魔法少女リリカルなのは~とある4人の転生者~
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第4話 類は友を呼ぶ
先日の一件でトウカと友人になり、修行場所を確保することが出来た俺は毎日あの神社まで行き、魔法と体術、時にはトウカの助けを借りて幻術の修行に励んでいた。だが、今日は珍しいことに修行には出ていない。今日は、トウカの家の人が所用で家を空けるらしく一日だけトウカを家で預かることになったのだ。
「まあ、今更人を呼ぶくらいで緊張する必要は無いか」
預かるといっても今日一日家で遊ぶ程度のものだし、今までハルや海斗を幾度と無く招いているから改まって緊張する必要は無い…のだが、一番の問題が例によってちぃさんだ。今日はちぃさんがお昼に大学にいってしまうので昼飯をどうするかという問題がある。
「…作ることは出来るんだけどな」
だが、心配なのか、ちぃさんは俺に一人で料理をすることを許さない。曰く、『まだ、小学生にもなってないんだから一人じゃ危なっかしいでしょ。それに高いところに手が届くの?』とのこと。まあ、高い所云々はこの間マスターした《大気踏み》でどうにかなりそうだが。で、どうするか?だが、ちぃさんが解決策を用意してくれていた。
「たよりになる助っ人を呼んでおいたから任せておいて」
とか横で言ってる。なにやら最近通いつめてる喫茶店の知り合いが来るらしい。平気だろうか?この人の知り合いでまともだったのは、紫髪の学校の後輩さんのみでその他は、裏のありそうな刑事、現役剣士に自称霊能者、似非神父さん、魔術〇房(笑)、バイト先の変態店長とか明らかに変人指数が高そうな人達しかいなかったんだけど。
「へーき、へーき。一応あの家の中でも比較的まともな部類に入るから」
俺の表情から考えていることを読んだのか、笑顔で全然安心できないことを告げてくる。
「比較的ってどういうことさ!?比べる対象によってまともかどうか変わるよね?ってか、やっぱりちぃさんの知り合いにまともな人がいない!」
といいつつも、自分の知り合いが巫女見習い、転生者(秘密基地建造最高責任者)、転生者(魔法使い)、目の前にいる廃スペックお姉さん、それすら凌駕する両親という変人指数の高い人のオンパレードであり、人のことを言えないのもまた事実だった。
「職業柄仕方ないのよ」
「どんな職業に就いたら大学生の交友関係がそうなるのさ!?」
もう駄目だ。この人の人間関係を気にするのはよそう。頭が痛くなる。と、決心したところ、
―――ピンポーン―――
慎ましやかに我が家のチャイムが鳴って来客を告げる。
「はーい」
『サクヤ君からお呼びに預かりました、神咲冬華です』
「今、開けるから待ってて」
そういってインターホンを切って、ドアを開ける為に玄関に向かったところ、
「へぇ、あなたが冬華ちゃん?私は東堂千秋って言うの。朔也の保護者ね」
「はじめまして、千秋さん。ご存知のようですが神咲冬華と申します」
「ああ、堅くならなくていいのよ。それで、お姉さんは元気にしてる?入院したって聞いたけど」
「お姉ちゃんを知ってるんですか。この間退院して、今日は家族と一緒に出かけてます」
というやり取りを見て派手なヘッドスライディングをかましてしまった俺は別に悪くないと思う。いつの間に玄関に行ったんだよ!というか、トウカのお姉さんもちぃさんの知り合いだったんかい!まだ見ぬ神咲姉の変人指数が瞬く間に上がっていく。ちぃさんの知り合いってだけでうなぎのぼりだ。
「こんにちは、サクヤ君」
「よお、トウカ。いらっしゃい」
もう既に俺の異常性に慣れているのかトウカがヘッドスライディングになんの突っ込みもいれずに挨拶をしてきた。まあ、この間空気を蹴って飛んで見せたしこのくらいじゃもう驚かないか。
「今日はよろしくね」
「気にすんな。いずれ呼ぶつもりだったんだし。ほら、上がれ」
「うん」
「あと、似合ってるなその服」
今日のトウカはいつも来ている白と赤の巫女服ではなく黄色いワンピースを身に着けていてとても可愛らしかった。
「ありがと、サクヤ君」
やはり褒められて嬉しいのか顔が緩んでいるな。
「朔也、もう女の子を口説いてるのかな~?」
ちぃさんがからかうような口調で言ってくるので若干、ムカついた(先程のヘッドスライディングの件も含めて)のでちょっと仕返しすることにした。
「ちぃさんもそのうち口説いてくれる人が現れればいいのにね」
「…朔也のバーカ」
効果抜群らしく、いじけてしまった。しばらく放っておけばそのうち勝手に復活するだろう。それより、ちぃさんや、トウカが若干引いてるからね。
「あまり気にしないでいい。いつものことだ」
「え、うん」
慣れれば大して気にならなくなるからね。慣れるまで付き合ってあげてとは言わないけども。
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その後、復活してきたちぃさんと一緒に談笑して過ごした。話題が俺とトウカが初めて会ったときのことに触れたけど、トウカは約束通り魔法のことに関しては黙っていてくれた。
