ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第五幕その九
「これが」
「そうだったんだね」
「はい、本当に」
まさにというのです。
「僕は、あと畳やちゃぶ台も」
「日本のお家独自だね」
「お布団もですね」
「全部だね」
「最初は慣れませんでした」
「それまでに時間がかかって」
「苦労しました、ですが今は」
どうかといいますと。
「慣れてです」
「馴染んでいるね」
「そうなっています、そういえば畳も」
トミーはふと日本のお家にあるこの敷くもののことを思いました。
「江戸時代から凄く増えたんですね」
「昔の日本のお家の床は木の板だけね」
「湿気や寒気が」
「そのまま残っていたからね」
「過ごしにくかったんですね」
「夏も熱気が残ってね」
夏は夏でというのです。
「困るからね」
「それで畳が出てきて」
「日本のお家には絶対にある様になってね」
「快適になったんですね」
「それだけね。若し畳がないと」
そうなればというのです。
「日本のお家は過ごしにくいね」
「日本のお家には欠かせないですよね」
「今ではね」
「そういえば畳のベッドがあるね」
王子がこちらのお話を出しました。
「そうだね」
「あれもいいそうだね」
「そうみたいだね」
「日本ならではのベッドだね」
「そうだね、日本ではベッドはね」
こちらの寝る場所はといいますと。
「奈良時代はあったと思うけれど」
「平安時代から和風の趣が強くなって」
「それでね」
そうなってというのです。
「お布団になっていったんだ」
「そうだったんだね」
「お布団も本当に日本ならではだね」
「日本のお家はお布団だね」
「そのお布団も日本の文化の中で出てきて」
「育っていったんだね」
「そうして定着したんだ」
そうしたものだというのです。
「実はね」
「畳と一緒だね」
「そうなるね、ただ天守閣の中は本来武器庫でもあったから」
「住む場所じゃないね」
「基本大きな櫓だよ」
それが天守閣の実態だというのです。
「だから住むにはあまり向いていないんだ」
「織田信長さんは住んでいたそうだけれど」
「安土城の天主閣に」
「けれどそれは一般じゃなかったのね」
「実は」
「うん、あの人は天主閣を御殿にしていたからね」
そうした造りにしていたからだというのです。
「かなり特別な例でね」
「普通は御殿に住むんだね」
「天守閣じゃなくて」
「この姫路城でもね」
「それは同じだったのね」
「そうだよ、大抵のお城でね」
先生はお茶を飲みつつ皆に答えます。
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