魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Epica42暴かれる真実~I reveal a secret~
†††Sideルシリオン†††
拠点に居た魔導師や騎士を片っ端から相手にしたことで疲労が溜まってきたが、その分リンカーコアから魔力を吸収してドーピング用の魔力結晶を創ることが出来た。
『大量だね、マイスター♪』
「ああ。この結晶でフィヨルツェンとの戦闘は乗り越えられるだろうな」
“ジュエルシード”を温存できるのは嬉しい話だ。思わぬ儲けに上機嫌になっていると、俺の側にモニターが展開され、三頭身の少女が映し出された。
『マスター。施設内の防衛戦力、残り12人。1人ずつ誘い出す? 指示プリーズщ(゚д゚щ)』
アリサ達を安全に脱出させるため、拠点内に居る戦力を俺の居る部屋へと誘うように指示を出していたステガノグラフィア、そのの1体で拠点のクラッキングを担当しているライシエルから報告が入る。
「3人ずつで頼む。12人はさすがに面倒くさい」
『イエス! 3人ずつそちらのお部屋に誘い出します!∠(^-^)』
ライシエルは再び拠点の電子の海に潜り、隔壁などの操作を始めた。この部屋に敵戦力が誘導されるまで時間もあるだろうし、休憩がてら他のステガノグラフィアに連絡を取ってみる。まずはメナディエル。
「メナディエル。お前は今、どうしている?」
『あ、マスター! わたしは今、この2人の案内中です!∠(^-^)』
メナディエルの姿がモニター端に消えて映像が切り替わる。モニターに姿を見せたのは「マリアンネさん、パーシヴァル」の2人だった。これまでの交戦の最中に、拉致されて偽者と入れ替わられたメンバーの一覧データを閲覧させてもらった。その中に2人の名前を見つけていたし、先ほどスバル達から名前も聞いていたから驚きはしない。
『ルシル君♪ メナディエルって子から事情は聞いているわ♪』
『ヴィヴィオ陛下に変装してわざと拉致されるなんて、すごい事を考えるものだよ君は。でもそのおかげで今、僕たちはこうして脱出するために動ける。感謝しているよ』
「いえ。ところでお2人の健康状態は?」
俺の心配にマリアンネさんが『すこぶる快調よ。どれだけ眠らされていたか判らないけど、休暇としてはまあまあだったわね!』と笑い声を上げた。半年近く偽者と入れ替わられ、好き勝手されたんだが、マリアンネさんは余裕そうだ・・・なんて思っていたが・・・。
『ルシル君。今の教会と騎士団、管理世界の現状を教えてもらえる? アリサちゃん達から伺おうとしたのだけど、直後に転送トラップを受けたの。ホント苛立たしい』
声には怒りが篭っていた。そんなマリアンネさんやパーシヴァルに管理世界の現状を伝える。管理局法脱退による騎士団の暴走。最後の大隊を率いているのはリナルド・トラバント騎士団長。協力者に古参パラディンが複数名、現パラディン複数名、教会技術部、フリーランス魔導師に魔導犯罪者、あと拉致した者のクローンにプライソンの遺産などなどが居り、クローンを使って管理局を貶め、大隊を使って騎士団の評判を上げるマッチポンプが行われていると。
『なんてこと・・・!』
『想像以上に最悪な展開だ・・・』
文字通り頭を抱えて苦悩の表情を浮かべていたマリアンネさんだったが、『リナルドがどこに居るか判る?』とギラッと力強い光を灯した瞳を俺に向けた。
「入手できたオペレーションデータを見る限り、おそらく教会本部に詰めているはずです」
現在行われている大規模作戦は1つ。大隊主力級戦力と、アクアベール海に展開中であるモルゲンデメルング艦隊、その巡航・弾道ミサイルの波状攻撃による、俺たちオランジェ・ロドデンドロン殺害作戦。それ以外の幹部は教会本部か、もしくはこの拠点のどこかに居るはずだが・・・。トラバント騎士団長が本部を離れることはそうはないだろう、と伝えた。
