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フォース・オブ・イマジナリー

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Turn:08 ヴァンガード普及協会

 
前書き
大会への参加を迷うヒトミ
そんな彼女をミライはある場所へと誘う
そこでは意外な出会いが待っていた 

 
「大会か………」
大会に出ることを薦められたヒトミだが踏ん切りがつかないでいた
「はぁ、どうしようかなぁ」
困ったように項垂れているとミライがエプロンから着替えて出かける支度をしていることに気付いた
「あれ?ミライさんどこか行くんですか?」
「うん、ちょっとドラゴンエンパイア支部に、何だったら一緒に来る?」

Turn:08 ヴァンガード普及協会

特徴的な赤い建物にミライに連れられ
「ここが普及協会………ヴァンガードの大会を運営しているところだけはありますね」
そういってあたりを見回すヒトミ
広いロビーを眺めて左右を見ていると
「なんかどこかのショッピングモールみたいな………うわっ!?なにあれ?」
真っ赤な竜の立像を見つけぎょっとなった
「ああ、ドラゴニック・オーバーロードっていうかげろうのユニットよ」
「いや、そうじゃなくて、なんであんなものが?」
「さっき自分でショッピングモールみたいって言ってたでしょ、ここの1階から3階は一般の人向けにアミューズメントエリアになっていて、自由に見て回れるのよ」
「それであんなものが………」

ミライが受付の人と話している間近くのベンチで座って待っていた
「はい、わかりました、では終わりましたら………ごめん矢代さん、伯父様会議が長引いてるみたいで………」
「伯父様?………」
「それは後々、あ、そこのテラスにファイトスペースあるから行ってみる?
そう言ってミライは二階の方を指さす
「………」
ファイカを握りしめしばし考えた様子のヒトミだったが………

「超次元ロボダイユーシャでヴァンガードにアタック」
「ガード!」
子供たちがにぎやかにファイトしている様子を眺める一人の女性の姿がファイトスペースにはあった
「いろんな人とファイトしてみるのも楽しいわよ」
「それもわかっているんですけど………」
「あら?ミライさん」
「あ、レイラ、あなたも来ていたのね」
女性がミライに気付き声をかけるとすぐにヒトミにも気づいた
「こちらは?」
「最近2号店に通い始めた常連さん」
「初めまして、私船本レイラと申します」
「あ、矢代ヒトミです」
優美な所作であいさつをするレイラに驚きつつあいさつを返すヒトミ
「そういえば今日はチームの子たちは一緒じゃないのね」
「ええ、今日は弟の付き添いに」
「弟さん?」
ヒトミが釣られてファイトテーブルの方を見てみればファイトで負けて落ち込む少し及び腰な少年と元気に勝利を喜ぶ少年
「えっと、あっちの喜んでる」
「いいえ、落ち込んでる方が弟です」
「お姉ちゃんごめんなさい、負けちゃった」
レイラの下へ落ち込んだ少年がデッキを握りしめながらやってきた
「ユウダイ、そんなに落ち込んではだめよ、負けるのは別に悪いことじゃないわ、ですよね」
弟を慰めながらミライたちに話を振るレイラ
「あ、えーっと………」←今のところ負けたことない人
「クスッ、ええ、その通りよ、私も何度か挫けそうになったけど、そうして得たものだってたくさんあるわ」
「ミライのお姉ちゃんすっごく強い人なのに?」
「ええ、誰だって負けることはあるわ、大事なのはヴァンガードを大好きだって気持ち、ユウダイ君だってヴァンガードが好きでしょう」
「………うん!僕諦めないよ」
「ふふっ、それでこそ私の弟よ」
「僕もう一度ファイトしてくる」
そういってユウダイはまたファイトスペースへと戻っていった
「懐かしいなぁ、私もヴァンガード始めたばっかりの頃上手くいかなくてよく泣いてたっけ」
「え!?ミライさんもですか?」
「ああ、うん、うちの場合覚えたての頃は両親とファイトしてたんだけど………ファイトのこととなると手加減するのも忘れて熱くなっちゃうから」
「ぶふっ」
頬を掻いて困った笑みを浮かべるミライと思わず吹き出してしまうレイラ
「えっと」
「ミライさんのお母様は元プロファイター、お父様も普及協会で働いていてとても素晴らしいファイターだったとか」
「えっ!?そんな相手が手加減ナシって………」
思わずドン引きするヒトミを見て遠い目で落ち込むミライ
「本当、挫けずよくここまで続いたなぁ」
「ミライさーん!帰ってきてください!」

