麗しのヴァンパイア
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第百四十話
第百四十話 止めた理由
カーミラはパンを食べつつ雪路に話した。
「あの時貴女は一人だったわね」
「一人で飲むことはですか」
「そう、過ぎるとね」
「よくないのですか」
「そのまま酔い潰れたら」
そうなればどうかと言うのだ。
「大変でしょ」
「言われてみますと」
「沈んだらそのまま沈むかも知れないし」
気持ち、それがというのだ。
「だから止めたの。けれど今はね」
「違いますか」
「私がいるから」
カーミラは自分自身のことも話に出した、そうしてパンの後はサラダを食べそれからソーセージを食べてだった。
シャンパンを飲んだ、そして一杯空けてからあらためて話した。
「だからよ」
「今はいいのですか」
「そう、もう今日はね」
それこそというのだ。
「心ゆくまでね」
「朝からですか」
「飲んで」
そしてというのだ。
「忘れるのよ、忘れて」
「それからですね」
「新しい恋を見付けることよ」
「そうすればいいですか」
「人は恋をして」
自分自身の過去、雪路が知らないそれを瞼に見つつだった。カーミラは彼女に対してさらに話した。
「それが終わってね」
「そうしていってですか」
「成長していくものなのよ」
「失恋によって」
「そうよ、心の痛みも知って」
失恋によるそれをというのだ。
「他の人にも優しくなれるから。そして」
「次の恋では」
「新しいものも得られるから」
「次の恋をですか」
「今は見付けられる様に」
その為にもとだ、カーミラは今度はソーセージやハムを食べつつ話した。
「今は飲むのよ」
「そして心をですね」
「洗い流すのよ」
失恋の痛み、それをというのだ。
そう言いつつカーミラは自分ももう一杯シャンパンを手に取った、そうして雪路にも飲む様に促すのだった。今は洗い流す為に。
第百四十話 完
2019・3・12
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