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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第三幕その六

「大変なことになるよ」
「その通りだね」
「そこは間違えたら駄目だね」
「幾ら消毒でもね」
「お茶は沸騰させない」
「沸騰させるのはその前」
「お水の段階だね」
「そうだよ、しかし思うことは」
 それはといいますと。
「泉鏡花は今だとどうかな」
「極端な潔癖症でも」
「本当にどんな人になってるか」
「そうも思うんだね」
「やっぱりあれかな」
 先生は少し考えるお顔になって言いました。
「いつもウェットティッシュで手を拭いてお掃除もして」
「そんな人になってるかな」
「やっぱり食べものは何でも沸騰させて火を通して」
「そうした人になっているかしら」
「そうかもね、こう言うと」
 少し首を傾げさせて言う先生でした。
「日本のドラマの登場人物かな」
「ああ、特撮の」
「凄いキャラだったよね」
「潔癖症だけじゃなくて性格もね」
「あんなキャラ見たことないよ」
「うん、あのキャラとは性格は違うけれど」
 泉鏡花はというのです。
「それでもね」
「あのキャラみたいにだね」
「何かあるとウェットティッシュで手を拭くみたいな」
「そんな潔癖症になっていたのね」
「ひょっとしたら」
「そうかも知れないね、とにかくね」
 さらに言う先生でした。
「泉鏡花は独特な人だったことはね」
「調べて思うのね」
「何かと」
「そうなのね」
「そうだよ、芸術家は個性的な人が多いけれど」
 先生は首を少し傾げさせて言うのでした。
「泉鏡花も然りってことだね」
「まあ潔癖症なだけでね」
「別に性格は悪くなかったんだね」
「底意地が悪いとかね」
「そうした人じゃなかったね」
「そうした話は聞いていないね、真面目な人だったみたいだよ」
 人間としてはというのです。
「お釈迦様のお母さんとお師匠さんをずっと信仰していてね」
「信仰心もあってだね」
「そこから倫理観もあって」
「真面目ではあったんだ」
「そうみたいだよ、それとね」
 さらにお話をする先生でした。
「お師匠さんも凄い人だったからね、尾崎紅葉も」
「あっ、金色夜叉の」
「あの人だね」
「あの人がお師匠さんだったんだね」
「そうだよ、あの人がね」
 先生は皆にシュークリームを食べつつお話します。
「泉鏡花のお師匠さんだったんだよ」
「凄い人がお師匠さんね」
「本当にそうね」
「じゃあね」
「あの人から何かと教わって」
「それで大成したのね」
「そうなんだ、だからね」
 そうしたことがあったからだというのです。
「泉鏡花は尾崎紅葉を終生敬愛していたんだよ」
「作風は違う感じがするけれどね」
「そうね、金色夜叉のお話を聞くと」
「泉鏡花の話とはね」
「また違うね」
「作風は違うけれど」
 それでもというのです。 
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