」
「結構格のある大名のお城だったね」
「だからね」
それだけにというのです。
「その造りもね」
「格があるね」
「そうだよ」
その通りとです、先生は王子に答えました。
「王子の思う通りにね」
「やっぱりそうだね」
「それでね」
さらにお話する先生でした。
「武骨で普通に住むには向いていないけれど」
「戦向きなのがわかるね」
「けれどね」
それでもというのです。
「御殿という訳じゃないけれど」
「そこまではいかないけれどね」
「気品があるね」
「そうだね」
「うん、本当にね」
まさにというのです。
「いいお城だね」
「そうだね、けれどね」
ここでまた言う先生でした。
「ここは塔というとね」
「僕の言う通りだね」
「うん、それとね」
「それと?」
「神社でもあるからね」
「あっ、最上階にね」
王子も言われて気付きました。
「ちゃんとあるね」
「そう、日本ではお城にも神社があるけれど」
「姫路城もそうでね」
「天守閣の一番上にあるね」
「刑部神社がね」
「まさに『おさかべ』と読むね」
その刑部をです。
「だからね」
「あの神社はだね」
「おさかべ姫とも関係があるよ」
「やっぱりそうだね」
「そうだよ、ただあのお姫様と関係があっても」
それでもというのです。
「あのお姫様に会った人はね」
「歴代の城主さん以外はだね」
「いないんだ」
これがというのです。
「これがね」
「そうだね、ひょっとしたら」
ここで王子はこう考えました。
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