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ある晴れた日に

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385部分:目を閉じてその十二


目を閉じてその十二

「悪い人いないし。その娘さんだって優しい人だし」
「怒ったところ見たことないわよね」
「確かにね」
 凛と奈々瀬が言って頷き合う。
「むしろ何時でもにこにこしてるし」
「しっかりしてるしね」
「何か立派な人みたいね」
 恵美は彼女達の話を聞いてその娘さんの人柄を判断したのだった。
「そんなにいい人なの」
「うちがそれ保障するよ」
「私も」
 今度は春華と静華が言ってきた。
「あんないい人そうはいねえって」
「私達だって物凄くお世話になってるし」
「そんなにいい人なら一度会ってみたいね」
 恵美は彼女達の話を聞いて腕を組んで述べた。
「機会があればね」
「それじゃあ今度の祭の時来る?」
 静華が恵美にこう声をかけてきた。
「浴衣あるから貸してもらえるし」
「浴衣あるの」
「結構以上にあるわよね」
「そうよね」
 今度は静華と咲が言い合う。
「あんた達三人の分もあるわよ」
「だからどう?」
 こう言ってついでに茜と明日夢も誘うのであった。
「サイズもでかいのもあるし」
「めぐりんでもいけるわよ」
「めぐりん、ね」
 恵美は今静華が言った仇名には今一つ賛成できないようであった。
「その仇名はまあ慣れるとしてよ」
「で、本題は浴衣はどうするのよ」
「そっちは」
「考えさせて」
 首を傾げながらの返事だった。
「ちょっとね」
「それに他の人から借りるのってどうなのかしら」 
 茜はこのことをどうかと考えているのだった。
「あまりよくないんじゃないかしら」
「まあそうだけれど。それでもね」
「だよなあ」
 茜の今の言葉を聞いて歯切れが悪くなる凛と春華だった。
「凄く柄のいい浴衣ばっかりだし」
「向こうの家の人も是非是非、って勧めてくれるしな」
「だからね」
 言い訳そのものの言葉であった。どうしてもこう言われると弱いのであった。
「それはまあ何ていうか」
「図々しいのはわかってるけれどよ」
 こう言って困った顔になって言葉を出していく。しかしそれでも五人組は言うのだった。
「好意に甘えてね」
「まあそういうことで」
「だからどうよ。あんた達もよ」
「どうする?」
「そうね」
 茜と恵美がここで顔を見合わせる。
「浴衣はこっちで最初から着て行ったらいいわよね」
「そうね」
 これでいこうというのである。
「それでいったら迷惑もかけないし」
「そうするべきね」
「あっ、そうか」
 奈々瀬もここで気付いたのであった。
「私達の家の浴衣最初から着ていけばいいのよ」
「そうね。それだといいわね」
「そうだったわ」
 五人組も気付いたのであった。彼等にしろやっと、であった。
「やっぱり自分の浴衣持ってるわよね」
「勿論よ」
「それはね」
 これは五人共同じであった。やはり全員持っているのであった。なお今歌を歌っているのは野本である。踊れないのが不満そうであったがそれでもリズムよく歌っている。
 
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