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レーヴァティン

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第百八話 善行がもたらした果報その七

「そこからだ」
「近畿の他の国々も」
「近江や若狭もな」
「手に入れていきますね」
「丹波や丹後もな」
 こうした国々もというのだ。
「手に入れていってだ」
「近畿を完全に一つにする」
「まずはそうする」
 近畿の完全掌握、それをというのだ。
「まずはな」
「そうですね、では」
「都をだ」
「目指しますか」
「次はな」
 こう言ってだ、英雄は刺身を食べつつまた酒を飲んだ、そうして酒を飲みながらこうしたことを言った。
「そして今は飲むが」
「いや、相変わらず皆飲むね」
 奈央自身飲みつつ英雄に応えた。
「飲むの好きだしね」
「そうだな」
「このお城でもね」
「酒は飲んでこそいい」
 英雄はこうも言った。
「だからな」
「今もだね」
「飲む、しかし」
「しかし?」
「それはあくまで安全な時だ」
 この時に限るというのだ。
「若し危ういとな」
「飲まないね」
「酒に酔って満足に戦えるか」
 英雄の今の言葉は真剣なものだった。
「それは出来るものではない」
「だからだね」
「安全な時に飲む」
 このことが確かな時にというのだ。
「その様にする」
「そういうことだね」
「酔わせて闇討ちにする」
 これは新選組もよくやったことだ。
「それもあるからな」
「それでどれだけの暗殺があったか」
 幸正も言ってきた、今紀伊の港でも船を造らせている。
「わからないからな」
「酔わせた状態なら狙いやすい」
「普段よりもな」
「どういった豪傑もな」
「それで倒せる」
「だから俺はだ」
 英雄は幸正にも話した。
「安全でないならな」
「それが確かでないとな」
「飲まない」
「賢明だな、ではな」
「今日はだな」
「安心して飲む、だが武器は」
 彼の刀天羽々斬はというのだ。
「枕元に置いておく」
「そしていざとなればだな」
「それを手にして戦う」
 そうするというのだ。
「必ずな」
「そういうことだな、そしてだ」
「それでいいな」
「不用心な奴が何かを出来るか」
 そもそもとだ、幸正は梅を食べつつ厳しい顔で述べた。
「ましてやこの世界を救うならな」
「その程度の警戒はだな」
「出来ていないとだ」
 到底と言うのだった。
「無理だ」
「何も出来ないな」
「そうだ、だから用心はしておけ」
「安全でもだな」
「そして枕元の刀を手にしてな」
「戦うべきだな」
「いざという時はな、そして今はな」
「このままだな」
「飲んでだ」
 そしてというのだ。 
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