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ロックマンX~Vermilion Warrior~

作者:setuna
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第129話:Mission Continue

指令室には復帰したルインを加えたメンバーがいた。

失っていた者が帰ってきたからかエックス達の表情に何時もより覇気がある。

「お前達には残るレッドアラートのメンバーを相手にしてもらう。アクセルの情報ではレッドアラートの主戦力は8人。エックス達が5人倒したことで残り3人にまで減らすことが出来た。ルインも復帰し、戦力も大幅に上がったこの勢いでレッドアラートを一気に叩くぞ!!」

【了解!!】

シグナスの貫禄のある力強い言葉にエックス達も力強く返した。

「ルイン、戻ってきて早々すまないな。出来れば少しは休んでもらいたいのだが…」

「大丈夫です。私はイレギュラーハンター…それが仕事なんですから…みんなも頑張ってるんですから私も頑張らないと!!それじゃあ、アクセル!!今回のチームではよろしくね」

「勿論、あの偽者を軽く倒した実力を見せてもらうよ!!でも、チーム戦のブランクとか大丈夫なわけ?」

「大丈夫大丈夫!!トレーニングルームで訓練したし、後は実戦でやるのみだよ。実戦に勝るものはないからね」

チームを組むアクセルとルイン。

久しぶりのチーム戦となるルインは大丈夫なのかとアクセルは尋ねるが、ルインは問題ないと言い切る。

因みにエックスはルナとチームを組み、ゼロは単独で挑むことにしている。

そしてアクセルとルインはトンネルベースに向かい、迫り来るメカニロイドを迎撃していた。

「当たれ!!」

ルナのバレットと同型の銃とハンドボウガンのような銃で縦横無尽に動き回るメカニロイドを撃破する。

ルナのバレットと同型の銃の名はディフュージョンレーザー。

ホーミング性能のある拡散レーザーが放て、連射もバレット程ではないが利く。

そしてそのハンドボウガンのような銃はウィンドブーメラン。

文字通りにブーメランを発射する銃であり、ディフュージョンレーザーはアリクイック、ウィンドブーメランはカラスティングの能力を参考にした武器である。

そしてアクセルの最後に渡された銃は…。

「中々器用だねアクセル。二丁拳銃なんてさ」

「うん、僕が両利きなことにパレットが気付いてくれてさ。ダブルバレットを造ってくれたんだ。」

アクセルのバレットとは違い、こっちは火炎弾を発射する銃だ。

エックスが会得した特殊武器であるサークルブレイズとは違って射程は長いが、爆発による複数の破壊は出来ない。

「ふふ、私も負けてられないね!!」

HXアーマーに換装し、エアダッシュによる高速移動で敵を斬り伏せながら突き進む。

「速……って、ちょっとルイン待ってよーーーっ!!速すぎだよーーーっ!!!」

アクセルも高機動タイプのレプリロイドなのだが、風や雷の如く動くHXアーマーのルインには機動性が劣る。

これまでルインの機動性を上回るのはファルコンアーマーしかなかったと言えばその機動性の高さは分かってもらえるだろう。

「あれー?アクセル、遅いよー!!早くしないと置いてっちゃうよー」

「だ、だからルインが速いんだってば…ぜえ…ぜえ…」

『生き生きしてますね、ルインさん。』

『久しぶりの任務だから気合いが入ってるのよ。』

『今までルインはエックスとゼロとしかチームを組んでないからどうしてもエックス達と同じ感覚で突き進んじゃうんでしょうね』

「エックスとゼロって、あんな滅茶苦茶な速さについていけるの…?凄すぎでしょ…」

『大丈夫よアクセル。あなたならすぐに追い付けるようになるわ。』

「…だといいけど」

自信なさげに答えるアクセルにエイリアは苦笑するしかなかった。

しばらく突き進むと広い場所に出て、アクセルとルインは同時にホバーを使って周囲を見渡す。

「メカニロイドはかなりの数だね」

「うん、でもエアダッシュとホバーを使えば問題無さそうだね。そう言えばルインは素の状態でエアダッシュは…使えなくても困らなそうだね。緑のアーマーに変わるの一瞬だし」

