大阪のうわん
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第四章
「教会にいつも遊びに来ている」
「それでお話が済みますか」
「日本なので。まあとにかくうちの教会にはです」
「妖怪さんがですね」
「います」
また晃に話した。
「この通り」
「そうですか」
「はい、そして」
神父はさらに話した。
「お二人はさっき教会の前を通られましたか」
「はい」
朝美が神父に答えた。
「実は」
「その時うわんと言われましたね」
「はい」
その通りだとだ、朝美は神父に答えた。
「先程」
「そうですね、やはり」
「わしの習性でな」
妖怪が言ってきた、当の彼が。
「棲み処の前を人が通るとな」
「その時にですか」
「うわんと言う、それでうわんと相手が言わないと」
棲み処の前を通った人がというのだ。
「その時はな」
「どうなるんでしょうか」
「他のうわんは知らんがわしは顔を出して驚かしている」
その棲み処からというのだ。
「そうしている」
「そうでしたか」
「しかしうわんと言うとな」
「通りがかった人がですね」
「その時は何もなしだ」
「そういえばあの時私達は」
「思わずうわん?って言ったね」
晃がその時のことを思い出して朝美に話した。
「そうだったね」
「ええ、そうよね」
「だからだね」
「私達の前にお顔を出さなかったのね」
「そういうことだな」
「そのせいでこの教会はびっくり教会とも言われています」
神父は今度は苦笑いで話した。
「びっくり箱ではなくて」
「びっくり教会ですか」
「はい、その様にです」
言われているとだ、朝美に話すのだった。
「この辺りでは」
「そうですか」
「しかし驚かすだけだ」
うわんはこのことは断った。
「それ以上のことはだ」
「しないのですね」
「妖怪は人を驚かすものだ」
朝美にこうも言うのだった。
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