DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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継承
<ロマリア>
「おぉ!さすがは勇者一行!よくぞ取り戻してくれた!」
アルル達はロマリア城へ入るなり、謁見の間まで急かされる様に通され、今は王様よりお褒めの言葉を賜っている。
「お褒め頂き恐縮です。しかしカンダタ本人は逃してしまいました…申し訳ございません」
「よいよい…女性を助ける為に已むなしと聞いておる!」
「随分と詳しいッスね!?見てたんですか?」
リュカの不躾な質問に、王は笑って答える。
家臣の方々は不愉快極まりない顔をしている。
「お主等が助けた女性から聞いたのだ。窓の外に縛り吊されてた者だ。憶えておるだろ?」
「お元気ですか?」
「うむ。お主に感謝しておったぞ!」
リュカは嬉しそうに頷く。
「……褒美の件だが…話をまとめると、リュカ…お主一人の力で、なし得た様に思えるのだが…」
「そんな事ないッス!みんなの協力でなし得た事ッス!」
「殊勝な事だ。だが、お主が盗賊団を壊滅させたと、報告がきておるのだよ!」
「その通りです陛下!私達は一緒にシャンパーニの塔まで行きましたが、何も出来ずにいました!彼一人の功績です!」
珍しくリュカが辟易している事に、アルル達は少し楽しんでいる。
「ではリュカに褒美を取らせよう!」
ロマリア王は嬉しそうに立ち上がり宣言する。
「リュカ!お主にロマリア王国の王位を譲ろうぞ!」
…………………………
「あ゛!?何言ってんの?大丈夫?」
アルル達も臣下の者達も言葉が出ない中、リュカだけが無礼極まりない発言をする。
「うむ…もうちょっと分かりやすく言うとだな…リュカ、お前が王様って事だよ!わっはっはっはっ」
「陛下ー!!何を仰います!?王位をこんな下賤な旅人にやるなど!」
「私の見る目に間違いはない!リュカならこのロマリアを良い国にしてくれる!」
「し、しかし…「これ以上臣下の身で文句を言うのなら、相応の罰を与えるぞ!」
罰と聞き黙り込む臣下の人々…
「ちょ、待てコラ!僕はOKしてねぇーぞ!」
100%不敬罪です。
「何だリュカ…断る理由はあるまい!王になれるのだぞ!」
「自由気ままな旅人と制約いっぱいの王様…う~ん、僕迷っちゃう。って、ちげーよ!嫌だよ、断る!誰が王になんぞなるか!」
「何ゆうてんの!?王様やで!!絶大な権力やん!」
「あのねエコナ…権力には責任が付いて来るんだよ!権力が大きければ大きい程、責任も大きくなる。自由気ままに生きる方が幸せなんだよ!」
「益々気に入った!お主は王の有り様を心得ている!やはり私の目に狂いはない!リュカよ、お前にこの国を任せたい!是非、王になってくれ!」
(現)ロマリア王はリュカの元まで近付き、両手を握り締めて王位継承を進める。
「絶対ヤダ!冗談じゃない、今僕は幸せなんだ!その幸せを手放して堪るか!自由こそ我がライフルタイル!」
(現)ロマリア王の手を振り払い、自己の生き方を力説するリュカ。
「………どうしてもダメか?」
「しつこいおっさんだな!王になって良い事なんか一つもない!」
最早誰も言葉遣いを注意しない。
「………仕方ない…諦めるとしようか…だがリュカよ!何時でも代わってやるぞ!自由に飽きたら何時でも来い!」
ロマリア王はにこやかに玉座へ戻る。
「飽きないよ!」
「では、他に何か欲しい物はあるか?何も褒美をやらない訳にはいかぬのだが…」
ロマリア王の問いに少し考えたリュカは、アルルを見て問いかける。
「アルルは何か欲しい物ある?」
急に権利を譲られ戸惑うアルル。
「………そ、そうですね………あの、可能なら船を頂けますか?今後の旅に必要になると思うので…」
「ふむ…船か…我が国にも無いわけでは無いのだが…我が国の船では、お主等の役には立たんよ」
ロマリア王の言い分では…
船、1隻で大海原へ出ても、海の強いモンスターに沈められるのが落ちである。
船団を組んで航海するのなら何とかなるが、1隻では船自体が丈夫でないと、意味がないと言う。
「そう…ですか…」
「ただ『ポルトガ』なら、造船技術が発達しておる故、強固な船を造る事が出来るであろう」
「ではポルトガへの通行許可を頂けますか!?」
「それには及ばぬ!もう既にお主等はフリーパスだ!ロマリアから何処へ行こうが、私に許可を取り付ける必要はない。だが困った事に、ポルトガへ通じる関所なんだが…」
歯切れの悪いロマリア王。
「何か問題でも…」
「………鍵が無い…」
「は?」
「モンスターが蔓延っていたのでな…関所の門を閉めてしまったのだが…鍵を無くした…まぁ、モンスターの行き来を阻害する為に閉めた訳だから、いいかなと思って合い鍵を造って無い…壊されると困るのだ。鍵を開ける事が出来たのなら、自由に通行してくれ!」
結局、アルル達はロマリア内フリーパスの権利以外、何も貰えなかった。
むしろ問題が山積して行く事に、リュカ以外が頭を悩ます…
「どうしましょう?」
宿屋へ戻った一行は、いつもの様にリュカの部屋で作戦会議を行っていた。
「ナジミの塔で貰った、盗賊の鍵じゃ開かないかな?」
「やってみてもいいけど、開かなかった時の為に別の方法も考えとかないと…」
ウルフの提案にアルルは難色を示す。
関所を閉める様な鍵だ。
簡単な造りの訳が無い。
「じゃぁ、どうすんのや!」
「「「…………………………」」」
誰も何も思いつかない。
堪らずアルルはリュカに頼る事に…
「リュカさんは…何か打開策がありますか?」
「うん。『魔法の鍵』を探しに行こうよ。『イシス』って国にあるらしいから」
「何でそんな情報を持ってんだよ!」
愚問である。
「ジェシカさんから聞いた。ジェシカさんは元彼から聞いたらしい。その元彼が探しに行ったみたいだよ」
アルルの顔を歪る…
「また女かよ…」
皆、呆れ顔だが他に何も思いつかない為、リュカの情報を頼りにイシスへと向かう事となる。
先ずは『アッサラーム』へ向けて…
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