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いらんハーレム

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第五章

「凄くな、だからな」
「僕達もだね」
「ひいお祖父ちゃんみたいにだね」
「なれ、お父さんとは趣味は違ったが」
 それでもというのだ。
「立派だったことは事実だからな」
「じゃあ僕達も」
「ひいお祖父ちゃんみたいになるといいんだね」
「そうだ、大人になったらな」
 こう話すのだった、健一郎のことを。
 だが彼は子供達に祖父のハーレムのことは話さなかった、子供に話すことではないからだ。そして次の日ハーレムを受け継いだ叔父の健次郎からあれはいいと言われたがそうですかと返しただけだった。彼の興味の外のものだから。
 しかしだ、叔父にこうも言った。
「そうしたものを持つのもですね」
「いいものだよ」
「度量がなければ持てず」
「そして楽しめるからな」
「そうした趣味の人ならですね」
「わしは親父に似てどっちもだからな」
 叔父は笑って話した、父以上に祖父に似た顔だ。
「それならいい」
「それは何よりですね」
「最初はお前にと言われたんだったな」
「趣味じゃないですから」
 健はこのことはきっぱりと答えた。
「ですから」
「それならいいか」
「はい、これからも楽しんで下さい」
「そうさせてもらうよ」
 健次郎は健に笑顔で話した、そこで健は思った。そしてその思ったことを述べた。
「人それぞれの好みで」
「好みでか」
「欲しいものといらないものがある」
「お前はあのハーレムをいらなかったな」
「今もね」
 実際いにとだ、健は叔父に答えた。
「だから祖父ちゃんに断ったしね」
「今も興味深そうじゃないしな」
「けれど叔父さんは違うね」
「ああ、満喫しているよ」
「ならそれでいいよな、本当に人それぞれだよ」 
 欲しいものといらないものがある、健はこのことを実感していた。そうしてそのうえで自分の家族のところに戻るのだった。彼の世界に。


いらんハーレム   完


                 2019・3・13 
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