「まあね、でも換装時間をここまで縮めるのは苦労したんだよ。それにしてもこの緑色の液体は何だろうね?私、初めて見た」

「多分、これは触るとダメージを受けるエネルギー体だよ。レッドアラートにいた時に見たことがあるよ」

「じゃあ、落ちないように気をつけないとね」

2人がホバーとエアダッシュを駆使して先に進もうとした時、パレットから通信が入る。

『アクセル、ルインさん。聞こえますか?』

「「何?」」

途中で停止してパレットの言葉に耳を傾けるアクセルとルイン。

『運良くこの近くにライドアーマーがありますよ。ライドアーマーの装甲ならエネルギー体もへっちゃらですし、ライドアーマーのパワーと武装なら大型のメカニロイドもイチコロですよ!!』

「確かにね、ライドアーマーと言えばライデンとかイーグル?」

『へ?あ、あのルインさん。ライデンとイーグルはもう旧型でして、全機廃棄されています。今では射撃特化型のゴウデンと格闘特化型のライデンⅡが運用されてるんですけど…』

旧型の2機の名前が挙がったことにパレットは戸惑いなからも答えた。

『あ、そう言えばルインにはライドアーマー関係のことを伝えてなかったわね。でも基本的な操作方法は同じよ。あなたなら直ぐに乗りこなせるわ』

「へえ……ライデンとイーグル…まだまだ使えそうに思えたけどなあ…」

「やっぱり戦闘環境の変化の影響もあるのかもね。今じゃフライヤーみたいに量産型の空戦特化型のレプリロイドなんて珍しくもないし、飛行型のライドアーマーの出番も激減しちゃったし。ライデンは単純に古い物だからね」

「そっかあ…少し勿体無い気がするけど…まあ、仕方ないよね」

『ルインさんは格闘特化のライデンⅡ、アクセルは射撃特化のゴウデンに乗って下さい。2人ならこれで大丈夫ですよ!!』

「「了解!!」」

パレットの指示に従ってルインはライデンⅡに、アクセルはゴウデンに搭乗した。

「成る程、4本足にすることで地上での機動性と安定性を高めた機体なんだね。」

「確かライデンⅡとゴウデンにはエアダッシュも搭載されてるからある程度の空戦も出来るよ!!」

「OK!!行くよ!!」

アクセルとルインはそれぞれのライドアーマーを起動させてメカニロイドを返り討ちにしながら突き進む。

「喰ーらーえー!!」

「それそれえ!!」

アクセルはゴウデンのミサイルと左腕のガトリングライフル、近付いてくるメカニロイドには時にはバリアを展開してのタックルを繰り出して撃破する。

そしてルインはライデンⅡのドリルアームとパンチ、そして飛び上がって着地による広範囲攻撃で潰していく。

その手際の良さと操縦の上手さにモニターで見ているパレット達は感嘆する。

「ところでアクセル。ここにいるレッドアラートのボスって誰だか分かるのかな?」

「考えるまでもなくガンガルンだね」

「ガルガルン?変な名前だね」

「………ガルガルンじゃなくてガンガルンね?多分悪気はないんだろうけどさ、素で間違えるの止めてあげて…流石に可哀想だからさ」

素でルインに名前を間違われたガンガルンをアクセルは哀れむも、とにかく説明を続ける。

「ライドアーマーをほったらかしにしてたでしょ?多分、味方の方にもいっぱい用意しておいて、ライドアーマー同士を戦わせるつもりなんじゃないかな?まあ本人も結構強いよ。小柄で滅茶苦茶速いんだ。ただ、ガンガルンは子供だから搦め手とかに凄く弱いのが弱点なんだ。後は不規則な攻撃にも弱い。」

