魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
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第61話 真希様大暴走 【犠牲者:黒華】
前書き
いつも犠牲者だったよね……?
鏡の前に立って、恐る恐る偽ヤクザさんに貰った箱を開ける。
決して、爆弾が入っていそうだからとか、開けたらナイフが飛んでくる仕組みになっていそうだからとか、そう言う理由で警戒しているのではない。
中に入っていたのは、先日偽ヤクザさんの手によって、無理矢理開けられたピアスホールの数と同じピアス。それも、偽ヤクザさんとお揃いか、対になっているもの。
そう、私はピアスをつけることに緊張していたのです。
「……よし……つけますか」
「つけ終わったかぁ?」
「ひゃぁああああ⁉︎ いいい、いきなり話しかけないで下さい‼︎」
「まだ一つもつけてねぇじゃねぇかよ、ノロマ野郎。俺様がつけてやっから大人しくしてろ」
———三分後。
「どうだ?」
「に、似合ってますか……?」
「たりめぇだろうがボケ。俺様がつけてるヤツと同じなんだぞ。似合わねぇ訳ねぇじゃねぇか」
「ありがとうございます……」
絶対に男物だろうから似合わないと思っていたが、そこまでではない。寧ろ、似合っちゃってるんじゃないですかね。
……だが、一番気になるのは。
鏡の前を離れ、自分の鞄が置いてある場所にしゃがみ込む。
スッと財布を取り出し、中を見る。
「いち……にい……さん……よん……ご……」
絶対諭吉さんが足りない。
「このピアス、全部でいくらですか……!?」
「あ゛? 金払おうとしてんのか? ……あー、オーダーメイドが殆どだからなぁ。●●●●万くらいじゃね?」
「ンン……‼︎」
手持ちじゃ全然足りない……どこか下ろせる場所は……
「てか、払おうとしてんじゃねぇよ。それは、俺様からのプレゼントだ」
「へ……ぷれ、ぜん……と?」
「余りにも気に入った様だからな。そのままやるよ」
「そ、それは無理です‼︎ せめて半分くらい……」
「素直に甘えらんねぇ女は可愛くねぇ。てめえは強請るくらいが丁度いい」
……認めたくないのだが、カッコいい。
「じゃあ、三数えると言いながら三数えない内に穴を開けたのと、要さんに飲ませるお酒に何かを仕込んだってことで……気にしないでおきます」
「やっぱ金払えや」
「無理ぃぃいいいいいい……‼︎‼︎」
◇ ◇ ◇
「……あー」
「「あー」」
「…………あー」
「「あー」」
「ぁぁあああああああああああ‼︎」
「「ふあああはははははははは‼︎‼︎」」
「グレースとハクさんキャラ崩壊ふざけてんの」
「一番崩壊してるてめえが言うなや」
「出たな偽ヤクザ……‼︎」
「朝っぱらから酔ってんのかぁ?」
「酔ってなぁい‼︎ 現実逃避なのですぅぅううううう‼︎‼︎」
グレ「琴葉ちゃんてばビビってんのぉおおふははははああああああカァアアアス‼︎‼︎」
琴葉「ウワァァァアアアアアアアアアアアアアアアア他人事みたいに言うな‼︎‼︎」
ハク「吐くのだけはだめえええええええ‼︎ だけど面白そうだからいいかもあははははああああああああ‼︎‼︎」
琴葉「いぃぃやああぁぁぁああああああああ‼︎‼︎」
真希「何があったんだよ、コイツ」
シン「あー研究員サマか。マフィアから朝食用に弁当が送られてきたらしい」
レン「そしたら、グレースと琴葉が発狂しはじめて、こっそりと中身を確認したらしいハクも発狂しはじめた。因みに、これが問題の弁当」
真希「いや、見せなくていい。マフィアに奇想天外な料理を作るヤツが居るって聞いたからよぉ? 試しに色々食材提供してみたんだわ。多分、それだろ」
琴葉「あぁ……そうですよ。偽ヤクザさんが食べればいいんです……食べたらきっと、楽になれますよぉ? あ、特別にあーんしてあげます! たっくさん私で抜いてもいいですよぉ? ですから、ね⁉︎ 貴方が食べてください‼︎‼︎」
弁当を開けた琴葉。
それを見ないように一生懸命目を逸らしながら、震える足で真希へ近付いていく。
琴葉「大丈夫ですぅ……一瞬、一瞬辛いだけで、すぐにラクになれますよぉ〜? ねぇ、ほら、あーん‼︎」
焦点の合わない目を真希に向けながら、琴葉は弁当に入っていた“ソレ”をフォークで刺して、真希の口へ近付ける。
グレースとハクは、それを固唾を飲んで見守る。
シンとレンは、“ソレ”を見ない様に目を瞑る。決して、「やっぱみたいからチラッ♡」みたいな事はしない。
そして、ついに———
真希「てめえが普通に食えや」
琴葉「もごっ」
———ぐちゃぁ。もちゃあ。
琴葉「………………ん、んん……んおぁああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎」
真希によって無理矢理口の中に“ソレ”を突っ込まれた琴葉は、口を押さえながら走り去っていく。
“ソレ”と言うのは———
レン「……琴葉が虫嫌いなのが分かった上でやった?」
真希「たりめーだろ。わざわざ森まで行って幼虫沢山見っけてきた甲斐があったぜ」
後書き
一方マフィアでは
響「……本当にその材料で朝メシ作ったのか?」
仁「うん……! 自信作」
響「(幼虫ばっかりじゃねぇか……うえ)」
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