迫りくる海草
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第一章
迫りくる海草
スコット=ヴォネガットとクラーク=ホーソーンは今はヴォネガットの神託でアメリカメーン州ポートランドに来ていた。
この街に入ったその足でヴォネガットはホーソーンと共に街のギルドに入ったがそのギルドの喫茶店でだった。
ヴォネガットはカウンターでコーヒーを飲みつつ自分の隣の席でレモンティーを飲んでいるホーソーンに言った。
「このポートランドの海の中ですが」
「そこでか」
「はい、先程神託でありそうな依頼をチェックしますと」
それでというのだ。
「海草が異常繁殖していて」
「海底都市とか村が困ってるか」
「その様です、ですから」
「海の中に入るか」
「そうしてみましょうか」
こうホーソーンに言うのだった。
「我々は」
「海の中に入るとなるとな」
「はい、呼吸が出来るキャンディーが必要です」
ヴォネガットはホーソーンに真面目な顔で話した。
「ポートランドの海底都市や海中村は空気に包まれまた空気が生み出され」
「呼吸出来るけれどな」
「その外となりますと」
「海の中や」
それでとだ、ホーソーンはヴォネガットにレモンティ―を飲みつつ答えた。この世界でもアメリカの紅茶はレモンティーだ。
「やっぱりな」
「はい、ですから」
「酸素キャンディかなり用意してな」
「お仕事の依頼に向かいましょう」
「仕事は受けるんやな」
「はい、そして」
「海底都市に入ろうな」
こう話してだ、二人はこの依頼を受けることにした。そのうえで多くの酸素キャンディを購入してポートランドの港から出ている海底都市行きの潜水艇に乗り込んだ。街には人魚や魚人、蛙人等普通に水中でも活動出来る種族以外にも様々な移住者がいた。人は空気があれば生きられるということだろうか。見れば淡水も生み出され海水が濾過され飲み水にも使われている。こうしたことは他の海底都市や海中村と同じだ。
そして依頼主である街の市長の話を素性を隠して旅の冒険者ということになって聞くとだった。市長である亀人の中年の女マーガレット=ベンソンは二人に話した。
「この辺りはそうではないのですが」
「以来のお話では街から五キロ程行けば」
「はい、もうです」
「海草がですか」
「異常繁殖していて」
そしてというのだ。
「何から何まで覆い尽くす」
「そうした感じですか」
「しかもその繁殖面積の拡大が急激で」
「この街にも」
「このままではです」
市長は自分の席の前のソファーにホーソーンを並んで座っているヴォネガットに話した、部屋の窓の外には街の外の海の世界に様々な魚達が泳いでいるのが見える。すぐそこには美しい岩盤地帯も見られる。
「この街も周りの村も」
「海草に飲み込まれると」
「そう思いまして」
「ギルドに依頼を出したのですね」
「はい、これが普通の行政なら州政府も動いてくれますが」
「そうではないですか」
「海の海豚や海胆の中に喋れるものがいて」
この世界では時折人の言葉を喋ることが出来知能の高い者達もいる、神の血を引いていたり長生きしたりした結果だ。
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