『そう・・・。確かにルシル君の言うとおりだわ。・・・ルシル君、本部まで直行できる手段は無いかしら? 聖王教会教皇として、ベルカ自治領ザンクト・オルフェンの領主として、私は責任を負わないといけないの』
『ルシル。僕からも頼む』
「・・・判りました。少し待ってください。ルートを検索させます。ライシエル、聞いていたな」
『イエス! トランスポートホールがあります! 隔壁操作・・・完了! メナディエルにルート転送! あとの誘導はそっちに任せたよ!(人д`*)』
『シン! 任務引継ぎ完了!∠(^-^)』
仕事が速くて大助かりだ。モニター内で敬礼をし合うライシエルとメナディエルに「よくやった」と労いの言葉を掛け、「というわけですので、メナディエルの指示に従って進んでください」とマリアンネさん達に伝える。
『ありがとう、ルシル君! 地上でまた逢いましょう!』
『ルシル。気を付けて任務を続けてくれ』
マリアンネさんとパーシヴァルと頷き合って通信を切り、「ライシエル。アメナディエルとマカリエルに、トランスポートホールへのルートを送信」アリサ達の誘導を行っているであろうマカリエルと、スバル達の誘導を行っているアメナディエルは、地上への歩行ルートで誘導している。
『イエス!∠(^-^)』
(転移スキル持ちの仮面持ち、シスター・トルーデの力で外界との移動を行っていたと思い込んだのがそもそもの俺のミス。彼女に何かあれば移動手段が無くなる。それを当然としてちゃんと別の転送手段を持っているはずなんだ)
大隊=転移スキルでの移動、というのが当たり前になりすぎていた。
『マスター。最初の3人をそっちに誘導するよd('ε`*)』
猛省しているとライシエルから報告が入り、プシュッとスライドドアが開いた。
「ルシリオン・セインテスト・・・!」
「部屋の端を見ろ! 同志たちが・・・!」
「たった1人になんて様だ・・・!」
大隊の制服を着た男2人と女1人のトリオだ。四芒星と六芒星の仮面を被る杖持ちの男2人は初見だが、剣持ちの逆五角形の仮面を被る女は、マリンガーデンでの一件でセレスとティアナから報告を受けている。少々特殊な騎士なようだ。
『マイスター!』
『ああ。あまり時間は掛けたくない。早々に終わらせるぞ』
――煌き示せ、汝の閃輝――
――ノート・ヴェーア――
俺の周囲に展開した光球6基から一斉に魔法砲撃を発射すると、女仮面持ちが「もらった!」と嬉しげに声を上げ、3人を護れるほどの広い魔力バリアを発生させた。砲撃はバリアに着弾するが、僅かな拮抗の後にバリアを粉砕。しかし仮面持ち3人に直撃はせず、砲撃の軌道が逸らされてしまったことで彼らの背後の壁に着弾。
「「うわあああああ!」」「くぅ・・・!」
まぁそれでもその際の魔力爆発に巻き込まれてしまったが。直撃ではないことから、これで終わったと油断するような間抜けは犯さない。
「シーリングバインド、スタンバイ」
魔力生成阻害効果のバインドの発動を準備。そして白煙から飛び出して来た、剣を鞘から抜き放っている女仮面持ちへ向けて「拘束!」バインドを発動する。女仮面持ちを拘束するべく、彼女を包囲するようにバインド6つが収束。
――フェアナイネン・ズィー――
「ん・・・?」『あれ?』
あと少しで女仮面持ちを拘束できるというところで、バインドが全て消失した。彼女はそれが当然だとでもいうように怯みもせず、剣を居合いのように構えたまま突っ込んで来る。
『マイスター、やっぱりアイツの魔法って・・・!』
「『ああ、だろうな』・・・舞い振るは、汝の麗雪!」
天井近くに展開した氷槍50本を、「ジャッジメント!」雨のように降らせる。男2人は回避や防御を行うなどの対処に入ったが・・・
――フェアナイネン・ズィー――
女仮面持ちだけ直進し、彼女への直撃間近に氷槍が全て消滅した。AMFではない別種の対魔法防御。セレスとティアナの報告どおり。セレスの魔法すら完全無力化できる魔導師などそうはいない。ならそのカラクリを探り当てるのが俺の仕事だ。
「おお! 同志ソールなら、ルシリオンに勝てるぞ!」
