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ある晴れた日に

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443部分:辺りは沈黙に閉ざされその十


辺りは沈黙に閉ざされその十

「それならな。やり方はある」
「やってみるんだね」
「それを思いついた」
 実際に今の彼は何かを決定した顔だった。
「やってみる」
「頑張ってね」
「ああ。じゃあな」
 こう話を交えさせてから後は黙った。その間も咲達はあれこれと不平を言っていた。
「何で咲達に教えてくれないのか」
「それがわかんねえよ」
「何だっていうのよ」
「未晴と私達の付き合いって長いのね」
「おかしいわよ」
 こう言っても先生達は教えてくれなかった。それでこの二学期最初のホームルームは終わった。五人はそれを聞いてもまだ終わらなかった。
「どうする?」
「どうするって?」
「どうするのよ」
 静華と凛が春華に対して問い返していた。また咲の席のところに集まって今度はそこにそれぞれ自分の席を持って来てそのうえで話をしているのだった。
「何か考えあるの?それで」
「春華には」
「もうこうなったらよ」
 春華は自分の席で足を組みながら言うのだった。
「未晴のお母さんに聞こうぜ」
「そうね」
「それが一番ね」
 加山が絶対に聞けないと言ったことだがそもそも彼女達はそんな話は何一つとして聞いていないのでここでこんな話をするのだった。聞いているかも知れなくても聞こえていなかった。
「じゃあ今日の放課後未晴の家に行って」
「聞こう」
「それ、絶対に無理よ」
 しかしここで恵美が五人のところに来て告げたのだった。
「それじゃあ未晴が何処に入院してるかは絶対にわからないわよ」
「えっ、何で」
 未晴の今の言葉を聞いて目を丸くさせた奈々瀬だった。
「何でなの?それって」
「おい、めぐりんよ」
 春華は仇名で彼女を呼んできたのだった。
「何でそれが無理なんだよ」
「未晴のお母さんは絶対に未晴の入院先を知ってるわ」
 このことははっきりと確信している恵美だった。
「それは間違いないわ」
「そりゃお母さんだから当然よ」
 咲はそれを聞いて言うのだった。
「お父さんとお母さんは絶対に知っていないとおかしいわ」
「そうよ」
「だったら何でそんなこと言うのよ」
 今度は咲が口を尖らせて恵美に問い返した。
「何でそれだとわからないのよ」
「未晴のお母さんに聞かなくて誰に聞くのよ」
「そうよ」
 静華はその少しふっくらとした頬を膨らませ、凛は目を少ししかめさせて恵美に言い返した。
「先生が教えてくれないんだったら」
「お母さんに聞くしかないじゃない」
「そのお母さんが教えてくれる筈がないわ」
 恵美が言うのはこのことだったのだ。
「絶対にね」
「絶対にって」
「そんなの有り得ないわよ」
「そうよ」
 五人は一斉に恵美の言葉に反論した。思わず席から立ち上がりそうになる。恵美はその五人と対するかのように立ったままである。
「何度も言うけれど未晴との絆って」
「本当に幼稚園の頃からで」
「いつも一緒にいるのに」
「姉妹みたいなものよ」
「それで何でなのよ」
 少し怒った声になってさえいた。五人共。
「お母さんが教えてくれないって」
「何でなのよ、それって」
「あんた達に教えられるんならもう最初から教えているわ」
 今度はこう言うのだった。
 
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