「ふうん…」

そしてライドアーマーに乗ったまま進むと、広い場所に出て、かなりの数のランナーボムが駆るプロトライドが迫ってきた。

「来たよ!!」

「散開するよ!一ヶ所に固まったまま戦うよりもずっと戦いやすい!!」

「OK!!」

エアダッシュでそれぞれが別の場所に移動するとプロトライドが半数ずつ迫ってきた。

「当たれ!!」

射撃特化のゴウデンはまだプロトライドを数体相手にすることが出来たが、格闘戦に特化したライデンⅡはそうはいかない。

ライデンⅡではプロトライドの攻撃を捌き切れずに攻撃がいくらか当たってしまう。

ルイン「くっ!ライデンⅡで複数を相手取るのは無理かな…なら!!」

ライデンⅡから飛び降りてLXアーマーに換装するとハルバードを構えた。

「はあああ…!!オーバードライブ!!たあああっ!!!」

ハルバードでプロトライドを一閃。

それだけでプロトライドは斬り裂かれた部分から凍結し、最後にはバラバラとなって崩れ落ちた。

「す、凄っ!!」

『ルインさん、強すぎですよお!?』

「フリージングドラゴオオオオンッ!!!」

オーバードライブを発動した状態で氷龍を召喚し、迫り来るプロトライドを次々に凍結、粉砕していく。

『え、えーっと、ルインってあんなに強かったでしたっけ?』

『過去のデータとは比較にならないスペックになってるわね。多分、過去の事件の影響かもしれないわ…喜ぶべきかは分からないけど…』

以前のスペックとは桁外れにパワーアップしているルインにあの事件も害悪ばかりではなかったようだとエイリアは複雑な表情だ。

「アクセル、下がって!!」

「え?あ、うん!!」

プロトライドの猛攻で大破したゴウデンから脱出したアクセルは直ぐにFXアーマーに換装し、オーバードライブを発動したルインから離れた。

「グラウンドブレイク!!」

ナックルバスターで床を殴って巨大な衝撃波と火柱を繰り出すルイン。

プロトライドの大群は衝撃波と火柱に巻き込まれて爆散した。

「よし、片付いたね」

「あ、うん(ルインってこんなに強いんだ。喧嘩したら絶対に勝てそうにないね。ルインとは何事も穏便にやっていこう)」

アクセルが誓いを立てた直後に飛んで来た4本の棒。

細く長いそれは部屋の中央辺りに、四角形の頂点になるように突き刺さり、バリアを張って2人を囲った。

すかさずルインが棒をセイバーで斬りつけ、アクセルがショットを連射するが、その部分にもバリアを張っているらしく、傷一つ付かない。

「はーっはっはっはっ!!」

突然聞こえた甲高い笑い声に上を見上げれば、桃色のカンガルー型ライドアーマーが降って来た。

着地すると地面が揺れたことで相当の重量であることが予想でき、腹の袋の部分にある操縦席に収まっているのは、これまたカンガルー型の小さなレプリロイドであった。

「驚いたかアクセルぅ!お前なんかよりうーんと強くなったんだからなぁ!!」

ライドアーマーの両腕を振り上げ、機能停止したプロトライドを殴りつける。

まるで自らの力を見せつけるかのように。

「もう子供って言わせないぞぉ!!」

「そう言うとこが子供なんだって」

「ま、また子供だって言ったなぁ!」

全く臆さずアクセルがそう返すと、ガンガルンはライドアーマーを軽く身を屈ませて威嚇する。

「悪い子にはお仕置きしなきゃね…」

「全くだね、あれは子供の教育に悪すぎるよ。ソニアが見て悪影響を受ける前に早く倒して見せないようにしなきゃ!!」

「わあ、ガンガルン。イレギュラー認定だけじゃなくて教育上の不健全認定されちゃったね。おめでとう」

振り下ろされた拳を横に飛んでかわしたアクセル。

瞬時にルインが間合いを詰めてその腕をセイバーで斬りつけるが、ライドアーマーの装甲は通常の攻撃では威力が足りずに小さな傷を付けるだけ。

ルインの姿を初めて視界に捉えたガンガルンは、はっと目を見開いた。

「金髪とセイバー…お前がゼロだなぁ!流石に僕を抑えられるのは、Sクラスのハンターだけだって判断したんだなぁ!でも、僕の方が遥かに強いぞぉ!」

「へ?」

「…ガンガルン…お前……」

ガンガルンの発言にルインは首を傾げ、アクセルは呆れてしまう。

「な、何だよお!?」

ルインとアクセルの表情にガンガルンは両者を見渡す。

「よし、ガンガルン。ゼロは男ね?お・と・こ。僕の隣にいる人は男に見える?」

「んー?あれ?女の…人?あれー?」

「ゼロに間違われるの久しぶりだ」

「この人はルイン…ゼロじゃなくてルインだよ。」

「ルインって…昔いなくなったイレギュラーハンター………ひ…」

「「ひ?」」

