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ある晴れた日に

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375部分:目を閉じてその二


目を閉じてその二

「どれがいいの?それで」
「ああ、戦隊もの頼むわ」
 春華はこう咲に答えた。
「最近のでな」
「じゃあ。ええと」
 とりあえず歌のカタログを開き調べる。そのうえで一曲入れたのであった。
「ボウケンジャーね」
「おっ、うちそのオープニング大好きだったんだよ」
 その番組名を聞いてさらに明るい顔になる春華だった。
「じゃあ頼むな」
「了解。それじゃあね」
 咲が早速その曲を入れた。今は正道と未晴が歌っている。皆今はその二人をよそにあれやこれやと自分達の話に経師続けていた。
 その中で。桐生がふと言った。
「で、安橋さん」
「何?」
 恵美に対しての言葉だった。
「宿題はもうやったの?」
「やったわよ」
 平然と桐生のその問いに答える恵美だった。
「もうそれはね」
「そうなんだ」
「そういうあんたはどうなの?」
 今度は恵美から桐生に問うてきた。
「もうやったの?」
「うん」
 その問いに静かに答える桐生だった。
「やったよ。もうね」
「げっ、何て真面目なの」
「もうやったのかよ」 
 やっていない面々はそれを聞いて愕然とさえしていた。
「まだ一文字も書いてないのに」
「もうなんて」
「しかもめぐりんよ」
 春華が恵美の仇名を呼びながら言う。
「あんたもあれだろ?店の手伝いあるんだろ」
「喫茶店のね」
 彼女もまたこう返す。
「毎日やってるわよ」
「じゃあ何でそれで宿題もう終わるんだ?」
 春華は腕を組んで真剣な顔で述べた。
「幾ら何でも早過ぎるだろ」
「時間はあるわよ」
 しかし恵美の返事は平然として落ち着いたものであった。
「幾らでも。お店にいても宿題はできるじゃない」
「少年そんなの全然してないけれど?」
 奈々瀬は明日夢を実例に出してきた。
「何かいつもカウンターでベイスターズの予想見て怒ってるか笑ってるけれど」
「いや、怒ってばかりだろ?」
「八月に入っても負けまくってるじゃねえか」
 奈々瀬のその言葉に野茂と佐々が速攻で突っ込みを入れた。
「今日だってよ。憮然とした顔だったしよ」
「十連敗だったか?今」
 とにかく弱いベイスターズであった。負けて負けて負けまくっているのだ。それは皆もう知っていることであった。新聞にいつも載っていることだ。
「確かな」
「打たないし打たれるしな」
 だから負けるのである。
「エラーは多いし」
「チャンスにはタコだし走ってもアウトになるしな」
 弱いチームの特徴である。
「あれじゃあ無理だぜ」
「勝てねえっての」
 ここに坂上と坪本も加わった。
「今日も広島相手の点差何なんだよ」
「五回終わって五点差じゃねえかよ」
 つまりかなりまずい雰囲気である。このままずるずると負けていくのを常としているのがベイスターズなのである。もっとも逆転負けも多いが。
「これは今日のびっくりメニューもあれかしら」
「ええと。今私達飲んでるのチューハイだけれど」
 静華と凛は丁度今飲んでいるものを見ながら話していく。
「果たして何が出て来るかしらね」
「想像を絶する組み合わせなのは間違いないけれど」
「だから頼まなかったらいいじゃない」
 加山は不安な顔になる彼等に対してストレートに述べた。
 
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