FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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希望の種
前書き
Twitter始めてみました。
主にラブライブ関係で遊んでいくと思うけど進捗状況とかも上げれればなぁと思ってますのでもしよければフォローしてください
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「へぇ・・・」
「相変わらずのパワーだな」
ぶつかり合い、周囲に爆風を巻き起こした二人の拳。最初の主導権争いなのか、双方共に相手の拳を押し込もうと力を入れている。
グググッ
少しずつ押し込んでいるのは天海。数多くの魔導士たちを肉体の能力だけで圧倒していただけに、持っているは目の前の存在よりも強い。
「スゥッ・・・」
対するティオスは押し込まれつつも口に魔力を溜めていく。それに気付いた天海は押し合いをやめて距離を取ろうとする。
ガシッ
「!!」
だが、ティオスはそれを読んでいた。ぶつかり合っていた拳を素早く広げて相手の手首を掴む。
「氷神の怒号!!」
ほぼ零距離でのブレスの発射。それは瞬く間に天海を飲み込んだ。
「さすがにいい反応をしている」
「なっ・・・」
ダメージを逃がさないために天海の手を離さなかったティオス。そのおかげで確かに大きなダメージを与えることができた。だが、天海はそれを致命傷にはしなかった。
「ふっ!!」
「ゴハッ」
天海は地面を蹴り敵の頭部へと蹴りを入れる。それによりティオスはバランスを崩し地面を転がる。
「モード・竜神」
水の滅竜魔法と氷の滅神魔法。双方の魔力を持っている彼だからこそできる状態へと変化する。
「まだ全力は出さないということか?」
「このあとにも戦いを控えているものでね」
3つの属性を持っているティオスがその全てを解放しないことに疑問を持つ天海。対するティオスは悪びれる様子もなくそう告げる。
「くくっ」
強者との戦いを好む天海にとってこれは大きな屈辱・・・無礼極まりない行為であるはず。それなのに、なぜか彼は笑っていた。
「それが神になるために必要な判断か」
「あぁ」
「それでこそお前だ。俺が・・・」
地面を強く蹴り距離を一気に詰める天海。その速度は目に魔水晶を入れてすべての視力を上げているはずのティオスですら目で追えなかった。
「もっとも戦いたかった相手!!」
意識ごと持っていかれるのではないかというほどの威力ある拳。顔面に突き刺さったそれに、声を発することもできずに、地面を転がる。
「バカな・・・いつの間にこんなスピードを・・・」
彼の記憶では天海にはこれほどの速度はなかった。レオンの時に戦った時の記憶・・・彼自身と相まみえた時の記憶・・・そして、共に旅をして来た時の記憶・・・全てにおいてこれほどの力を把握していない。
「お前は今まで一度も本気になったことはないんだろ?ティオス」
体を起こそうとしているが、ダメージが大きすぎたのかフラフラしているティオス。彼を見下ろすように問いかけた天海は、鋭い眼光を光らせる。
「すべての属性を使いきり、神の領域にまでに手を出す・・・それをお前はしたことがなかったよな」
「あぁ・・・それほどの相手を見つけたことはないからな」
あまりにも強大な力を付けすぎたティオスは、本気を出せるような相手を見つけ出したことはなかった。ただの練習でしか、すべての魔法の解放、神の領域の始動を行ってこなかった。そのレベルに到達する存在が、この世界にはいなかったから。
「お前ほどの魔導士なら、俺の戦いも覚えているんじゃないか?」
「そうだな・・・色んな戦いを見せてもらったよ」
まだレオンであった時から彼を追いかけていた時まで・・・あらゆる彼の戦いを見てきた。戦いを好み、強者とは互いの力を出し尽くす、弱者は一瞬のうちに消し去る・・・そんな戦いをして来た様を。
「俺はいかなる相手にも手を抜くことはない。ゆえに・・・」
元の距離から数十メートルは離れていたはずなのに・・・起き上がったティオスの目と鼻の先にある天海の顔。
またしても追いきれないその動きに、ティオスは唖然とするしかない。
「常に肉体は破壊と再生を繰り返し、他を凌駕する成長速度を有している」