「すいません!新導ミライさんはいらっしゃいますか」
支部の制服を着た女性が慌てた様子でミライを呼びに来る
「ミライは私ですけど」
ユウダイとヒトミのファイトを眺めていたミライが手を上げて呼び寄せる
「すいません、支部長に頼まれて呼びに来たんですけど………」
「ああ、ひょっとして新しく来た」
「はい、宮導チカゲといいます」
「えっ?宮導?」
女性が名乗って驚いたヒトミが思わず身を乗り出す
「知ってらっしゃるの?」
「ええっと、クラスメイトに同じ苗字の友達が………」
「まあ、じゃあ貴方ヤイバのお友達?」
ヒトミの言葉に嬉しそうに笑うチカゲ
「えっと、初めてのファイトの時にいろいろ教えてもらって」
「まあ、ヤイバにこんなかわいいお友達が」
「ではあなたはその子のお姉さまなんですの?」
「い~え、ヤイバは私の息子です」
チカゲの言葉に周囲の空気が一斉に凍り付く
「ず、ずいぶん若いお母さまで、失礼ながら年齢を聞いても………」
「上手なお嬢さんですね、こう見えて31歳ですよ」
「えっ!?本当に若い!?」
思わずミライも声を上げてしまった
「あっ、すいません私仕事がまだ」
「私も伯父様に用事があったんだ、このままじゃ待たせちゃう」
チカゲとミライが慌てて出ていく中でヒトミたちはただ驚き立ち尽くすのだった

「ただいまぁ~」
「おかえりお袋」
帰宅したチカゲをヤイバが出迎えた
エプロンを外しつつカバンを預かる手慣れた様子
「ごめんねぇ、もうすぐ大きなイベント控えてるから忙しくて………」
「いいよ、地方の支部からこっち移って大変なんだろ?」
「あぁいい匂い、あ、そういえば今日、あんたの友達支部に来てたわよ、ずいぶん可愛いガールフレンドじゃない」
「はぁ!?何だよそれ!?てか誰だよ!?」
「ミライちゃんと一緒に支部を見学に来てたのよ、矢代さんって言ったかな」
「ああ、あいつとはショップでファイトしてからよく一緒になるんだ、それだけだよ」
「ふーん、それだけねぇ………」
「あんまりしつこいと晩飯片付けるぞ」
「あーごめんヤイバ!お母さんが悪かったから!」
ヤイバの言葉に慌てて謝るチカゲ
「でもよかった、あんたが楽しそうで」
「まあ、矢代以外にもいろんな奴とファイトしたりしてるからな」
「支部で聞いたわよ、強豪相手に勝ったんですって?」
「まじ?そんな噂になってんのかよ」
「そのカードをくれた人に感謝しなくっちゃね」
「………ああ」
チカゲの言葉にブラスター・ブレードを取り出して笑顔で眺めるヤイバ
「ねえ、あとでお母さんとも久しぶりにファイトしよっか」
「先晩飯にしようぜ、俺だって腹ペコなんだから」
「へぇー、あんた待っててくれてたんだ」 
 

 
後書き
次回予告
「それにしても可愛い子だったわね」
「まだ言うのかよ」
「だって気になるじゃない、あんたが女の子と仲良くなるなんて」

turn:09 ドラゴンエンパイア支部

「ただのファイト仲間だよ」
「本当に?」
「てか、母さんのターンだぞ」 
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