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ある晴れた日に

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45部分:妙なる調和その六


妙なる調和その六

「私服なんてこうした場所でしか学校の行事じゃ着れないしな」
「確かにね。それはね」
「それを考えたら仕方ないか?」
「どっちにしろ。野本君はかなり乗り気だし」
「行くか」
「ええ。行きましょう」
 今度は未晴がこの言葉を言うのだった。
「野本君が騒ぎ出さないうちにね」
「全く。おかしな奴だぜ」
 こんな話をしながら皆のいる場所に向かいそうして服を着替えた。そのうえで皆で審査に参加するがその結果はというと。
「おい、何なんだよこれ」
 発表の場において野本が激怒していた。
「何で俺達が優勝じゃないんだよ」
「あのな、三下」
「その仇名で呼ぶなつってんだろ」
 春華に対してムキになった顔で返す。
「二度と呼ぶなよ、いいな」
「手前自分の服見てからそんなこと言え」
「何っ!?」
「何だよその服」
 野本の服を睨んで言う春華だった。見れば彼はまっ黄色のジャケットにオレンジのズボンだ。しかもジャケットの下のシャツは緑で尚且つアメコミのキャラクターがそこにいる。靴は真っ黒いシューズである。目立つことばかり考えている格好なのがよくわかるものだった。
「無茶苦茶じゃねえかよ」
「そういう手前はどうなんだよ」
 野本は野本で春華に言い返す。
「似合わねえだろ、ピンクのジャケットなんてよ」
「人の趣味に口出しするなよ」
 どっちもどっちなやり取りだった。しかも春華は下は青いジーンズの半ズボンである。お世辞にもピンクのジャケットには合っていない。
「これはあたしが姉ちゃんから貰ったお気に入りなんだよ」
「おめえの姉ちゃんも悪趣味だな」
「何ィ!?家族の悪口言うとただじゃおかねえぞ!」
「実際に合ってねえだろ!」
「うるせえ!」
「しかし。あいつ等だけじゃなくてな」
 正道は皆を見て目を顰めさせていた。
「何か俺達全員個性的な格好してねえか?」
「まあそれはな」
 二人はお互い言い合う。
「個性的っていうか何かな」
「おい柳本」
「何?」
 野本は咲に声をかける。咲もそれに応える。
「御前いつもその格好か?」
「外出の時はいつもだけれど?」
「家の中でもか?」
「まあそうね」
 何気ない様子で答えてきた。
「それがどうかしたの?家じゃズボンも多いけれどね」
「それでもよ」
 野本の言葉はかなり呆れたものだった。
「御前その格好は幾ら何でもな」
「何か悪い?」
「悪いも何もよ」
 その呆れた言葉でまた咲に言う。
「ピンクハウスバリバリはねえだろうが」
「咲は昔からよね」
「ねえ」
 しかし彼女の横で静華と凛が言う。
「これの何処がおかしいのか」
「似合ってるじゃない」
「そういう御前等もな」 
 その二人の格好を見て野本はまた呆れた。
「黄色と黒のストライブはやっぱりあれか」
「誇りの色よ」
 静華は胸を張って言い切った。
 
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