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ある晴れた日に

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239部分:オレンジは花の香りその二十二


オレンジは花の香りその二十二

「あの連中が」
「子供の頃からずっと。そうだったの」
「おたく等が幼稚園の頃からの付き合いなのは知ってるけれどな」
「本当にその時からなの」
 彼女と五人の縁はということだった。
「その時から。ずっとね」
「何かあったらか」
「咲達に意地悪とかされたことないし冷たいことをされたこともなかったわ」
 未晴の言葉は昔を思い出すものになっていた。
「喧嘩をしたことも。ずっとね」
「ずっとなの」
「ええ。一度もなかったわ」
 また言うのだった。
「一度もね」
「案外いい奴等だったんだな」
 少しだけ五人を見直したのだった。
「適当で能天気なだけの連中だって思っていたけれどな」
「確かに。ちょっとだけいい加減かも知れないけれど」
「かなりだろう?」
 見直したのは少しだけなのでこうした言葉にもなってしまう。
「あれは」
「そんなのは関係ないのよ」
 だが未晴は正道の五人への評価をあくまで誤りだと主張するのだった。
「明るいじゃない」
「能天気と明るいのはまた別だろ」
 正道はさらに言葉を付け加えた。
「適当とおおらかなのも違うぞ」
「だから。適当でも能天気でもないのよ」
「そうなるのか」
「そうなの。咲達いつも私の側にいてくれて何かあったら助けてくれるの」
 またこのことを正道に話してみせた。
「だから。有り難いの」
「そういうものか。それじゃあおたくはあの連中頼りにしてるんだな」
「ええ」
 正道の今の言葉にこくりと頷いた。
「そうよ。その通りよ」
「逆だったんだな」
 正道は言った。
「その辺りは」
「皆そうは思わないけれど実はそうなの」
 また言う未晴だった。
「ずっとね。そうだったの」
「意外だな。鏡の裏見た気分だ」
「鏡の?」
「ああ、裏だな」
 正道は言った。
「鏡の裏だ」
「そこまで意外だったの?」
「あの連中だからな」
 またしても五人への言葉になっていた。
「どうしてもな。想像できない」
「友達だから」
 しかし未晴はまた言う。
「だからよ。お互いね」
「助け合ってるっていうんだな」
「そういうこと。私の方が助けてもらってるのよ」
「それは信じられないけれどな」
 それでもだった。彼にも少しずつだがわかってきたのだった。
「友達だからか」
「ええ」
 また正道の言葉に頷いたのだった。
「そうなの。友達だからね」
「いい友達なんだな」
 正道はこれまでの彼女の言葉を頭の中でまとめて微笑んだのだった。
「あの連中も」
「今わかったの?」
「ああ、全然わからなかった」
 これは本当のことだった。
「ただ適当に能天気な連中だとばかり思ってた」
「私がまだ小学生だった時だけれど」
 未晴はここで自分の過去を正道に話してきた。
「その時ね。いじめられてて」
「そういう奴は何処にでもいるんだな」
 正道は話を聞いて素直に言葉に出した。
 
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