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おっちょこちょいのかよちゃん

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4 決戦の時は訪れた

 
前書き
《前回》
 日本に革命を起こすために来たというアレクサンドルとアンナの兄妹と出会ったかよ子。母から貰った杖で学校の校庭に現れた二人を何とか退けたが、アレクサンドルは翌日の夜に決戦を予告する。杉山と大野もかよ子に加勢してくれることになった!! 

 
 三河口健はアスファルトが粉々になった道路を見ていた。
「漫画のような出来事だな。あるいはゴジラかウルトラマンの世界か・・・」
 この非常な事態は三河口も非現実過ぎる事が起きていると感づいていた。
(今後、何らかのテロが起きそうだな。例えば、宗教戦争とか、海外でテロやってるはずの日本赤軍が国内で、活動するとか・・・)
 三河口の予想は物騒なものばかりだった。ただ、世間に落ち着きがない事であるのは事実である。

 かよ子は昼休みの事件の後、戸川先生から心配されていた。
「山田さん、昼休みは襲撃してきた人から生徒達を見事に守って大変でしたね。お疲れ様でした」
「はい」
「先生達も助けられなくてすみませんでした」
「私は大丈夫です」
(でも明日の夜、あの二人は来る・・・。それまでに準備をしないと!!)
 かよ子は立ちはだかる敵との対面の時まで猶予がありそうでないと感じた。

 かよ子は明日の戦いの話をする為もあって杉山に大野と下校するところだった。
「明日の夜、俺と大野でお前の家に行くよ」
「うん、ありがとう・・・でも二人とも夜遅くになっておうちの人に怒られない?」
「大丈夫だ。こっちも断っておくし、安心しろ!」
「でも、これって命を懸けた戦いだし・・・」
「何言ってんだ!」
 杉山の一言でかよ子ははっとした。
「お前一人で何とかできるのかよ!?」
「え、いや・・・」
「そうだぜ!俺も杉山もお前が心配なんだぜ!あんな奴等に殺し合いみてえな事約束されてよ!」
「うん、そうだよね。私、おっちょこちょいだから変なポカやってやられちゃうかもしれないもんね・・・」
「兎に角あいつらが二人ならこっちは三人だ!」
「うん!」
 人数が多ければよいというわけではないが、頼れる男子達がいて大丈夫な気がした。
(アレクサンドル、アンナ・・・。絶対にあなた達の思うようにはさせないよ!!)
 かよ子は勝利を心の中で宣言した。

 アレクサンドルとアンナは日本平から見える富士山を眺めていた。
「このシズオカって所もあの美しい山があって綺麗ね」
「ああ、『あの方』がいう革命の象徴になるかもしれないだろう。死んでからの話だが、俺は日本って所に来て良かったと思うよ」
「ところで兄さん、あの子を倒したら次はどうするの?」
「そうだな、他の地を静粛させよう。どこかは『彼ら』の指示次第だがな・・・」

 かよ子は母に杖と説明書の本をくれた礼を改めてしていた。そして明日の決戦も報告しなければならないとも考えていた。
「お母さん、あの杖と本ありがとう。役に立ったよ・・・」
「え?あらよかった。でも、今日は大変だったわね。学校に二人組の男女が襲いかかったんでしょ?」
「うん、昨日の道路の爆発とも関係があるようなんだ」
「きっとそうね。今日、その二人が来た時、杖を使ったんでしょ?」
「そうだよ。あの二人も私を狙ってるみたいなんだ・・・。それで明日の夜、私、あの二人と戦うよ・・・!!」
「そう・・・。かよ子。分かったわ。でも、これはかなり命を懸けた戦いになるわよ」
「私もそんな気がしてるよ。それでね」
 かよ子はあの二人の男子が介入すると聞いたら母は許さないのではないかと不安に思った。
「杉山君と大野君も一緒に戦ってくれるって言ってくれたんだ。お母さん、駄目かな?」
「そんな事ないわ。杉山君と大野君の家にも電話してみるわ」
「うん、でも二人を巻き込んで大丈夫かな?」
「大丈夫よ。かよ子にとって頼もしい相手じゃない。きっと勝てるわ。お母さんとお父さんも一緒にいるわ」
「うん、ありがとう!」
 かよ子の母は大野と杉山の家に電話を入れた。それぞれの母親はやや困惑していたが、二人の覚悟も強い事もあってかよ子の母を信じる事にした。
(杉山君達にどうしても迷惑かけられないよね。今からでも練習をしとかないと・・・!!)
 かよ子は昼のアンナとの対峙では炎を手にして炎の操る能力を手にして己の焼死を防いだが、次はどんな攻撃で来るか分からない。別の能力の使用法も理解しておかないとと思い、改めて説明書を読み直した。
(でも、どうしてこの本の字、私には読めるんだろう・・・?)
 かよ子はこの謎の文字が気になった。そういえばアンナとアレクサンドルは異世界から来たという。この杖と本も異世界のものなのか・・・。そしてかよ子の母が持っているという事は・・・。