「ああ! 俺たちだって負けてられないな!」
鋭い斬撃を繰り出す女仮面持ち――ソールと、その斬撃を躱し続ける俺の姿に男2人が息巻いた。やる気を見せるのは大いに結構だが、ソールとお前たちとでは難易度が違う。
――パンツァーシルト――
試しに俺とソールの間にシールドを展開しつつ、杖の先端を向けて魔力弾を放ってくる邪魔な男2人に「うっとおしい!」と魔法を発動。まずは下級魔力弾の「サピタル!」で、連中の魔力弾を全弾迎撃。次の攻撃が来るまでにもう1つの魔法を発動準備する。
「せいや!」
――シルト・エントゥクラフテン――
その中でのソールの斬撃は俺のシールドを容易く斬り裂き、振り上げと同時に刺突を繰り出してきた。急いで後退することで攻撃圏内より離脱。
――輝き燃えろ、汝の威容 ――
「「のわあああああああああ!?」」
そしてケルビエルを発動。2人の足元に円陣を描き、陣内に蒼炎を噴き上げさせる。魔法であるため焼き死ぬことはないが、それなりの窒息と火傷くらいは負ってもらおう。
「やはり私ひとりだけで来れば良かった・・・!」
「その言い草だと俺に勝てると言っているように聞こえるが?」
袈裟切りを躱し、“エヴェストルム”を起動してソールの剣を受け止める。デバイスはやはり断ち切れないようだな。俺は「うぉぉぉぉぉ!」強引に彼女を弾き飛ばして、「アイリ!」の名を呼ぶ。
『ヤヴォール! フリーレン・ドルヒ!』
俺の魔法ではなくアイリの魔法を放ってみると、ソールは剣を正眼に構えて「ノート・ヴェーア」何かポツリと漏らした。と同時にバリアが発生して、着弾したアイリの氷の短剣が砕かれた。
『アイリ、もう一度だ!』
『ヤヴォール! 今度は・・・アイツ・ランツェ!』
氷の礫を9発と発射したアイリ。ソールは剣を居合いのように構え、アイリの攻撃に対して何ら対応することなく受け入れた。
――フェアナイネン・ズィー――
すると俺の魔法と同じように氷の礫は弾かれるのではなく消滅した。これは決まりだな。一足飛びで突っ込んで来たソールの振るう剣を“エヴェストルム”で受け止め、「もう終わりだよ、ソール」と言い放ってやる。
「なに?」
「お前の魔法の正体は知れた!」
またソールを力ずくで弾き飛ばし、「我が手に携え師は確かなる幻想」と呪文を詠唱。起動するのは、複製された術式やスキルなどを複製して貯蔵している“英知の書庫アルヴィト”。俺やアイリの魔法でなければ何でもいい。
「さぁどれだけでも魔力パターンを覚えてみるがいい!」
――スパークヴェスパー――
「魔力光が・・・っ!?」
水色に輝く雷撃のリングを発射する射撃魔法を連射。オリジナルの使い手はレヴィ・ザ・スラッシャーだ。
「くっ!」
――ノート・ヴェーア――
ソールは前面にバリアを展開してリングを防御したのを確認し、レヴィの高速移動魔法である「スプライトムーブ!」を使って、彼女の背後へと瞬間的に移動する。さらに大きな雷球を叩きつける「雷神爆光破!」で直接ソールを狙う。
「フェアナイネン・ズィー!」
ソールに直撃する直前に雷球が消滅する。なら次は、シュテル・ザ・デストラクターの「ディザスターヒート!」火炎砲撃の3連射。1発ごとに射程が短くなる欠点があるが、砲撃の威力を保った状態での3連射は凄まじい火力を叩きだす。
「くぅぅ・・・! ノート・ヴェーア!」
ソールは1発目と2発目をギリギリ躱しきり、3発目はバリアを展開して防御に成功。おそらくこれでシュテルの魔法は通用しなくなった。よし、じゃあ次の検証に移るとしようか。
「ほら、休んでいる暇はないぞ」
――アゲマント――
今度はフラム・ザ・リベンジャーの火炎砲撃。ソールは「また魔力光が変わった・・・!?」と肩で息をしながら、「ノート・ヴェーア!」バリアを展開した。火炎砲はバリアに着弾して大爆発。黒煙から彼女が飛び出してきたところで、もう1発フラムの魔法を叩きこんでやる。
「ウィル・オ・ウィスプ!」
「他者の魔法など・・・卑怯者め!」
――フェアナイネン・ズィー――
(今だ!)
