魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
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第65話 ドキドキッ☆ 富士の樹海で一週間キャンプ‼︎
【三日目】
琴葉「あの、レンさん。今滅茶苦茶面白いことを思い付いたのですが、協力して貰えません?」
レン「嫌な予感しかしないのだが。あと、それってグレースでもいい?」
琴葉「あ、はい。って事でやりますよ、グレースっ‼︎」
グレ「おー‼︎ 何やんのか知らないけど!」
琴葉「クソ偽ヤクザにドッキリを仕掛ける」
グレ「キタぜオレの時代」
レン「手伝えることがあったら手伝うわ。ま、その時は呼んでくれ。自●願望者ぶっ飛ばし大会行かねば」
「「頑張れ」」
琴葉「さって、作戦を説明しますね……!」
◇ ◇ ◇
琴葉「———というわけで、私達は幼い時から付き合ってますっ! (“グレースといちゃいちゃしているところに上手くレンが突っ込んでその流れで囚人メンバーとクソ偽ヤクザに発表”までは完璧……後はここからクソ偽ヤクザがどう言う反応に出るか……)」
真希「は……嘘だよな……?」
グレ「ムッ、ほんとだよ〜! オレ、琴葉ちゃんとマフィアで出会った時からずーっと好きだもん。と言うか、愛してるもん」
真希「じゃあなんで他の男に触れさせんのを許してんだよ」
グレ「仕事上、お互いそう言うことが多いからね。それに、最近のコトについてはぜーんぶ、真希サマが意図的に引き起こしてるじゃん‼︎」
真希「…………あー、そーかよ。勝手にしろ。じゃあな」
ハク「……ねーねー、琴葉ちゃんっ!」
シン「……か、ん、しゅぅぅぅううううう……‼︎‼︎」
「「嘘だな」」
琴葉「うん」
ハク「琴葉ちゃん、マズイよ……! 真希様、普段なら絶対に琴葉ちゃんを殴ってたのに‼︎」
シン「今、研究員様は面白いくらいに拗ねているぞ。正面から顔を覗き込んでみろ。きっと、小学生みたいに頰を膨らませている」
ハク「追っかけた方がよくない? めっちゃくちゃ下向きながら去ってったけど……」
シン「結構遠くまで行ったら三角座りをして、滅茶苦茶落ち込むかもしれない」
ハク「はやくしないとマジでやばいて」
シン「ゴー」
「「って言う訳ないじゃん」」
ハク「琴葉ちゃん、カメラ又は携帯ぷりーずっ‼︎」
シン「早く一緒に写真を撮りに行こう‼︎」
琴葉「面白そうだから行ってきて貰っていいですか?」
「「早くカメラオアケータイ‼︎」」
琴葉「はい」
「「センキュー‼︎」」
グレ「……んで、琴葉ちゃんはこれからどうするの?」
琴葉「楽しいからこのまま放置。大会に参加しましょう」
グレ「おーけー!」
◇ ◇ ◇
琴葉「……ま、“クソ偽ヤクザを引き剥がす”という目標は達成出来ましたね。やった」
「…………よし、この辺なら誰もいない……」
琴葉「(早速一人目、見つけてしまいましたね……)あの、すみません」
「え」
琴葉「こんなところで、どうしたんですか? ロープなんか手にして」
「え、あ……」
琴葉「(ま、此処まで来てしまった人には、何を言っても通じないでしょうけど、一応……)自殺しに来たとしたらやめたほうが良いですよ? 自殺は苦しいですから」
「…………だ……いや、だ……‼︎ もうあんな場所、帰りたくない……ッ‼︎‼︎」
琴葉「なら病院に行くのは如何ですか? そのようなネガティブな思考、少しは減らせると思いますけど」
「なんで病院なんか……ッ‼︎ ぼくはどこもおかしくない! っていうか、アンタこそ、どうしてここに居るんだ‼︎」
琴葉「キャンプしに来ました。暇潰しに樹海の中を歩いていたのですが、迷ってしまって」
「キャンプ……? ……っそんなのどうでもいい‼︎ とにかく、ぼくはここで……‼︎‼︎」
琴葉「え、貴方なにして……」
——— ザアァァァァ……
琴葉「(しまった……全く知らない何処か誰かさんが放った魔法の所為か、崖になって……下は水ですけど、高さがかなりありますからねぇ……仕方ない、此処は魔法で……) …………っと。やっばい……」
黒華は男の腕を掴んで、魔法で男を転移させる。転移先は、まぁなんとかしてくれるだろ、という事雑な考えより、マフィア御用達の病院。なので、男の方は無事だった。
だが、その代わりに黒華は宙に投げ出される。
琴葉「あれ……これは、相当マズイのでは……?」
咄嗟に出っ張っていた岩を掴み、取り敢えず下の方まで落下するのはは防いだ。
だが、これで手を離せば即落下。良く見ると、下は岩だらけ。とても、落下して生きて居られるとは思えない。
こういう時こそ魔法、と思っても、先程の転移魔法により、周囲の魔力は全て尽きた。魔法は使えない。
琴葉「……うわっ」
ズルっと黒華の体が数センチ落ちる。掴んだ岩が偶然湿って居た為、手が滑ったのだ。
