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ある晴れた日に

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387部分:目を閉じてその十四


目を閉じてその十四

「白でも見えないのよ」
「大丈夫なの」
「だって。浴衣だとね」
 その穏やかな笑みでの言葉であった。
「下にそういったふうに見えないように身に着けるから」
「そうしてる?」
「いえ、全然よ」
 奈々瀬と茜が今の未晴の言葉に顔を見合わせて言い合った。
「普通に下着の上から着るわよね」
「だって面倒臭いしまあ普通に見えないし」
 その前にそうしたことまであまり考えていないような二人であった。
「だから別にね」
「気にしないわよね。そんなの」
「だからそれを着てれば大丈夫なのよ」
 未晴はその二人をよそに明日夢に話すのであった。
「白でもね」
「そういうものなの」
「そうよ。少なくとも私の浴衣はね」
 大丈夫だとまた言うのであった。
「白でも透けないから」
「そうなの。何かそれって凄くいいわね」
 明日夢は話を聞いて実に実直に述べた。
「白でも見えないって」
「工夫も必要なんだけれど」
 ここでは少し口篭ったところのある未晴だった。
「それでもそれで大丈夫よ」
「じゃあやってみるわ、私も」
 明日夢は考えてからまた述べた。
「これで夏場でも白を安心して着られるわね」
「黒は駄目なの?」
 咲はここでこんなことを二人に言ってきた。
「ほら、黒い半被着るのは」
「夏場に?」
 明日夢は今の咲の言葉に即座に聞き返した。
「夏場に黒い半被!?何よそれ」
「天理教の教会じゃ普通だけれど」
「冗談じゃないわよ」
 その顔を思い切り顰めさせての返答であった。
「そんなの暑くて仕方ないじゃない。夏に黒って」
「だから天理教の教会とかじゃ普通だけれど」
「そもそも私が着る半被はベイスターズのだけ」
 結局それに行き着くのであった。
「それだけよ」
「あれは青だから涼しいかしら」
「そうみたいだな」
 皆それを聞いて言い合う。
「まあ少なくとも黒よりはね」
「っていうか夏に黒はねえんじゃねえのか?」
 男組は黒い半被にはかなり抵抗があるようであった。
「それはよ」
「汚れは全然目立たないわよ」
 しかし咲はこのことを言って反論にするのだった。
「それも全然ね」
「ああ、黒だからね」
 桐生はそれは認めて頷くのだった。
「けれどさ。蜂に物凄く狙われるよ」
「蜂って?そんなの特に気にならないじゃない」
「いや、凄く気になるから」
 しかし桐生はこう言ってそれは否定するのだった。
「蜂って。怖いよ」
「?ひょっとしあんた」
「御前蜂嫌いか」
 咲だけでなく歌い終わった野本も言ってきた。マイクは竹山のものとなっている。
「若しかしなくても」
「そうだろ」
「だったらどうだっていうの?」
 開き直った言葉であった。
「蜂が嫌いだったら」
「まさか子供の頃蜂に刺されたとか?」
「それか?」
「そうなんだよ。刺されてね」
 二人に問われそれを認める形になっていた。
 
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