火炎弾16発を放つと同時に、アイル・ザ・フィアブリンガーの冷気弾である「イガリマ!」16発を追従するように発射。火炎弾はソールに直撃することなく消滅したが、「きゃあああああ!」冷気弾は全弾命中。
『あの仮面持ち凄いねマイスター。相手の魔力パターンを学習して、そのパターンでの魔法を完全無力化するなんて』
「ああ。あとはどれだけの魔力パターンを覚え無力化できるか、だが・・・。その心配ももうないな」
ノート・ヴェーアで防いだ魔法から術者の魔力パターンを覚え、フェアナイネン・ズィーという魔法でAMFのような効果を発揮して魔法を無力化しているんだろう。面白い魔法だが、ネタが割れてしまえば俺の敵じゃない。ほら、冷気弾の着弾時に発生した白煙が晴れていき始め、体の至るところが凍っているソールの姿を視認できた。
「ま、まだよ・・・まだ、終わっていない!」
――トイフェル・ベライヒ――
ソールを中心に結界が張られたかと思えば、「なに!?」俺の防護服が強制的に解除され、さらに「にゃ!?」アイリとのユニゾンも強制解除されてしまった。あらゆる魔法、スキルに対して完全な無防備状態。物理破壊設定であればちゃちな魔力弾1発で死ぬ状態だ。
「下がってマイスター!」
アイリが俺を庇うように躍り出た。剣を持つ右腕が自由であるソールが「その首、もらった!」と、巨大な魔力剣を剣身に付加した。確かにそんなものを受けたら俺もアイリも即座に死ぬが、俺がいくつもの魔力パターンを扱えることを忘れていないだろうな。
――リーゼン・シュベーアト――
「獲った!」
――魄翼――
ユーリ・エーベルヴァインの圧倒的な戦力の象徴だった魄翼を展開。ソールの斬撃を右の翼で受け止め、「ドぅームプレッシャー!」左の翼を怪物の腕へと変化させて彼女をガシッと鷲掴む。
「うぐぅぅぅ・・・!」
「これで終わりだ。ナパームブレス!」
ソールを鷲掴んでいた翼を魔力と火炎が渦巻く球体へと変えて彼女を閉じ込め、重力によって球体ごと押し潰す。強力な魔力爆発が起き、吹っ飛んだソールが床に叩き付けられた。それと同時に結界が解除されたことで、俺とアイリは防護服へと変身し直した。
「終わったかな・・・?」
「俺ですら撃墜寸前に陥った一撃だ。彼女に耐えられるわけがない」
ぐったりとしているソールの元へと歩み寄っていると、彼女の胸から青緑色の光球が飛び出してきて、ソレが人型へと変わった。青い長髪のツインテール、服装は修道服、30cmほどの身長をした小さな少女。融合騎で間違いない。
「こ、これ以上のロードへの攻撃は許さないから!」
「・・・アイリはね、アイリっていうの。あなたと同じイリュリアの技術で造られた融合騎。元の名前はズィーベン・・・、氷結の融合騎ズィーベン。あなたの名前は?」
アイリもまた本来の30cmほどの姿へと戻り、ソールを護ろうと必死な融合騎に語りかけた。融合騎が俺をチラッと見たから、「俺たちの勝ちだ。もう闘わない」と“エヴェストルム”を解除して見せた。
「・・・わたし、ドライツェーン。盾の融合騎改・・・」
13か。イリュリア大戦の時には確か1のアインスから7のアイリまでが稼動していた。現在は幻惑の融合騎、11のエルフテから、雷の融合騎改の18、アハツェーンが稼働中らしい。その内エルフテ、強化の12ツヴェルフ、そして目の前に居る盾のドライツェーンを無力化した。残りはおそらくシャル達を襲いに行った連中の中に居るだろう。
「これから俺とアイリは、残りの防衛戦力を討つ。邪魔をするなら容赦はしないが、大人しく捕まるのなら手厚く保護する。どちらがいい?」
「・・・ロードが負けた時点で、わたしの仕事も終わったし・・・。大人しく捕まるよ」
ドライツェーンが両手を差し出してきた。手錠をはめて、と言っているんだろうが融合騎用の手錠なんてものは存在しない。だからバインドのサイズを調整して彼女の腕を拘束した。
『マスター。次の3人、送ってもいい?』
そう聞いてきたライシエルに「ああ。いいぞ」と答えた。それから相手した残りは全員ザコだった。これで拠点内の戦力は全て潰したことになったわけだ。
「さてと。俺も俺の仕事を始めようか。ライシエル。管理局と聖王教会の全ての施設と、あとはやて達とシャル達への通信回線を開いてくれ」
『イエス! ちょこっとだけ待ってて!∠(^-^)』
回線が繋がるまで、ライシエルがデータベースからくすねてきた大隊に関するデータの整理をしていると、『ルシル、聞こえる!?』通信が入った。
「聞こえるぞ、アリサ。どうした?」
『あんたには感謝とかいろいろと言いたいことがたくさんあるけど、今は名誉挽回の機会を与えてほしいの!』
『ルシル副隊長、ミヤビです! 私たちに大隊と戦わせてほしいんです!』
