レーヴァティン

「今何と言った」
「だから旦那がっちゃ」
「いるのか」
「結婚したっちゃよ」
「そうだったのか」
「あの、わたくしもです」
　紅葉も言ってきた。
「実はこの前」
「結婚したのか」
「はい」
　その通りだというのだ。
「実は」
「まさかと思うが」
　英雄はここで仲間達に確認したが全員だった。
　それでだ、彼は言うのだった。
「そうか、逆にか」
「正式に結婚していない人はっちゃ」
「俺だけか」
「そうっちゃな」
　愛実は英雄に述べた。
「どうやら」
「まさかな」
「あんたが一番お盛んっちゃが」
「俺だけがか」
「結婚していないっちゃ」
「そうなっているか、しかし全員結婚したとはな」
　十二人の仲間がとだ、英雄はまた言った。
「驚きだな」
「驚いているっちゃな」
「かなりな、ではな」
「あんたもっちゃな」
「結婚するか」
「相手はいるっちゃか」
「いない」
　英雄は一言で答えた。
「そんな相手はな」
「そうっちゃか」
「そうだ、しかしだ」
「それでもっちゃか」
「俺もな」
　結婚はというのだ。
「しておかないとな」
「そうするっちゃか」
「そう思ったが好きでもない相手と結婚するだの政略結婚だのはな」
　どうかとだ、英雄はこうも述べた。
「好きでないしな」
「けれどっちゃな」
「相手はいる」
「それも何人もっちゃな」
「いる」
　そうなっているというのだ。
「それでこの城にもいる」
「そこはしっかりしてるっちゃな」
「しっかりか」
「やっぱりあんたはお盛んっちゃ」
　こう言うのだった。
「どうにも」
「しかし結婚はな」
「これからもっちゃ」
「暫くはな」
「しないっちゃ」
「これはという相手が見付かるまで」
　その時まではというのだ。
「結婚しない」
「そうっちゃ」
「しようと今思ったが」
　それでもというのだ。
「やはり考えるとな」
「そうした相手が出るまでっちゃ」
「結婚しない、ではな」
　こう言ってだ、そしてだった。
　英雄はこの夜はそうした相手の女達と心ゆくまで楽しんだ、そうしたこともしつつ政を進めてそうしてだった。
　今の領地を治めていった、そのうえで。
　紀伊を見ていた、それで仲間達に言った。