黒華の体を支えるのが、片手だけになる。
琴葉「……これ、如何にかしてもう少し上に行けないモノですかね……せめて、足を置ければ……」
石を片手でしっかりと掴みながら、足を振って足が掛けられそうな岩を探す。だが、そんな都合よく足が届く範囲に岩は無いわけで。
琴葉「……あーこれ、早く生存ルートを考えなければ本当に死ぬのでは……まぁ、別に良いですけど……どーせ、蘇生してもらえ……ないかー……」
「———オイ。なにしてんだ。クソ野郎」
琴葉「ん……嗚呼、偽ヤクザさんですか。お疲れ様ですー。自●願望者ぶっ飛ばし大会の方、しっかりやってますかー?」
真希「目の前に自●願望者が居るのにそれ言うか?」
琴葉「え、私が自●願望者ですか?」
真希「それ以外誰が居んだよ」
琴葉「これ、事故なんで。自分から落ちたんじゃ……あ、でも自分で落ちたわ」
真希「じゃあてめえの事助けて、後で思いっきりぶっ飛ばす。覚悟しとけよ」
琴葉「……すみません、それは無理です」
黒華が掴んでいた石に、パキッと音を立てながらヒビが入った。
そして、砕ける。
黒華の体は重力に従って、下へと落ちる———
真希「……………………ったくよぉ、どんだけ俺様に迷惑かけりゃ気が済むんだよ。クソ女」
———事はなく、石を掴んで居た手を、白雪は強く握って、一気に引き上げる。
琴葉「……じゃあ、助けなければいいじゃないですか」
真希「ぶっ殺すぞてめえ……はぁ……泣きそうになってるヤツが何言ってんだよ」
琴葉「え、此処で私が散々泣いて、泣き疲れて貴方に抱きかかえられながら拠点まで戻って、私の意識が戻った時に『ごめんなさい、私が悪かったです……もうあんな悪戯を仕掛けたりしません……だから許してください、真希様』って言わせようとしてたんじゃないんですか⁉︎ あーあ。泣き真似して損した」
真希「ホント死ね……」
真希はポケットから煙草の箱を取り出し、その中から一本だけ取り出す。が、直ぐにそれを箱にしまい直して、はぁぁぁあああああ、と大きく溜息を吐く。
真希「畜生……煙草、湿気てんじゃねぇか。オイ、クソ女。てめえは煙草持ってねぇのかよ」
琴葉「持ってないでーす……って言いたいところなんですけど、実は持ってるんですよねぇ、これが。しっかりと湿気ないようにもしてありますので」
真希「なんだ、可愛いトコあんじゃねぇか。一本くれ」
琴葉「は? 貴方の為に持ち歩いてるんじゃないんですけど」
真希「グレースってヤツの為なんだろ? てめえの男の。……やっぱ可愛くねえ」
琴葉「む……(そんな悲しそうな表情されちゃ、罪悪感が凄いんですけど……)」
真希「やっぱ要らね。他の男のヤツ吸うなんて、真っ平御免だ。さっさと帰んぞ、クソ女」
とそこで、黒華は気付く。
真横の茂みに、黒華のカメラと携帯を構えたハクとシンが、笑いを堪えながら隠れていることに。
琴葉「(もっしかっして〜もっしかっして〜?)ねぇ、偽ヤクザさん。こっち、向いてくださいよ」
真希「ああン? 誰が向くか、クソ女」
琴葉「へへっ」
黒華が白雪に近付いて、顔を覗き込む。そして、黒華はへにゃぁ、とだらしなく笑った。
そりゃそうさ。
何時も暴言ばかりのカッコいい王様が———
琴葉「かぁわい〜。因みに、付き合ってるって話は悪戯ですよー! 安心してくだちゃいね〜、“真希様”ぁ?」
真希「……てめえ……今日という今日はマジでぶっ殺す」
琴葉「あはは〜! 逃げろ逃げろぉ‼︎」
可愛らしく頰を膨らませて、拗ねて居たのだから。
後書き
【おまけ】
「「撮ったぞぉぉおおおおおおおおお‼︎‼︎‼︎‼︎」」
琴葉「ありがとうございますぅぅううう! もう家宝にする」
真希「てめッ……隠し撮りとはクソみてえな性格してんじゃねえかちょっとツラ貸せや」
琴葉「もう湊さんに送っちゃったぁ」
真希「は」
琴葉「美桜さんにも送りましたよ〜! 次の第一魔法刑務所が発行している第一魔法刑務所内でしか購入出来ない週刊誌の表紙に使ってくれるらしいですよ! やりましたね‼︎」
真希「はぁ?」
琴葉「マギア研究員の隠れ蓑だったあの暴力団にも送っときました‼︎ 今、滅茶苦茶返信が来て……ぷはっ、『それで抜ける』『可愛すぎて書いてた魔法研究のレポート修復不可能なくらい破いてしまった』って……! ほんと、さいこー‼︎‼︎ あはははっ‼︎」
真希「はぁぁぁぁああああああああ⁉︎⁉︎」
琴葉「赤面写真いただきましたぁ‼︎ みんなに一斉送信っ♡」
— ビコンッビコンッビコンッビコビコビビビビビ(メッセージの通知音(黒華様のお使いの携帯は正常です))
琴葉「ご馳走様でしたっ‼︎」
真希「もっかい殺す」
ハク「仲ええなぁ」
シン「ホントそれなぁ」
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