通信を入れてきたのはアリサとミヤビだった。大隊に拉致され、偽者と入れ替わられ、要らぬ罪を被せられたそのミスを、大隊と戦うことで少しでも晴らしたいのだと言う。
(聖王教会にはマリアンネさんやパーシヴァル、シャル達を向かわせたいから・・・)
ふと、現在稼働中のプライソンの遺産+ミミルの造った兵器の対処を今、はやて達が行っているはずだと思い出し、そちらに向かってもらうことにしようと判断。俺は「マカリエル。アリサをアクアベール海に、ミヤビをザンクト・オルフェンに転送してくれ」と指示を出す。
『正確な座標をください、マスター。トランスポートを使って飛ばしますから!(⁎˃ᴗ˂⁎)』
「ああ、少し待っていろ」
ライシエルがセキュリティを丸裸にしてくれたから、あの子の助けがなくてもデータベースの深いところまで探れる。今現在、アクアベール海でのリアルタイム交戦データを引っ張り出し、そこから座標を確認して、それをマカリエルに伝える。
『座標確認です! 転送準備完了!(^▽^)/』
『マスター。スバルさんとティアナさんが、病院もしくは管理局施設への転送を望んでいます。どうしましょう?(・_・?)』
病院への緊急転送は原則許されていない。ティーダの様子からして、局施設からの搬送でも問題なさそうだった気もする。だから「病院は無理だ。陸士108部隊に転送してくれ」と指示を出す。108にはナカジマ三佐をはじめ、クイントさんとギンガとチンクが所属している。スバルのことを心配していたし、早めに再会させるのがいいだろう。
『はい! 108部隊の座標設定完了です! これより彼女たちを転送します!∠(^-^)』
『あ、あの、ルシルさん! 本当にありがとうございました!』
『ルシルさん、ありがとうございます! お礼はまた後ほど!』
スバルとティアナからの礼に頷くことで応え、最後に「アリシア、フィレスさん。2人は――」と言い掛けたら、『もちろん戦場に!』との即答。
「ソレウイエル、マカリエル。アリサと一緒に彼女たちもアクアベール海へ転送を」
『ウィ!∠(^-^)』『ヤー!∠(^-^)』
とここで、ライシエルから『マスター。準備完了!\( ̄ー\)(/ー ̄)/』と報告。モニターを展開して通信を各組織に入れる。
「時空管理局、そして聖王教会の皆さん、聞こえますか。本局内務調査部、聖王教会騎士団オランジェ・ロドデンドロン所属、ルシリオン・セインテストです。私は今、最後の大隊の拠点に潜入しています」
質問などで時間を潰されるわけにもいかないため、こちらからの一方通行の通信だ。
「ここはベルカ自治領内、ノーサンヴァラント海・オークニー諸島はナウンティス島です。私はアイリ・セインテストと共に拠点に潜入しており、そしてデーターベースを調査した結果、大隊の首謀者を確認しました。首謀者の名はリナルド・トラバント。聖王教会騎士団の現団長です。最後の大隊は、教会にクーデターを企てたトラバントと、その協力者たちによって設立された部隊です。連中は、教皇マリアンネを始めとしたザンクト・オルフェンの評議会メンバーを拉致。自分たちの言う事を聞き、大隊の味方と言う記憶を植えつけたクローンと入れ替えた」
さらに無実な局員を拉致し、クローンと入れ替えて悪事を働かせたり、局の情報を盗んだりさせた。騎士団のクーデター軍が管理局の評判を落とし、大隊を使って自分たち騎士団の評判を上げる。そう伝えながら、オリジナルが捕らわれている部屋をモニターに映し出した。ポッドに収められた幾人もの局員や教会関係者たち。
「捕らわれている方たちの名簿を各組織に送信します。大隊を良しとしない局員、騎士の皆さん。どうか名簿に記された偽者が側に居るのなら逮捕してください。本物はこの拠点に居ます」
そこまで伝えたところで「あ、マリアンネ・フライハイト聖下、騎士パーシヴァル・フォン・シュテルンベルク、騎士フィレス・カローラ、アリサ・バニングス、アリシア・T・ハラオウン、ミヤビ・キジョウ、スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、ティーダ・ランスターの9名は、すでに意識を取り戻し、教会本部、アクアベール海、108部隊とに別れて戻りましたので、9名は除外してください」と付け加えておく。
(本物を誤って逮捕なんて笑い話にもならないしな)
アリサ達がそれぞれの場所に転送されたのを別のモニターで確認。あと伝えておかないといけない事は、大隊が俺たちオランジェ・ロドデンドロンを陥れようと放送した会見だな。リンカーコア狩りの最中に見せてもらったが、嘘塗れで鼻笑すら出なかった。
(ただ、俺の罪は間違いなかった)
グランフェリア達の殺害。それについても語ろう、セインテストとしての俺の役割を・・・。
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