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ある晴れた日に

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235部分:オレンジは花の香りその十八


オレンジは花の香りその十八

「酒はな。好きだ」
「甘いのもいけるみたいだね」
「まあな」
 今度は桐生の言葉に応えた。
「どちらもな。しかも同時にいける」
「あれだよな。それって日本酒だと無理なんだよな」
「そうそう」
 春華と静華はここでまた嫌なことを思い出してしまったのだった。
「善哉と日本酒はよ」
「あれはなかったわよ」
「たまたまよ」 
 その恐ろしい組み合わせを出した本人である明日夢はしれっとしたものだった。
「気にしなくていいわ」
「いや、普通に動き止まったからよ」
「食べられる組み合わせじゃなかったわよ」
「何が出て来るかわからないのがびっくりメニューよ」
 スタープラチナの名物料理ではある。評判の程はともかくとして。
「だからいいじゃない。組み合わせがいい時だってあるでしょ?」
「最近滅多にないわよね」
「ねえ」
 咲も奈々瀬もとりあえず最近は記憶になかったのだった。
「今シーズンはね」
「シーズンオフとかはでもベイスターズに何かあったらすぐにだし」
 完全にベイスターズとリンクしているのだった。
「もうそれでその時なんて」
「カレーにワインなんてのもあったし」
「そういう咲だってホークスの調子にかなり左右されてるじゃない」
 明日夢は言われっぱなしは好きでないのか咲に対して言ってきた。
「この前のあんたのアルバム見たけれど」
「咲にとってホークスは生きがいよ」
 だからだというのだ。かなり居直った言葉だ。
「だから当然じゃない。王さんの御身体が本当に心配だったし」
「王監督本当に好きなのね」
「秋山さんだって大好きよ」
「後は誰?」
「選手だと宗りんとか」
 川崎宗則のことである。ホークスの看板選手の一人だ。美男子としても有名である。
「杉内さんとかも好きだし」
「何だかんだで好きな選手多いのね」
「そうよ。最高だったのはあのダイエー時代のユニフォーム」
 話しているうちに顔がさらに上機嫌になっていく咲だった。
「パパもお兄ちゃんもそうよ。一家全員鷹党よ」
「まあ巨人応援しなかったらそれでいいけれど」
「巨人応援するのは人類世界に対する冒涜よ」
 むっとして極論を言う咲だった。
「小久保さんのことは絶対に忘れないから」
「戻ってよかったわね」
「打倒巨人」
 リーグは違うが咲はそんなことは意に介していない。
「何があって何年も何年も叩き潰してやるわよ」
「けれどあんたの彼氏・・・・・・慶彦さんだったわよね」
「ええ」
「中日ファンじゃなかったの?あの家皆中日ファンだった筈だから」
「中日はいいのよ」
 咲は中日には好意的だった。
「中日はね。何の関係もないじゃない」
「まあそうね。中日に負けてもね」
 明日夢も中日に対しては極めて寛容であった。
「いいのよ。それはね」
「ウッズはいいの?」
「残念だけれど仕方ないわ」
 今の凛の突っ込みに俯きながらも達観した言葉を述べる。どうやらこのことは受け入れているようである。少なくとも怒ったりはしていない。
「契約の問題だから」
「じゃあクルーンは?」
「絶対に許さないわ」
 今度の凛の言葉には顔をあげて怒った顔で告げる。
「あれは。何があってもね」
「小笠原とかね」
「ペタジーニとかラミレス、他には広沢とか」
 茜も奈々瀬も嫌な話をどんどん思い出していく。
「忌々しい話よ。全く」
「巨人討つべし」
 完全にその話になっていた。誰もが巨人を忌み嫌っているこのクラスらしかった。
 
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