「ひいいいいいいっ!!お、お化けだーーーっ!!」

「お、お化けっ!?」

「あ、そっかー。ルインが生きて復帰してるのレッドアラートじゃ知らないんだ」

お化け発言にルインはショックを受け、アクセルは理由に気付いたのか頷いた。

「あっち行けえ!!お化け!!」

ライドアーマーが巨大なエネルギー弾を発射する。

アクセルとルインは回避して、アクセルはガイアボムで、ルインはXアーマーに換装しながら戦う。

「隙あり!!」

脚部間接に岩石弾を叩き込むアクセル。

ルインも続いてダブルチャージショットをライドアーマーに喰らわせる。

「アクセルも僕に近寄るなー!僕まで呪われちゃうだろーっ!?」

「まだルインをお化けだと勘違いしてるんだ」

「私って悪霊扱いなんだ…少しショック。」

ガンガルンのライドアーマーの猛攻をかわしながらアクセルとルインは苦笑とショックを受けた顔をしていた。

「と、とにかくライドアーマーに対抗するならライドアーマーだよね!!アクセル、ライデンⅡで対抗するから乗って!!」

「成る程、ライデンⅡならガンガルンのライドアーマーに対抗出来るかもね(でもルイン…さっきゴウデンをスペックダウンさせたプロトライドとは言え普通に生身で倒していたじゃん)」

ルインとアクセルは乗り捨てたライデンⅡに乗り込むとガンガルンのライドアーマーと相対する。

「ああーっ!!ライドアーマーに乗って戦うなんて汚いぞぅ!!」

「いや、お前が言うなよ」

ガンガルンの発言にアクセルが呆れるとルインは問答無用でドリルアームとパンチによる攻撃を喰らわせる。

「痛たたた!!もう許さないぞお化け!!」

ライドアーマーに蓄積するダメージにガンガルンは癇癪を起こしてエネルギー残量のことなど考えない最大出力のエネルギー弾を放つ。

「甘い、ライデンⅡの必殺技!!」

ジャンプしてエネルギー弾をかわすとライドアーマー目掛けて勢い良く落下する。

「わあ!?」

激突と同時に衝撃波が発生し、ライデンⅡを犠牲にすることでガンガルンのライドアーマーは爆散した。

「よし、破壊成功」

「ガンガルンは…倒したかな?」

「本番はこれからだー!!」

「「うわ!?出た!?」」

爆煙から飛び出してきたガンガルンにルインとアクセルは目を見開いた。

「喰らえお化けーーーっ!!!」

ルインに目掛けてエネルギー弾を放つガンガルン。

威力は凄まじいが、遅い一撃だ。

「そんなんじゃ、僕達には当たらないよ!!」

ウィンドブーメランのブーメランを発射し、ガンガルンはブーメランの軌道に対応出来ずに喰らってしまう。

「十字手裏剣!!」

そしてルインもPXアーマーに換装してブーメランと同じ軌道を描く大型手裏剣を投擲し、ガンガルンに直撃させた。

「こんのー!もう許さないぞお化けー!!」

「だから私はお化けじゃないってば」

「聞いてないよルイン。」

「三角キーック!!」

バリアを足場にして飛び蹴りを繰り出してくるガンガルンにルインはシャドウダッシュで回避した。

「すり抜けた!?」

「や、やっぱりお化けだ!!」

「いや、これはれっきとした技で…」

シャドウダッシュはダッシュ中はあらゆる攻撃を無効にする回避技だ。

だが、初見では確かにお化けにしか見えないかもしれない。

「あわわわわ…お化けお化けお化けー!!あっちに行け悪霊ーーーっ!!!」

エネルギー弾を乱射してくるガンガルン。

それをルインとアクセルは何とかかわす。

「もうガンガルン、混乱してるね。これなら簡単に倒せるよ…ルインは大丈夫?」

「うん、悪霊扱いって結構心にくるね…」

「後でエックスに慰めてもらいなよ。それじゃあ同時攻撃行くよ!!」

「OK…」

これは重傷だなとアクセルは思いながらガイアボムのバズーカを構えた。

「ガイアボム!!」

「ダブルメガトンクラッシュ…」

ルインも再びFXアーマーに換装してダブルメガトンクラッシュの火炎弾を放った。

岩石の爆弾と火炎弾がガンガルンに同時に直撃し、大爆発が起こる。

アクセルは足元に落ちたガンガルンのDNAデータを回収して落ち込むルインの肩にポンと手を置いた。

「元気出しなってば、数年間行方不明だったんだからお化け扱いも仕方ないよ。後でハンターベースの購買でお菓子奢ってあげるから元気出しなよ」

『肉体的なダメージはともかくルインの精神的なダメージは深刻みたいね…』

『ですね』

苦笑するエイリア達の言葉にはアクセルも苦笑するしかなかった。 
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