 翌日、かよ子は途中、たまえにとし子と合流した。
「あ、かよちゃん!」
「たまちゃん、とし子ちゃん、おはよう。まるちゃんは?」
「いつもみたいに寝坊してるのかもね」
「そ、そうかもね」
「かよちゃん」
 たまえは昨日の話をしようとする。
「昨日は凄く活躍してたね」
「え?うん、ありがとう」
「杉山君も感心してたよね」
 とし子も窓からかよ子の戦闘の様子を見ていたのだった。
「うん・・・」
 かよ子はある事も思い出した。それはこの日の夜、決戦を行う予定なのだ。その場には杉山と大野も来る。もし負ければ此方の命はない。かよ子は緊張の(たかぶ)りを感じた。
(でも必ず勝たないと・・・!!)
 かよ子は昨日は杖を使って練習した。杖で庭の石に向け、石を岩のように大きくしたり、岩を転がしたりと石を操る能力も杖にはあるとわかった。
(この杖なら何とかできるよね・・・!?)
 かよ子は己の武器を改めて頼りにしていた。

 かよ子の母は隣のおばさんと話をしていた。
「かよちゃんが決戦ね。あの事件の犯人と」
「心配にはなってますけどクラスの頼もしい男子も味方になってくれてますから大丈夫だと思うんですが」
「大丈夫だと思うよ。あの杖あげたならかよちゃんも使いこなせるんじゃない?」
「そうですよね・・・」

「山田」
 学校で杉山が大野と共にかよ子に話しかけた。
「す、杉山君・・・」
「今日の夜、お前の家に行くよ。だが、お前の母さんがよう俺達が来る事をオーケーしたよな」
「あ、うん、そうだよね。本当は迷惑かけてるのに・・・」
「でも、山田の母さんも何かあるんじゃねえのか?」
 大野はかよ子の母が決戦の参加を許可した理由について考察していた。
「そうかもね・・・。私も分からないけど・・・」
「よし、決戦に備えようぜ、杉山!」
「おお!」

 夕方の山田家。かよ子の家族は集まった。その場には大野と杉山もいる。二人はサッカーボールや野球のボールやバットなど、武器になりそうなものを持ってきていた。
(アンナとアレクサンドル・・・。この家に来るのかな・・・)
 かよ子は二人は待ち合わせ場所を告げていなかったので自分達がどこにいるのかと迷っているのではないかと思った。
(って、私みたいなそんなおっちょこちょいしないか・・・)
 かよ子は自分にツッコミを入れた。その時・・・。
「皆お揃いね」
「だが、人数が多ければいいという訳ではないぞ」
 お待ちかねの二人組は訪れた。ここから殺るか殺られるかの闘いが始まる。 
 

 
後書き
次回は・・・
「魔法の杖と頼もしき男子達」

 アレクサンドル、アンナとの闘いが始まった。応戦するかよ子の家族と杉山、大野。かよ子は己の武器を使用するが、苦戦してしまい・・・。
 
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