女神と星座の導きによりて
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星25 帰還
「ふふっ、お久しぶりですね。アルデバラン」
口元を抑えてクスリと笑います。
するとアルデバランは
「真名、貴女は今まで何処に居たのだ?この七年、聖域の聖闘士達が探しに探して見つけられなかったんだぞ?」
……七年ずっととか、その執念が怖いです。果たして誰の執念なんでしょうね?
「すみません、私個人の事情です。聞かないでくれるとありがたいのですが……」
誤魔化せたらなーっと思い、目を伏せ、表情を暗くします。
私的には迫真の演技だと思うんですけど、いかに?
「ふむ……真名がそんなにも話したくはないとは……、分かった。気にはなるが、聞かないでおこう」
流石アルデバラン!話が分かります!
「ありがとうございます。アルデバラン」
「しかし、真名。貴女は聖闘士を辞めてしまったのか?仮面を付けていないのはそういう意味なのだろう?」
床に座り込み立っている私を見上げるアルデバラン。座ってもギリギリ私の方が高いと言ったところでしょうか。大きいなぁ。
「そうですね。今では聖闘士もどきみたいなモノですかね?完璧に辞めた訳ではないのですが、仮面を付けていないのは流れです」
「……流れ?」
「流れです」
しばらく無言でしたが、くっくっくと小さく笑う声がアルデバランからします。笑える要素は何処ですか?
「貴女は何年経っても変わらんな。なんだか懐かしい……。嬉しく思うぞ」
あ、懐かしくで思い出しました。
「アルデバラン、私が書いた手紙読みました?」
そう言って確認します。
「ああ、読んだ。”力だけでなく、速さにも経験値を振りなさい”と書いてあったからな。これでも速くなった方なんだ」
ふむふむ、なるほど。これは気合を入れて
「今度、内緒で速くなる様になる訓練表でも作りますか」
「今度?真名、これからはずっと聖域に居るのか?」
まぁ、うん。
「そういう事、ですかねー?」
「そ、そうなのか……。また賑やかになるかもな。昔の様に」
その事なのですが……
「アルデバラン」
「なんだ?」
「私が聖域に帰って来た事は誰にも言わないでください」
その言葉を聞いたアルデバランは驚愕に目を見開きました。
「な、何を言っている!何故秘密にしなければいけないんだ?」
そりゃそうですよねー。私でもそう思いますよ、うん。
「実は、私が戻ってきたのはアテナの為なんです」(※嘘ではありません)
「アテナの……?」
「はい、そうです。私が聖闘士もどきみたいな事になっているのも、アテナの為でして」(※嘘ではありません)
「…………」
「私は陰からアテナをお守りする為に此処にいるのですよ。なので、秘密にしなければなりません」(※嘘ではありません)
「……そう、なのか」
「はい。アルデバランの負担になってしまう様で、すみません」
すみません、アルデバラン。本当は貴方とも会うつもりはなかったのですが……、任務に出ているか、訓練に行っているかとも願っていたのですけど。
「私との事は新しく入った女官といった風に接して頂けると助かります」
「真名を女官として見ろ……と?」
なんですか、その「何を言っているんだ?」っという顔は。
「まぁ、今更感はするでしょうけど我慢して下さい」
「あ、ああ。わかった」
約束ですよ!
「はい、アルデバラン!」
「?」
私はお約束恒例の小指を突き出し、
「指切りです!」
にっこりとアルデバランに笑いかけました。
するとアルデバランは意表を突かれたという顔になり、高々に笑い出しました。な、なんですか?
「はははははは!こういうやり取りも、懐かしいな!真名が真名のままで安心したぞ!……わかった。このアルデバラン、牡牛座の黄金聖衣に誓おう!秘密を守ると!」
おおう、ちょっと大げさですかね。
でも、悪サガからアルデバランを守る為です。ここは良しとしましょう。
そしてアルデバランと指切りをして、さて、そろそろ行きますか。
「では、アルデバラン。私はそろそろ行かねば」
「ふむ、そうか……。また、会えるんだろうな?」
アルデバランにしては珍しく不安顔ですね。
ああ、そうか。私が眠っている間、サガと年中組の三人位しか聖域に居た事は知らなかったみたいでしたし、沙織にテレポーテーションされた分も足すと、丁度七年居なかった事になるんですね。
「会えますよ。同じ聖域に居るのですから」
「 ! そうか、うむ、そうだな。すまんな!変な事を聞いてしまった!」
「いえいえ、では、また会いましょう」
そう言って手を振り、次の宮、双児宮に向かうのでした。
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「さてはて、流石に此処に居る訳ないでしょうけど、一応探りますか」
こうして聖域を上るのは久しぶりでしたので、懐かしみながら上ってしまいました。
双児宮ではよくカノンをおちょ……こほん。一緒に追いかけっこしましたね!
そんな事もあったなー、なんて現実逃避してるばやいではないのです。
な、なんで居るんですかー!?
「さ、サガ……!?」
うわっ、思いかけず大きな声が出てしまいましたよ。
双児宮にまだ入った訳ではないので、キョロキョロと周りを見渡します。
だ、誰も居ませんよね?
━━━━━ふん、やっと来たか
おおう、噂をすれば影?ですね。
━━━━━さっさと入れ。”私”がお待ちかねだぞ?
うおぅ、さり気なく”私”とか言っていましたが、この言い方は……多分ですけど、
「悪サガっぽいですね……」
ぽつりと呟いたつもりだったんですけど、
━━━━━聞こえているぞ、誰が”悪”サガだ。誰が。
いや、あんたですよ。あんた。
でも、聞こえていたとか、どんだけ耳が良いんですか。
地獄耳ですか、そうですか。
━━━━━……いい加減にしろ、さっさと入って来い。
「はい、わかりました」
こういう時は、返事は一回で済ませた方が良いんですよね。
ワザとらしく二回言うと怒られますから、要注意です。
……ふっ、経験者は語る、ですよ。
まぁ、此処でうだうだしていても仕方ないので、言われた通りに双児宮に入りました。
「……お久しぶりですね。サガ」
双児宮に入ってしばらくすると、見覚えのある後ろ姿がありました。
その後ろ姿に思わず挨拶をしたら、
「……真名!」
っと、叫ぶ様に呼ばれて顔に影が出来たと思ったら、抱きしめられて「なんじゃい!?」と思って顔を上げたら、またですよ!また!
こう、感動の再会?的な?感じにいつなりました!?
またキスされてるんですけど!?
何故避けなかったのか?避けれるハズないですよ!滅茶苦茶速かったですよ!?
光速越えてませんでした?って、聞きたい位ですよ!
この人、キスが好きですね!?本当になんなんですか!
……ああ、もう!仕方ないですね。
しばらくこうしててあげますよ!ちくせう!
後書き
はい、自ら来ました。
サガ様でござい。
真名もサガの苦悩を知っているので、好きにさせてるという感じでしょうか。
ちゃんとサガの事は好きみたいですけど、恋愛感情なのかは実は分かってないという……。
ある意味悪い女かもしれんです。(笑)
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