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ある晴れた日に

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435部分:辺りは沈黙に閉ざされその二


辺りは沈黙に閉ざされその二

「何持って行こうかしら」
「西瓜がいいんじゃないかしら」
「あっ、西瓜ね」
「いいわね」
 そのうえでこんな話もするのだった。
「黄色い西瓜いいわよね」
「未晴あれ好きだし」
「ええ。それじゃああれ持って行きましょう」
 五人はとりあえず黄色い西瓜を持って行くことにしたのだった。
「お母さんが届けてくれるしね」
「じゃあそういうことでね」
「今日は西瓜にしよう」
「西瓜か」
「いいんじゃね?」
 野茂と坂上はそんな五人の話を聞いて述べた。
「まだ暑いしな」
「見舞いには丁度いいよな」
「あと花も持って行ったらどうだよ」
「何かあるだろ」
 坪本と佐々は花を勧めるのだった。
「薔薇とかよ。そういうのな」
「椿とか百合以外にな」
「あっ、椿は駄目だったんだ」
 茜は彼等の話から気付いたのだった。
「お見舞いには」
「椿は花がぽとって落ちるから駄目なのよ」
 千佳がその茜に説明する。
「すぐ死ぬみたいだからっていう理由で」
「ふうん、何かそういうのってあるのね」
「百合は確か。お鼻によくないからだったかしら」
 千佳は百合に対しては今一つ不確かだった。
「それで避けられてるんだったと思うわ」
「じゃあスミレなんかどうかしら」
 茜がここで勧めたのはスミレだった。
「あれだったら奇麗だし」
「そうね。スミレね」
「いいわよね」
「そうよね」
 五人は茜の話を聞いてお見舞いの花はそれにしようかと考えだした。
「この前はアヤメだったし」
「今度はスミレでね」
「いいわよね」
 こうした話をするのだった。
「それじゃあスミレで決まり」
「そういうことね」
 花も決まった。茜の勧め通りスミレにするのだった。
 しかしまだ話は続く。五人はここで愚痴も言うのだった。
「おかげで宿題するの大変だったし」
「答えどうかな」
「かなり間違ってるんじゃないの?」
 五人は今度は夏休みの宿題の話をするのだった。これは学生である限り絶対に逃れられないことだった。夏休みに宿題は付き物である。
「それでも出すか」
「それしかないわね」
「未晴がいればよ」
 また未晴の名前が出るのだった。五人は今度は困った顔であった。
「すぐに終わったのによ」
「いつも的確に教えてくれるからね」
「本当に助かってたわ」
「俺なんか宿題殆どこいつの丸写しなんだけれどな」
 野本は右隣にいる竹山を指差して述べていた。
「もうな。それで終わりだぜ」
「御前はちゃんとやれ」
「そうよ」
 早速皆から言われる野本だった。
「っていうか何処までずぼらなんだよ」
「どうなのよ、その辺り」
「僕は別にいいけれど」
 竹山は寛容だった。まるで慣れているといった顔だった。
「それ位はね」
「いや、いいっていうんじゃないからよ」
「こいつが全然しないから」
 皆はその竹山に対して言うのだった。野本のことをだ。
「それが問題なんだよ」
「あんたが甘い顔したら余計にしないじゃない」
「俺は元々しないぜ」
 だが野本は全く悪びれていない。
 
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