レーヴァティン
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第百七話 善政が招くものその四
「なら今度はじゃ」
「たこ焼きだな」
「あれを食うぜよ」
「それもいいな、そして今はな」
「牡蠣じゃのう」
「これを食ってだ」
言いつつだ、英雄は箸を動かした。そうしてぽん酢をかけた生牡蠣を幾つか食べてまた酒を飲んだ。
そうしてからだ、こう言うのだった。
「堪能しよう」
「牡蠣もいいしのう」
「そうだ、それでだが」
牡蠣を食べ続けつつだ、英雄はこうも言った。
「牡蠣の天婦羅もあるが」
「こちらもいいですね」
謙二が応えた。
「牡蠣は」
「フライもいいがな」
「はい、天婦羅にしてもです」
和風に挙げてもというのだ。
「絶品です」
「そうだな」
「ではこちらは天つゆに漬けて」
「そうしてな」
「食べましょう」
こう英雄に言うのだった。
「楽しんで」
「そうだな」
「そういえば」
ここで香織が言ってきた。
「生牡蠣を百個食べた人がいたとよ」
「ビスマルクか」
その話を聞いてすぐにだった、英雄はこの歴史上の人物の名前を出した。プロイセンそしてドイツの宰相だった政治家だ。
「鉄血宰相の」
「ああ、あの人たいか」
「一メートル九十を超える大男でだ」
その背は相当なものだったという。
「学生時代二十数回の決闘に勝っていたな」
「喧嘩好きだったたいか」
「そしてだ」
それでと言うのだった。
「顔に向こう傷もあり乱暴者ビスマルク友呼ばれていた」
「それは相当たいな」
「そして食事も好きでだ」
それでというのだ。
「ゆで卵を十数個食ったりだ」
「生牡蠣もたいか」
「百個情食うこともな」
「していたたいか」
「他にはハンバーグや鯉も好きだった」
「ハンバーグたいか」
「それでハンバーグの上に目玉焼きを乗せて食うこともだ」
この食べ方もというのだ。
「考えついた」
「あの食べ方はビルマスクがはじまりだったたいか」
「そうだったらしい」
「それは初耳たい」
「そして牡蠣もだ」
それにと言うのだった。
「好きでだ」
「百個以上食べたこともあったたいか」
「そうらしい」
「成程、すごか大食漢たい」
香織もここまで聞いてしみじみとした顔になって頷いた、そうして自分も生牡蠣を食べてそのうえで言った。
「私よりもたい」
「食うな」
「私も食うたいが」
それでもというのだ。
「百個以上はたい」
「食えないな」
「俺もそこまではな」
英雄もだった。
「食えない」
「そうたいな」
「また言うがビスマルクは一メートル九十以上あった」
「大男だったたいな」
「だからだ」
それだけの体格だったからだというのだ。
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