人間の体はよくできている。肉体の限界を超える負荷が掛かればそれに耐えうるために強化され、使わなければ退化していく。ティオスはこれまで力を失わないようにしかしてこなかった。それにより絶対的な魔力を保留し、他者を圧倒してきている。
だが、天海はそれ以上だった。戦いの中で進化し、あらゆることを試し、常に成長を遂げていく。破壊されても即座に修復し、超回復していくことにより、彼はすでにティオスの知る自身の力を越えてしまっていた。
「今のままで勝てるほど、甘くはないことを重々理解しておいてくれ」
口調は冷静そのものだが、目は笑っていなかった。ティオスに残された道は2つ・・・このままやられるか、あるいは・・・
「これで終わりだぁ!!ゼレフー!!」
「消えろぉぉ!!ナツゥゥ!!」
ぶつかり合う兄弟の拳。双方の渾身の一撃・・・その威力は絶大で、ぶつかりあった瞬間に手元が光った。
「!!」
その手応えで何を感じたのだろうか、ゼレフの表情が曇る。
「おおおおおおお!!」
「熱い・・・焼ける!!僕の魔法が・・・時が燃やされている!!」
ゼレフの膨れ上がった魔力すらも押しきろうとするナツの炎。そのあまりの高温に、彼の腕すら溶け始めていた。
「自身の魂を燃やして・・・」
迷うことなく目の前の存在に注がれる力。対するゼレフには最後まで迷いがあった・・・
ナツの存在・・・メイビスに対する思い入れ・・・あらゆる要素が積み重なって迷いを振り払い切れない彼に、勝つ術などあるはずもない。
「これがナツの炎・・・ギルドの炎・・・聖なる炎・・・いや・・・違う・・・」
ナツの力の源が何なのか・・・妖精の尻尾の強い想いなのかとも思ったが、それだけではなかった。
(荒ぶる感情の炎!!)
この世界を終わらせないという強い決意と道を踏み間違っている兄の思考を正そうとする弟の想い。それにより魔力を増幅させた炎竜は、ついにゼレフを押し切った。
地面を転がり体内から放出されていた魔力もほとんどなくなってしまったゼレフ。時を越えた兄弟の戦いは、今ここに終結した。
二人の化け物の戦いから距離を取っているクリスティーナ。その艦内は揉めていた。
「早くカミュたちのところに戻れ!!」
「無茶言うな!!」
「そんなことしたら俺たちまで巻き込まれるぞ!!」
ティオスと天海が戦い始めた衝撃により壊れた部分を修復している青い天馬の面々とやりあっているラクサス。他にも口論しているものたちの姿で溢れていた。
「こんな時に・・・揉めている暇などないだろう・・・」
その中でエルザは冷静さを保っていた。今の統率が取れていない状態では戦うことなどできない。例え相手が互いに消耗しきっている状態だとしても・・・
「こんな時に・・・お前なら・・・どう・・・」
いまだに目を覚まさぬ小さな少年に目を移した彼女は、言葉を失った。彼の体が黒い何かによって侵食されているからだ。
「シリル!!一体どうしたんだ!?」
「シリル・・・その模様は・・・まさか・・・」
左腕から伸びてくる黒い模様・・・それは次第に彼の体を侵食していき、白目の部分が真っ黒に、水色の瞳が赤く変色していた。
「勝つ方法なんかいくらでもあるじゃないか。なんで今まで気が付かなかったんだろう・・・」
そう言う彼の表情は悪人の笑みそのものだった。とてもいつもの彼からは想像できないようなものだった。
「シリル!!何を考えてるか知らないが冷静さを取り戻せ!!」
「俺は冷静だよ。その上で判断したんだ」
口調は冷静さを持っているようだが目を見ればわかる。ましてや実の親である彼なら今の我が子が異常であること間違いなかった。
「シリル!!俺の話をーーー」
「いいよ、もう。お母さんと一緒に俺の戦いを見ててくれ」
シリルが手を振るうと目の前にいた父の姿が消えてなくなる。それと同時に、少年の姿も薄れていき、その場から消えてしまった。
「ん・・・」
ゆっくりと目を開いたシリル。悪魔に侵食された彼は希望となるか、それとも・・・
後書き
いかがだったでしょうか。
ようやくシリルが復活しました。といっても話数的にはそんなには経ってないですかね。更新が遅すぎました。
ここからは少しずつ速度上げていければいいなぁと思います。
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