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レーヴァティン

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第百七話 善政が招くものその五

「それだけ食えたのだろう」
「やはり体格は関係するな」
 幸正も飲んで食べつつ話に入ってきた。
「大柄だとな」
「それだけだな」
「食う量が多くなる」
「そうだな」
「この浮島の人間もな」
 彼等もというのだ。
「平均身長は現代日本と同じ位か」
「大体そうだな」
「それ位の体格だからな」
 それでというのだ。
「それだけな」
「食う量もな」
 それもというのだ。
「多い」
「そうだな」
「そして体格だが」
 それ自体の話もだ、幸正はした。
「食わないとな」
「大きくならないな」
「この浮島は食いものが豊かだ」
「そうだな」
「餓えがない」
 このことも話すのだった。
「食いものが豊富にあるからな」
「人の体格もいいな」
「そういうことだ」
「そして体格がいいからな」
「食う量も多くなる」
「そうした循環だな」
「そうだ、とかく食いものが豊富にあると」
 それでとだ、幸正はさらに話した。
「体格がよくなる、そしてだ」
「その分働けるしな」
「そしてまた食う」
「そうなっていくな」
「そして我等のやるべきことは」
「その民達を食わす」
「政の基本はな」
 何といってもというのだ。
「民を食わすことだ」
「それに尽きるな」
「だから政はな」
「そのことを念頭に置いてな」
「やっていくことだ」
「その通りだな」
 英雄は幸正のその言葉に頷いた、そしてそのうえで牡蠣の天婦羅を食ってそのうえであらためて言うのだった。
「俺達ではなくな」
「民を食わす」
「それも常に腹一杯な」
「それが政だ」
「その通りだな、若しだ」
 今度は一口飲んでだ、英雄はまた言った。
「民を食わせられないならな」
「この世界を救うなぞな」
「夢物語だ」
「そうだ、民を食わせられないでな」
「何が世界を救うか」
「その通りだ」
 幸正も飲みつつだ、英雄に返した。
「そうなる」
「その通りだな」
「若しだ」
「この世界を梳くならな」
「まず民を食わせる」
「そこからだな」
「それが出来ない奴は世界を救える筈がない」
 絶対と言うのだった。
「何があってもな」
「全くだな」
「何処ぞの国はな」
「あの世襲制の国か」
「共和国とか言いながらな」
 これでこの場にいる者全てがわかった、一体どの国のことか。 
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