ある晴れた日に
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395部分:目を閉じてその二十二
目を閉じてその二十二
「飲みたくなったら来てね。量はそんなにないけれどね」
「量はなの」
「量はやっぱりフリードリンクよ」
今度は未晴の問いに答える明日夢だった。
「そっちだとそれこそ今日みたいにね」
「浴びる程飲めるか」
「そうよ。まあよかったら家にも来てよ」
「ああ、またな」
こう明日夢に答える正道だった。
「その時にな」
「ええ。じゃあまた来てね」
最後にもにこりと笑う明日夢だった。
「待ってるからね」
「ええ、それじゃあ」
「またな」
「お休み」
お互いに別れの挨拶を交えさせて別れる。こうして正道は未晴と完全に二人になり夜の帰り道を歩きはじめた。その中でフと彼女に対して声をかけた。
「なあ」
「どうしたの?」
「今日はもうこれで帰るか」
こう彼女に言うのだった。
「今日はな」
「何処にも寄らないの?」
「それとも寄るか?」
多少未晴に預けるようにしての言葉だった。
「そっちさえよかったらな」
「寄るっていったら」
「また。ホテルとかな」
この言葉は少し恐る恐るだった。
「行くか?そっちさえよかったら」
「正道君はどうなの?」
未晴は未晴で正道に判断を預けた。半分ではあったとしても。
「どうなの?行きたいの?」
「今日は。少しな」
その正道の返事は今一つ歯切れの悪いものだった。
「止めておきたいな」
「随分飲んだからなのね」
「ああ」
それが理由だというのだった。
「かなりな。だからな」
「私もよ」
そして未晴はそれは自分もだというのだった。
「今日は。随分飲んだわよね」
「いつものことだけれどな」
暴飲暴食が常だった。このクラスの面々は。
「それでも今日は特にな」
「そうよね。だから私もちょっと」
「今日は。このまま帰るか」
「そうしましょう」
そしてこうした結論になるのだった。
「静かにね」
「駅まで送るな」
正道はとりあえずはそこまでのつもりだった。
「後は」
「いえ、ちょっと待って」
しかしだった。ここで未晴が言ってきた。
「ちょっと。待って」
「待つって何がだ?」
「帰りの電車同じよね」
このことを言ってきたのだった。
「私達って」
「ああ、そうだな」
それはその通りだった。実は二人は帰りの電車は同じ線なのだ。
「そういえばな」
「じゃあ。電車まで御願いね」
「電車までか」
「デートはそこまでできるわ」
酔いながらも微笑む未晴だった。
「電車の中でもね」
「そうだな」
そして正道も未晴のその考えに頷くのだった。
「前も電車の中でもデートしていたしな」
「だからね。今夜もね」
しようというのだった。
「それでいいわよね」
「ああ。そうするか」
「ええ、そうしましょう」
また二人で言い合う。こうして二人は同じ電車の同じ車両に乗り込んだ。その中で二人横に並んで座りそのうえでデートをするのだった。
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