レーヴァティン
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第百三話 夜襲破りその六
「炎も風も氷も雷もだ」
「全部ですね」
「放ってですね」
「そうして敵を攻めますね」
「そうだ、ここでな」
この状況でというのだ。
「敵を徹底的に退けるんだよ」
「その攻撃で、ですね」
「術も使って」
「そのうえで」
「ああ、敵全体をな」
陣地に迫っていパイクに阻まれている彼等だけでなく、というのだ。
「攻めるんだよ」
「わかりました、では」
「その様にします」
「このまま」
「ああ、それで外側はどうなってるんだ?」
久志は総司令官としてそちらのことも尋ねた。
「そっちは」
「鉄砲とパイクで防いで」
士官の一人が答えた。
「そしてです」
「騎兵隊もだよな」
「はい、進太殿が率いている騎兵隊がです」
その彼等がというのだ。
「敵の後方からカラコールで攻めて」
「敵を追い詰めているんだな」
「はい」
その通りだというのだ。
「そうされています」
「そうか、じゃあな」
「このままですね」
「敵が退いてもな」
例えそうなってもというのだ。
「朝になるまではな」
「この場で、ですか」
「警戒しておくことだよ」
そうせよというのだ。
「とりあえずはな」
「そうしますか」
「ああ、そしてな」
今はと言うのだった。
「とにかくな」
「敵を寄せ付けないことですね」
「鉄砲に弓矢に術にな」
「大砲にですね」
「パイクも使ってな、まあ大砲はな」
ローマ軍にとって切り札であるこの兵器はというと。
「あまり撃てないな」
「実は」
砲兵士官が来て言ってきた。
「一発撃ちましたが」
「それでか」
「はい、闇夜の作業なので」
それでというのだ。
「次撃つにはです」
「無理するな」
これが久志の返事だった。
「それならな」
「撃てるだけでいいですか」
「ああ、無理に急かしてもな」
砲撃の作業、それをだ。
「危ないしな」
「実は大砲は」
「わかってるだ、火薬を多く使うし作業も大変だしな」
こうした要素が重なっていてというのだ。
「暗い中での作業は余計にだからな」
「困難だからですか」
「無理はするな」
「そうしてですね」
「次に撃つことは焦る必要はない」
確かな声でだ、砲兵士官に答えた。
「いいな」
「わかりました、それでは」
「そういうことでな」
「やらせてもらいます」
砲兵士官も確かな声で応えた、そしてだった。
砲撃は次は行われなかったがそれでもだった、久志達は銃撃も無理はさせなかった。こちらについても話すのだった。
ページ上へ戻る