ある晴れた日に
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426部分:夏のそよ風吹く上をその九
夏のそよ風吹く上をその九
「間違いなくね」
「これで行くって言ってんだからなあ」
「なあ。考えたんだけれどよ」
ここで佐々が皆に言ってきた。
「この連中サウナに放り込めよ」
「サウナに?」
「丁度近くにスーパー銭湯があるからな。そこのサウナに放り込めよ」
こう言うのである。
「それでそこの水風呂に入れてそっからサウナに入れてな」
「それで酒抜けっていうんだな」
「ああ、これやったら一発だからな」
彼はこう提案するのだった。
「だからな。それで行けよ」
「それって危ないだろ」
「なあ」
野茂と坂上はすぐにこう反論した。
「酒飲んでサウナってよ」
「下手したら死ぬぞ」
「確かに酒は抜けるけれどな」
坪本はこのことは知っていた。
「けれどよ。やっぱり危ないぜ」
「それでもそれしかないだろ」
だが佐々はそれでもこの案を主張するのだった。
「さもないとこの連中ずっとこのままだぜ」
「じゃあもうそれでいいだろ」
この無茶に頷いてきたのは野本だった。
「それで行こうぜ」
「おい、マジかよ」
「賛成かよ」
男組は今の野本の言葉に怪訝な顔を向けざるを得なかった。
「本当でそれでいいのかよ」
「危ないぜ」
「この連中だったら死なねえよ」
しかし野本はこう言うのであった。
「だから安心しなよ」
「随分なこと言うな、おい」
「こいつ等だったらかよ」
「そうだよ。とにかく酒は抜かないと駄目だろ」
「こんなんじゃ話にならないわね」
明日夢は早速凛を支えだしていた。
「こんなのが五人じゃ」
「だから大丈夫よ少年」
その凛がふらふらしながら真っ赤な顔で明日夢に言う。言いながらその身体を明日夢の身体に巻きつけるようにして絡ませてきている。
「あまり酔ってないから」
「酔ってないて言ってもどれだけ飲んだのよ」
「多分四リットル位」
ビールをである。
「飲んだけれど」
「やっぱり飲み過ぎよ」
かく言う明日夢もそれ位は飲んでいたりする。
「それ位って」
「あれ、五リットルだったかしら」
「私も」
「私もそれ位」
「咲も」
他の面々も同じようなものだった。
「それ位飲んだわよね」
「美味しかったあ」
「やっぱりサウナだな」
「そうだな」
今の五人の言葉で全て決まってしまった。
「そこで水風呂に入れてそっからサウナに放り込んでな」
「酒抜くしかないな」
「それも今のうちにな」
今のうちにだというのである。
「酒抜いたらそれでかなりましになるからな」
「寝るようになったら終わりだぜ」
「それはもう一刻の猶予もないわね」
恵美の顔が真剣なものになった。男組の話を聞いて。
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