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ある晴れた日に

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325部分:その日からその二十一


その日からその二十一

「ベイスターズ負けたら何かあるんだよな」
「勝っても負けてもあるわよ」
 やはり明日夢の家の店ならばこれは健在だった。
「ミステリーね。その時にならないと何を入れるかわからないのよ」
「間違っても負けてる時に食うものじゃねえな」
「そうね」80
 皆このことはすぐにわかった。
「それこそ何が中に入ってるやら」
「納豆とかキムチとかなんだろうな」
「大体よ、大魔神のあれだけれどよ」 
 今度は坪本が明日夢の家の店について言ってきた。
「あのお楽しみおつまみ」
「面白いでしょ」
「ベイスターズ負けてる時やっぱりとんでもねえもんじゃねえか」
「それ気のせいだから」
「気のせいで赤ワインの時に素麺が出るかよ」
 これまたえげつない組み合わせである。
「冷やし素麺よ。何でそんなの出るんだよ」
「っていうかあんた未成年でうちの店に来たよ」
「いや、皆来てるし」
「何を今更」
 実はそうなのだった。とにかく誰もが彼もが飲むのである。
「猛虎堂だってそうだし」
「あんたのスタープラチナも普通にお酒出るじゃない」
「まあそれはそうだけれどね」
 明日夢もそう言われると否定できなかった。
「じゃあそれで話は終わるのね」
「そういうことじゃない。結局は」
「皆何も言わないし」
「煙草と違うからな、酒は」
 煙草は駄目なのであった。それは。
「だから別にね。お酒は」
「あんたも飲んでるじゃない」
「実は大好きだし」
 明日夢にしろかなりの酒飲みであるのだ。
「まあそれはいいわ。お酒の話はこれでね」
「人のこと言えないからね」
「しかもここにいる全員」
 飲むからである。なお彼等は酒も甘いものも両方いける。殆ど何でも食べられるのだ。
「それはそうとしてよ」
「あっ、あの二人」
「今度はミラーハウスにいくのね」
「行く?皆で」
 またここで茜が皆に問うてきた。
「ミラーハウス」
「いや、それはまずいよ」
 しかしそれは桐生が止めた。
「ミラーハウスって迷路じゃない」
「ええ、そうだけれど」
「下手に鉢合わせしたらもう言い逃れできないよ」
 彼が危惧しているのはこのことだった。
「そうなったらさ。だからここは」
「皆で行くのは止めておくべきってことね」
「皆じゃなくて誰も中に入らない方がいいよ」
 彼はこう考えているのだった。
「鉢合わせしてもあれだし鏡に映ってもあれだし」
「ちっ、じゃあ中に入るのは駄目か」
「それ言ったらお化け屋敷も駄目よね」
 野本と奈々瀬は続いてこのことにも気付いた。
「あそこも鉢合わせするから」
「だからそこじゃあれだよ」
 桐生は二人に対しても答える。
「外で待っていよう。絶対にね」
「ちぇっ、面白くねえな」
「ミラーハウスとお化け屋敷が一番面白いのに」
「それで全部ぶち壊れてもいいの?」
 桐生も容赦なく言い返す。
「この話が何もかも」
「うっ、そう言われたらよ」
「ちょっとね」
 流石にこう言われると二人も言葉がなかった。大人しくなってしまった。
「じゃあここはやっぱり」
「大人しくかな」
「折角遊園地に来たのによ」
「かなり残念」
 坪本と静華も極めて面白くなさそうな顔をしている。
 
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