「あ、ごめん。私そろそろ用事があって行かないといけないから。もう少ししたら私の知り合いの高町(・・)美由紀っていう子が来るから、その人に頼んでね」
といって、すぐに出て行ってしまった。えっと、“高町(・・)美由紀さん”ね…
…“高町(・・)”?どっかで聞いたような、
『…高町(・・)なのはっていう主人公が活躍する…』と言う海斗の言葉がリフレインする。
「…あぁ」
なんか知らないけど、碌でもないことの渦中に巻き込まれる切欠を作った気がする…
「毎度毎度思うんだけど、俺も含めてあの人の交友関係にまともな人が滅多にいないな」
つい、独り言でつぶやいてしまった。
「そうなの?」
「そうだよ。正直に言うとトウカのお姉さんにもやや不安がある」
俺の独り言に律儀にも反応してくれたトウカ。もうぶっちゃけてしまいたかったので言っちまった。出来れば否定の言葉を頂きたいのだが…まぁそれは無いだろうな。
「…」
なんかトウカがそわそわしだしたな。迷ってるみたいだ。
「あの、サクヤ君。私、君に伝えなきゃいけないことがあるの」
「なに?」
意を決したようにトウカが俺を見つめてきた。
「まず、先に言っておくね。私たち普通の人じゃないんだ」
「まあ、魔法云々でそんなに驚いてなかったしそうなんじゃないかとはうすうす気づいてはいた。でも、俺とは違うんだろ?」
「うん。私の家はもともと退魔師って言う悪魔祓いの家系なの。今日、家族が家を空けているのはその関係。もちろん私も退魔師を目指してるの」
退魔師か…魔導師とかの話は聞いてたけどそんなもんが出てくるとは知らなかったな。海斗に今度聞いてみるか。
「ふむ。けど、退魔師ってどんなことするんだ?」
「えっと、私たちが住んでるこの世界には人外の存在、鬼とか悪魔とか、怨霊それこそ真祖とかの色々な異形が存在してるんだ。身近なものだと海鳴にいる“真祖”の遠縁にあたる吸血鬼に近い“夜の一族”がそうだよ」
「…そんな近くにいたのか。気づかなかったな」
そんな近くに真祖なんていうすごい人(?)の血を引く人がいるとは
「うん、普段は普通に暮らしてるからね。この町にいる人たちは基本いい人なんだけど、中には鬼畜外道に身を落とす異形も出てくるの。で、それを払うのが、」
「退魔師?」
「そうだよ。別に私たちにしか倒せないってわけじゃないの。サクヤ君の使ってた力でも倒せるんだよ。でも、ほとんどの人がその存在を知らないから…」
「なるほど。それで、代々退魔師をやっていると。にしても、そんな人たちと知り合いだって言うちぃさんはいったい何者なのやら」
「う~ん、どうだろうね。でも、お姉ちゃんの知り合いは基本こっち関係の人だから、もしかしたら…」
「もしかしたら?」
「じつは、お姉ちゃんから聞いたんだけどこの町に“外道狩り”っていう外道に落ちた存在を狩っている“狩人”の話を聞いたなって思い出したんだ。私たちと違って異形の力を持ってして異形を狩る者なんだって」
「ちぃさんのスペックを考えればあるかもしれないな」
もし、そうなら何やってんだかあの人。てか、そんなことしてればあの交友関係にも納得がいくが。ま、証拠が無いし言及しないでおこう。下手につついたらやぶ蛇…ちぃさんの場合は龍が出てくるかもしれん。
「でも、なんで教えてくれたんだ?これ人に教えちゃいけないことなんじゃないのか?」
「いいんだよ。わたしもサクヤ君の秘密知ってるし、これでお互い様。それに友達同士で隠し事はしたくなかったから…」
友達か。トウカはそれだけで秘密を打ち明けてくれたのか。
「まったく、つくづく俺には勿体無い友達だよなトウカは」
実際俺は一番の秘密を伝えてないしな。
「そんなこと無いと思うけど」
「そういう所が俺には勿体無い」
「えっと…そうそう、もちろんこのことは内緒でね?約束だよ?」
俺が褒めているのに恥ずかしくなったのか話を逸らすように誰にも言わないように言ってくる。
「ああ、約束だ」
「じゃあ、指きりしようサクヤ君」
「いいぞ。男に二言は無いからな」
「「指きりげんまん嘘ついたらはりせんぼんの~ますっ」」
「「ゆびきった!」」
黙秘同盟ってとこか。にしても…
「そんなのがいるなら、もっと強くならないとなぁ」
魔力版螺旋丸完成させないとなぁ。…真祖とかに効くか分からんけど。
「がんばってね、サクヤ君」
「は~い。精進します」
「ふふ、よろしい」
それからしばらく、助っ人が来るまで2人で談笑し続けていた。
なお、この後助っ人の殺人級のうっかり料理技術に、やはりちぃさんの交友関係に碌な人間がいないことを再認識する事になったのは言うまでもない。
後書き
申し訳ないのですが、御神の女剣士さんの本格参戦はもう少し先を予定しています。
今回の事件の詳細もそのときにでも書きたいと思います。
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