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レーヴァティン

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第百五話 大坂からその六

「寺社もね、けれど」
「一つ極めて大きな勢力がある」
「興福寺ね」
「あの寺がな」
「大和最大の勢力で」
「下手な大名より大きい」
「だからよね」
「あの勢力がどう出るかがだ」
 このことはというのだ。
「大和を手に入れる際に重要だ」
「まずは使者を送るか」
 ここでこう提案したのは耕平だった。
「そうしよか」
「そしてだな」
「降らんとな」
 その時はというのだ。
「戦や」
「そうすればいいな」
「そや、ほな戦の用意もやな」
「していくか、大坂からだ」
 今自分達がいるこの街からというのだ。
「河内に進んでだ」
「そこから大和に入ってくな」
「その道にある国人達に最初に声をかけていくが」
「それで興福寺に向かうな」
「そうする、若しだ」
 ここはというのだ。
「興福寺が俺達と戦うというのならな」
「その道からやな」
「興福寺に迫ってだ」
 そうしてというのだ。
「戦ってだ」
「勝ってやな」
「降す、戦うならな」
 絶対にと言うのだった、英雄は耕平にその決意も述べた。そして耕平にこうも言うのだった。
「すぐに興福寺についてだ」
「細かいとこまでやな」
「調べてもらいたい」
「わかったわ」
 耕平は英雄に明るい笑顔で答えた。
「ほなな」
「とにかく大和だ」
 次はというのだ。
「あの国だ」
「そうだな、しかしな」
「しかし?」
「大和といえば」
 この国のことをだ、英雄はさらに言った。
「南の話もしたが」
「ああ、あそこはね」
 大和の南についてだ、桜子が言ってきた。
「凄いよ」
「山と木ばかりでか」
「北は盆地でね」
 大和の北の話もだ、桜子はした。
「開けていてね」
「田も多くてだな」
「いい場所だよ、人も多くて街もね」
「多くてだな」
「豊かだよ、奈良や郡山や橿原や高田ってね」
 そうした場所はというのだ。
「大体五條や王寺辺りまではね」
「田も人も多くてか」
「街もいいけれどね」
 これがというのだ。
「吉野から南はね」
「違うか」
「もう全く違う国だよ」
 それこそというのだ。
「大和は北と南でね」
「南はいい木が多いと聞いたがな」
「それはそうだけれどね」
「南は人が少ないか」
「南全部合わせて」
 それでというのだ。 
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