花咲爺さんのお殿様
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第二章
「肩で息をしておる、無理をしなくてよい時はしなくてよい」
「そう言って頂けますか」
「左様でありますか」
「うむ、だから今はゆっくりと進んでな」
馬に乗ったまま言うのでした。
「そして休める場所があればな」
「そこで、ですか」
「休めばよいですか」
「我等も」
「そして休んでから城に帰ろうぞ」
こうお話してでした、信長公は休息を取りました。そしてこの時にふと花咲爺さんのお話を聞いたのです。
それで信長公は興味を持った顔で言いました。
「その悪い爺は懲らしめねばならぬが」
「それでもですな」
「犬も臼も大事する無欲な年寄りはですな」
「褒めるべきですな」
「よき者として」
「そうじゃ、悪者は成敗してじゃ」
実は信長公はこのことについて非常に厳しいです、悪人を自ら成敗したこともある位です。そしてその逆になのです。
「善人は褒め褒美を取らす」
「そうしなければなりませぬな」
「だからですな」
「是非その年寄りのところに行き」
「褒めますか」
「そうしようぞ、では休憩が終わったらな」
その時はというのです。
「その年寄りのところに行って行いを褒めて褒美をやるぞ」
「わかり申した」
供の者達も頷きました、こうしてでした。
信長公は花咲爺さんのところに向かいました、後は皆さんがご存知の通りです。あのお殿様が誰なのかそしてどうしてお爺さんのところに来たのかこれでおわかり頂けたでしょうか。
花咲爺さんのお殿様 完
2019・6・6
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