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ある晴れた日に

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453部分:これが無の世界その二


これが無の世界その二

「油断したらな。いきなり合併とかな」
「日本ってそういう親会社多いし」
「ああ、親会社は信用してないから」
 この辺りはわかっているといった感じの明日夢であった。
「あそこはね。もう信じてないわよ」
「そうか、やっぱりな」
「信じてないのね」
「そうよ。ねえ音橋」
 ここで正道にも話を振る明日夢だった。丁度話をしている彼女の横に彼の席があってそこでいつものようにギターを手にしているのである。
「あんただってそうよね」
「俺もか」
「そうじゃないの?」
 あらためて彼に問うのであった。
「そこんところは。どうなのよ」
「そうだな」
 まずはこう返す正道だった。
「俺だってな」
「そうよね。やっぱりね」
「あいつのことはな」
「んっ!?」
「あいつ!?」
 ここで皆は異変を感じ取った。他ならない彼の言葉から。
「気になって仕方がない。やっぱりな」
「あのさ、音橋さ」
「あいつって!?」
「まさかと思うけれど」
 皆今の彼の言葉におずおずと問う。だが本人は全く気付かないままで考える顔のまま俯いたままであった。そのうえで呟いているのだった。
「野球の話じゃねえよな、それって」
「違うでしょ」
「野球!?」
 ここで顔を皆の方にやっとやるのだった。
「野球か」
「そうだよ、野球だよ」
「一体何の話をしているのよ」
「あんた阪神ファンだったわよね」
「そうだ」
 このことはすぐに認める正道だった。
「俺が阪神ファンなんだが」
「じゃああいつって」
「誰のことよ」
「誰だったかな」 
 今の正道の言葉はとりわけぼけたものだった。
「一体。野球選手っていうと」
「駄目だこりゃ」
「全く」
 最早皆完全にお手上げであった。中には肩を竦めさせてしまっている者までいた。
「全然話聞いてないな、こいつ」
「一体何やってるのよ」
「何でもない。ただな」
 こう言ってとりあえず誤魔化す正道だった。
「今は少し考えさせてくれ」
「まあだったらいいけれど」」
「私達だけで話すし」
 彼等もこう話してとりあえず正道をそっと置いておくことにした。
「とにかく。ベイスターズはね、これからね」
「じゃあ早く真っ当な補強しろって」
「それがいいわよ」
 皆話を野球にまた戻していた。その対象はやはりベイスターズである。
「それか今はじっくりと選手育てるか」
「どっちかよ」
「補強!?あのフロントにそんな真っ当な補強できないわよ」
 明日夢はまずその可能性を否定した。
「もう全然見る目がないのに」
「じゃあ育成だよな」
「そっちに力入れたら?正攻法で」
「監督が二年か三年ですぐ変わるのに?」
 いい意味でも悪い意味でも自分が応援するチームのことをよくわかっている明日夢であった。それが時として不幸に至るとしてもだ。
 
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